ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 31-40 > Part 34 > 山で・・・ 2016/04/25 493 名前:1 投稿日:03/04/22 03:05 僕の住んでいる町に標高の低い山があります。 その山は、海岸からチョット離れていて 頂上に登ると開けた空間があり かなり拾い範囲の街並みと 太平洋が一望できます。 標高は低いですが一応、山脈の一部で 奥に進むと、木々の緑が欝蒼として 夏でも海から吹き上げる潮風で 肌寒さすら感じます。 ある日、気分転換に車で頂上に登り、暫く 小さな街を走る電車やキラキラと光る 海を眺めていました・・・・ すると雑草の茂ったハイキングコースの奥から 「カーン!カーン!カーン!」 と言う音が聞こえてきました。 その音は金属的な音ではなく 乾いた木と木がぶつかり合う様な感じでした。 「何だろう?」 そんなに遠くから聞こえてくる感じがしなかったので 音源を確かめたくなって、その方向に進んでいきました。 起伏のあるハイキングコースを10分ほど進んでいくと そこから右に外れた奥から聞こえるようでした。 コースから外れてしまうのでどうしようか考えたのですが 緩やかな斜面だったので、足を進めました。 ですが、足元に気を取られながら進んでいるうちに いつの間にか音が止んでいる事に気が付き足を止め、 もう一度、その音がするのを待ちましたが 再び音がすることは有りませんでした。 494 名前:1じゃ無く493でした 投稿日:03/04/22 03:08 少しの間、その場に身を沈め 周りを見渡すと、木々がザワザワと風に踊っています・・・ 僕は、何故か異様な雰囲気に恐怖を覚え、戻ろうとしましたが 風の止んだ静寂の中に、今度は 「パキッ!パキッ!・・・パキッツ!」 と言う人の足音にしてはチョット軽い音で 何かが確実に、こちらに向かって来る感覚がします。 「野ウサギかな??」 その時僕は、人気の無い山の中で 自分以外の血の通った物に出会えるかもしれない? と言う気持ちから、恐怖心よりも好奇心が大きくなっていました。 「パキッ!パキッ!」「パキッ!パキッ!」 音は、段々と近づいてきます・・・ 「もうスグ見えるかもしれない」と思ったとき、足音は止まりました・・・ 僕の気配に気が付いたのだろうか?残念な気持ちで様子を伺っていると 突然「わぁぁぁ!わぁぁぁぁ!」と、男の子の泣き声が聞こえてきました。 いいえ、聞こえて来るというよりも頭の中に響いて来る感じで 「わぁぁぁ!わぁぁぁぁ!」と泣き叫んでいるようでした。 姿は見えませんが、5才位で半ズボンに長袖のシャツ男の子が 顔に小さな手を当てて、泣いている姿が頭の中に ハッキリと浮かんできます。 とたんに先ほどの恐怖心が蘇り、駐車場に向かって 夢中で走り出しました。 495 名前:1じゃ無く493でした 投稿日:03/04/22 03:09 その間も泣き声は止みません。 それどころか、背後に気配すら感じます! 僕は訳も分からず「ごめんなさい!ごめんなさい!」と 謝りながら走っていました。 ハイキングコースに出て、息を切らして走っていると 突然、足首を掴まれた感じがして 目の前が真っ白になり気を失ってしまいました。 転んで気を失ったのか、転ぶ前に気を失ったのか それは分かりませんが、気を失っていた時間は 5分も経って無かったようでした・・・ 気が付いた時には、もう声も気配も感じず 静かな木々の中から小鳥の声が聞こえるだけでした。 496 名前:1じゃ無く493でした 投稿日:03/04/22 03:11 僕は慌てて立ち上がって、車に戻りドアを閉めると 閉鎖された空間の安心感を感じて、少し落ち着き 気を失っていた時に聞いた声を思い出しました。 たしか、「お母ちゃん・・どこに居るの?」 そんな声を聞いた気がして・・・ 現実か夢か分からなくなっていた僕は 掴まれた感じがした左の足首を見て 「あぁ、現実だったのかもしれない。」 と再び寒気を感じました・・・・ 白い靴下に、しっかりと 泥の付いた手形のようなものが残っていたのです。 僕は急いで山を降りましたが その後しばらくの間、車のバックシートに 人が座っている気配を時々感じました。 お祓いをしたので、今ではその気配も無くなりましたが 以来、その山には登っていません。 B! LINEへ送る - Part 34, 洒落怖