952の続き。
私は他の先生にAくんの家庭環境などを聞きました。
両親とも健康で何よりAくんは健全な極々普通の子供でした。
よくよく考えるとうんていから落ちたとはいえ
あんな風に怪我をするわけがありません。
うんていの上にのぼり頭からダイブしたなら話は別ですが。
私はその時にAくんの異変に気付いていれば…と
今も思います。
1週間後。
ものすごい悲鳴が運動場から聞こえました。
慌てて走って行くと他の職員は皆、動けず
呆然と立ち尽くしています。
その前にある砂場を覗き込むと
Aくんが倒れているBくんを見下ろしています。
「Aくん?」
と震えながら私は問い掛けました。
するとAくんの口から赤い塊がボトっと落ちました。
「Bね。弱虫だから先生誉めてくれないって泣くから
僕、痛いの我慢すれば誉めてもらえるよって言った。
だからBのココ噛んだ。」
とBくんの首を指しました。
「せっかく先生に誉めてもらえるのになんでB、動かないの?」
血まみれの口で私に問い掛けてきます。
Aくんは無痛症でした。
痛みを理解できずにこんな結果になってしまったのです。
これでは私がBくんを殺したも同じ。
それから間もなくして警察と救急車が来ました。
血の海の砂場に。