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山中のドライブ

   

720本当にあった怖い名無し sage 2008/06/18(水) 16:33:37 ID:UcThOJKN0

とある日、もう5年ぐらい前になりますが、都内から千葉の海に行くのに
友人3人で夜中に待ち合わせをして、日が出る前に出かける事になっていました。

夜中と言う事もあり、とても早く千葉県内に入る事ができました。
コンビニで3人でジュースを飲みながら休憩していると、友人Aが言い出しました。
A「ねぇ、近道しない?」
私「近道って?」
A「この山を越えれば、ぐるっと県道をまわらなくてもすむよ」
Aは地図の山を指し言うのです。その地図の山の道を見ると、途中途中で道が途切れています。
とても細い道なので、書き記されていないだろう、と思いました。
友人B「せっかく早くついたから、このまま近道できたら早くついてゆっくり出来るかもね」

なんとなしに意見がまとまったので、その名前のない山を渡って行く事になりました。
はじめはその地図の道通りに進んだのですが、案の定途中から道幅はぐんとせまくなり
もう車一台正面からくる事になれば、何十メートルとバックで戻らなければ行けないほど
狭く、舗装されていない道になって行くのです。
先ほどまで見えていた、お昼はのどかな光景だろう田んぼや畑も次第になくなり
鬱蒼とした竹林や真っ暗な森の闇が広がるのでした。
私達はどれぐらい走ったのでしょうか。
もう1時間は山の森で迷っていました。
Uターンしようにも、する道幅がありません。山の道に従い、ただ上へ上へと
登っていくしかありませんでした。

725本当にあった怖い名無し sage 2008/06/18(水) 16:52:51 ID:UcThOJKN0

女3人と言う事もあり、はじめは楽しげに話していたあれこれ、仕事場の愚痴
他愛のない話が途切れ途切れになっていきました。
段々と、恐怖感が湧いてきていたのです。
道も分からない、舗装もない、この真っ暗な山の山頂近くで、もし車が止まってしまったら
私達は、闇の中を手探りで彷徨う事になってしまう…。

しかし、それを口にする事はとても恐ろしく私は言えないでいました。
2人の友人達も同じだったろうと思います。
山の道なりに、そして車でも入れそうな道を出来るだけ選択し進んでいくと
とうとう行き止まりにぶつかりました。
その先には、大きな門と何かの建物。門の前に名が記されていたかどうかは
覚えていません。なかったのかもしれないし、忘れてしまったのかもしれません。
私達は、もう何とも言えない恐怖で固まってしまい、
妙な明るい声でどうでも良い話をしていた事だけを覚えています。
その頃には、すでに朝日が上がっていました。
そこはぎりぎりにUターンできそうだったので、私達は急いでUターンをし
元来た道を下っていきました。
B「何か…怖かったよね。」
私「やっぱりそう思ったよね…」
A「…。」
周りをふと見ると、朝日で照らされた竹林が、真緑色に見えました。
左右緑色に見える光景は異様で、ホッとしたのもつかの間
また恐怖心で首が痛くなりだしました。
B「A、ちょっとスピード出しすぎてないかな?下りは危ないかもよ」
メーターを覗くと山の車幅ぎりぎりの下り坂にも関わらず、結構なスピードが出ていました。
私「ごめんね。運転して疲れたよね。私変ろうか?」
A「…。」

727本当にあった怖い名無し sage 2008/06/18(水) 17:06:47 ID:UcThOJKN0

Aはスピードを一向に緩めず、真正面だけを向いているのです。
訳も分からぬ胸騒ぎがして私達(私とB)二人はあたふたするだけでした。

しばらくし、平らな道になり、舗装されている畑の道に戻ってきました。
するとAは
「何かいた…。あの細い道から行き止まりの道に行くまで、何か怖かったけど
Uターンして戻って降りてくる時は確実に何かいたよ。
車の後ろに大きな影があった。だから私、ルームミラーを見れなかった…。
普通じゃない、何かすごく怖い感じの…言葉では言えないよ。」

私達は、もう居てもたってもいられなく、身の置き所がないと言うか
3人が3人とも同じ恐怖を感じていた事に、それもまた恐ろしくなりました。

公道に出て、私達は山の中で4時間ほど迷っていた事に気付きました。
時間を気にする事がなぜか分かりませんが、私達はすっぽり抜けていたのです。
すこし安心し、冷えた体の中があたたかくなり始めたその瞬間
ガツーーンと大きな衝撃音と振動。一瞬何が起きたか分からず
ただ、「きゃぁー」とか「わー」とか「何!??」と叫んでいたと思います。
後ろの車の不注意の接触事故でした。
事故と恐怖心の因果関係は分かりません。でも私達はとても恐ろしく
車を清めに行きました。当然、当初の予定の海はやめました。
とてもそんな気分ではもうなくなってしまっていたのです。

読んでれた方がいたなら、ありがとうございました。

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