洒落怖超まとめ

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家路

   

360本当にあった怖い名無し2022/01/26(水) 19:50:53.34ID:bQjD5AT30
これは私が高校生の頃に体験した話。
私はいつもの様に部活を終えて家路についた。
時間は21時を過ぎ田舎であった為、人通りは無い。
いつも学校の近く人ある木春ストアで買った肉まんを食べながら帰る。
途中、田んぼの横を通りながら帰る。
まばらに設置された電灯の下を通る度に蛾などの虫の塊に突撃しないといけないのが毎度の憂鬱であった。
この時期はウシガエルも煩く鳴く。
『ボォ~ァ、ボォ~ァ、ボォ~ァ』
最近買ってもらったウォークマンで音楽を聴いているのだが、それでも微かに聞こえてくるほどだった。
私は音量を上げて音楽に集中しようとした。しかし、耳の奥を揺らす様な低い声はまだ聞こえるどころか大きくなってきている。
ウォークマンの不調かと思いイヤホンを耳から外した。それが間違いであったと気づくのに時間はかからなかった。

続く

361本当にあった怖い名無し2022/01/26(水) 19:51:08.48ID:bQjD5AT30
『ボォ~ァ、ボォ~ァ』私のすぐ耳元でそれは聞こえていた。身体中から汗が溢れ出し、肩が強張る。心臓が不整脈を打って痛みが走った。そんな出来事が我が身に降り掛かると、本当に声など出ないのだと実感した。
生暖かくツンと臭い発つ風が頬を撫ぜる。《逃げなければ》と頭が理解する前に私は走り出していた。
しかし、声と臭いは着いてくる。そして声が頭に響いてきた。「マ"ァ"~マ"ァ"~」そう聞こえた気がした。
家の明かりが見える。今思えば、その頃には声は聞こえていなかったような気がする。
家の前には母が携帯電話を片手に立っていた。
「何時だと思ってるの!遅くなるなら電話しなさい!」
そう、怒鳴られた。私は、全力で走ってきたのだ。いつもより早くつかなければ辻褄が合わない。私が家に着いたのは時計の針が真上に差し掛かる頃であったと聞いた。
私は家についてからの記憶がなかった。私は夕飯を食べたのか?お風呂には入ったのか?私はベタベタする身体を起こし、家族の元へ行く。
「あんた昨日は何してたの?あんなに泥だらけになって」母が私の顔を見るなりそう言った。「泥?」私は聞き返す。
「そうよ。あなたのジャージに泥の手形が着いてたじゃない。洗濯する身にもなってよね。もう、子供じゃ無いんだから。」
その日から私は、父に無理を言って、迎えに来てもらうようになった。
その体験から一月程して、用水路に胎児を投げ捨てた母親が捕まったという話が私の地域で広がった。

終わり

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