洒落怖超まとめ

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空飛ぶ円盤

   

593 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:38
小学生のころ、近くの原っぱが次々に造成地へ変わっていった。
どんどんアスファルトの道路ができた。当時のマンホールには
小さな穴が開いていた。導火線の長い爆竹に火を付けて、その
穴の中に落とすのが仲間内で流行ったことがあった。爆竹を入
れてからマンホールに耳を当てて、音を聞くのだ。ある日、悪
友だったみっちゃんが「ごっついええ音するところがあるねん
で」とまだ造成の終わっていない原っぱに私を連れていってく
れた。
つづく

594 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:41
背の高い雑草をかき分けて歩いていくと、急に地面が
コンクリートになっているところに行き着いた。少し
違う形をしたマンホールが3m間隔くらいに5つ並ん
でいた。「ほれ、入れてみ。ここはマンホールに耳を
当てんでもええで」と言って、爆竹に火をつけてくれた。
「どん」とかなり体に響く音がして、マンホールが少し
動いた。「どないや、すごいやろ」とみっちゃんは誇ら
しげにしていた。しばらく二人で爆竹を入れて遊んでいた。
そのうち、みっちゃんの顔がぱっと明るくなった。
つづく

595 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:44
「お前、よしくんとのりちゃん、呼んでこい。わいは
さとる連れてくる」と言って、みっちゃんは自分の家
へ走っていった。内心では「これ、絶対にあかんこと
になる」と思いながらも、気の弱い私は二人を呼びに
行ってしまった。よしくんものりちゃんもさとるも大
喜びだった。そして、全身が笑顔になっていたみっち
ゃんは「みんなで一緒にいれるで~」と言って、どこ
から持ってきたのか、マッチを私たち4人に配った。
つづく

596 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:47
「ちゃんとせえよ」。みっちゃんは私を睨んだ後
「せーので一緒に入れるねんで」と本当にうれし
くてたまらない様子でみんなに言った。私たち5人
がそれぞれマンホールの側に立って「せーの」と
声を合わせて、火の点いた爆竹を穴に入れた。
「どん」という音が重なって聞こえたが、音量は
一人で入れていたときと大して変わらなかった。し
かし、私が爆竹を入れたマンホールから真っ黒な
煙が出てきたのだ。
つづく


598 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:51
「お前、たまにはええことするなあ」と喜ぶみっちゃん。
他の3人も口々に私を賞賛してくれた。しかし、煙がどん
どん激しくなっていったので、「これ、ちょっとあかんで。
離れたところから見よう」と原っぱを出た。そのとき「どっ
か~ん」とかなり大きな音がして、原っぱから煙がもくもく
と立ち上った。「空飛ぶ円盤や!」とのりちゃんの指差す方
を見るとUFOが3つ飛んでいた。私はもうその時点で目がウ
ルウル状態になっていた。
つづく


600 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:55
4人がいっせいに逃げていく中、小心者の私はその場に
凍りついてしまい、泣きだしてしまった。「円盤のおっ
ちゃんに捕まって、怒られて、拷問されるんや…」。
みっちゃんが戻ってきた。「あほう、あれはマンホール
が飛んどるだけや。早よ、帰ろ」と私の手をつかんで一
緒に走ってくれた。「なんや?」、「どないした?」、
「工事現場で爆発や」、「あんなところにマンホール落
ちとるで」、「そら、あかん。救急車、呼んだって」と
付近に住んでいる人たちが、わらわらと表に出てきた。
つづく

601 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:57
幸いなことに周りは原っぱの部分がかなり残っていたので、
私たちは見つからずに離れたところまで行くことができた。
「ごっつい音やったな」、「マンホール、よーさん飛んだなあ」
「まっくろけの煙、まだ出とるで」と四人が目を輝かせて、いま
起こった出来事を話し合っていた。私だけがわんわん泣いていた。
そのうち、消防車、救急車、パトカーがどんどん来て、辺り一帯は
騒然とした空気に包まれた。
つづく


603 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 16:01
「おまえ、家に帰っても絶対にこのこと言うたらあかんで」
とみっちゃんに何度も何度も言われてから家に帰った。結局、
周りの住宅に被害がなかったことや負傷者が出なかったことから、
原因不明の事故ということで終わったそうだ。そして、その原っぱも
さっさと造成されて、ビルが建ったとのこと。もう随分昔のことなのに
、鮮明に記憶が残っている。大音響、そして、真っ黒な煙が立ち上る中、
マンホールのふたが飛び、みっちゃんに手を引かれて一所懸命に走ったこと…。
以上、私の幼いころの死ぬほど洒落にならない話でした。

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