洒落怖超まとめ

厳選じゃない、完全網羅のまとめサイトを目指しています

最後の通信

   

667本当にあった怖い名無し2019/08/07(水) 20:00:39.33ID:ZxJBE2Yd0

1960年代に有人宇宙飛行を目指していたソ連は、生命維持、宇宙飛行による人体への影響、大気圏突入の実験を行うべく
数多くの打ち上げ実験を行っていた。無人機から始まり犬の帰還に成功するなど、着実に成果を積み上げる傍らで
多くの失敗があった事もよく知られている。

1960年2月17日の早朝、ソ連から事前に発表されることなく、ひとつの宇宙船が打ち上げられた。
これはボストークのテスト機であるコラブル・スプートニクで、世界初の人工衛星打ち上げに成功した
スプートニクと、後に世界初の有人宇宙飛行に成功したボストークの中間にあたる機体であったことが後に判明する。

こっそり発射されたこのロケットは各国のレーダーなどに捕らえられ、世界中に知られる事となった。
このためソ連は打ち上げの数日後、テスト用の無人機であるとの発表を行った。

打ち上げに成功したこの無人機は、「月へ向かって」加速を始める。
しかし途中で加速が衰え、月ではなく地球を回る衛生軌道に戻った。
その間この無人機から発せられた無線通信が、世界各地で確認されている。

音声:全て良好、我々の宇宙船は予定の高度を保っている

無人機からは数時間に一度、このような男女の声が発信された。ソ連からはこの音声は通信テストの
録音放送であり、有人実験ではない証拠としてコーラスを放送しているとの発表がなされた。

しかし1960年2月24日、この無人機から今までとは異なる放送が行われる。

男:ダイヤルの表示は見える しかしシグナルはハッキリしない もう何も見えない

女:私が右手で支えています こうすればバランスを保てます 今のうちに窓から外を見て下さい あれを見て下さい

男:なんだあれは なにかがある

男:もし 我々が 帰れなくても 世界は 何も 知らない ままだろう

時報:ただいま モスクワ時間で 午前8時です

この音声を最後に、謎の無人機からの通信はすべて途絶えてしまった。
二ヶ月後、ガガーリンが世界初の有人宇宙飛行に成功することとなる。


668本当にあった怖い名無し2019/08/07(水) 20:00:54.56ID:ZxJBE2Yd0


つづき

1981年になり、一枚の写真が発見される。過去にソ連から発表された1960年当時の写真と同じ構図、同じメンバー
であるにも関わらず、新たに見つかった写真は人物が一人多く、「消された人物」の存在が明らかになった。

その翌年、有名なSF作品の原作者がソ連の宇宙飛行士と対談を行い、西側で見つかった写真を見せて確認を
求めたが、彼は顔をしかめ何も答えなかったという。

後の調査でこの男はガガーリンの同僚であり、素行不良でプロジェクトから外された人物ではないかとの推測が
なされたが、ソ連の宇宙開発史から消えた理由や彼の名前は、2019年となった今もなお明らかになっていない。

1960年当時の技術はかなり拙く、東西を問わずに片道飛行で打ち上げられた資材や動物も多かった。
冷戦下で行われた開発競争は国家の威信をかけて行われ、誇張や隠蔽が平然と行われていた時代であり、
ガガーリンの帰還にしても脱出ポッドそのものの減速方法が無く、高度7000mで座席ごと射出するという
命を落としても不思議のない計画であり、米ソ共に成功の陰でかなり多くの人々が命を落としている。

初めて女性が宇宙飛行に成功したのは1963年、アポロ11号が月へたどり着いたのは1969年。

あの不思議な声は誰のものだったのか。
彼らは何を目指し、何を行い、何を見たのか。
その宇宙船は、今も地球の衛生軌道を回り続けている。

転載元:https://mao.5ch.net/test/read.cgi/occult/1561192635/

 - Part 355, 洒落怖