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窓の外

   

843本当にあった怖い名無し 2012/08/06(月) 09:37:07.62 ID:NYkAyMV/0

窓の外
 これは小6のころに俺が実際に体験した話だ。
 修学旅行の1日目、班でいくつかのミッションをこなし、
ホテルに戻ってくるという任務が課せられた。
 俺らの班は道にまとってしまい、ホテルと逆方向に2,3kmほど
行ったところで見渡す限りどこまでも墓場というなんとも気味の悪い場所
にたどり着いてしまった。 
 墓場で転ぶと良くないことが起こるというので、転ばないように
一歩一歩踏みしめて歩いた。
 だが、不幸なことに班の一人が転んでしまった。そいつは
怪我はなかったがひどく痛そうだった。少し嫌な予感がした。
俺はいい予感は当たらないが、嫌な予感だけはよく当たるんだ。
夕方になってホテルに戻る時間を30分ほど過ぎてやっと
帰還した。というか救出された。あんまり遅いので捜索されていたらしい。
 荷物を置いて先に風呂に入り、それから夕飯を食べた。
 夜は怖い話や好きな人の話で盛り上がった。先生が見回りに来たら
みんなで寝たふりをしてやり過ごした。

848本当にあった怖い名無し 2012/08/06(月) 09:56:06.69 ID:NYkAyMV/0

 俺が布団の中から窓の外を眺めていたときのことだった。
一人(以降A)が何かに気が付いた。
「向かいの建物に誰かいる!こっちを見てる!」
大きな道路の向こうに建物がある。見ると、白い服の女性が
無表情でじっとこの部屋を見つめていた。  とりあえず手を振ってみた。向こうも手を振った。こっちを見ている
というのは間違いなさそうだ。その人の他には誰もいない。残業だろう。
 まあ、向こうも迷惑だろうし、手を振るのはやめた。しかし!
「な、なんだアレ!!」
 突然Aが声を上げた。
 窓の外を見た俺は驚愕した。また別の窓からこっちをじっと見ている
人がいた。だが今度はさっきとは違った。
首を激しく左右に振りながら視線だけはしっかりこっちに向けている。
最早不気味の域を通り越して恐ろしいと言った方がしっくりくる。
 瞬間移動?否、さっきの奴もちゃんとさっきの場所にいる。
増えている。いつの間にか。

853本当にあった怖い名無し 2012/08/06(月) 10:16:17.48 ID:NYkAyMV/0

 こんな恐ろしいものを目の当たりにしているというのに
2人も寝ている奴がいる。俺は寝ている友人Bを起こそうとした。
「おい起きろ○○!」
 起きない。揺すると抵抗する。そんな中、また一人、寝た。
今度は向かいの建物の最上階、倉庫と思われる部屋にまたさっきの
人が現れた。
 ようやく、向こうが増える法則を理解した。どうやらこっちが
一人寝るごとに一人増えるようだ。
 一人、二人と眠りにつき、向こうも増えていき、向かいの建物の
さらに隣にまで現れ、合計6人が一斉にこの部屋を見ているという
状況が出来上がった。
 その時、見回りの先生が入ってきた
「あ!先生!!」
「お前らいつまで起きてるんだ!」
「向かいの建物からこっちを見てる人がいる!」
 先生は疑わしそうに窓の外を見た。
「・・・誰もいないじゃないか。そんなに気になるなら
 カーテン閉めろ」
 といって先生は出て行った。

856本当にあった怖い名無し 2012/08/06(月) 10:29:55.73 ID:NYkAyMV/0

 カーテンを閉めたはいいものの何とも言えない視線を感じて
嫌な感じがするのでやはり開けた。すると
「いない・・・」
さっきまで6人いたのがいなくなっている。
 その時、廊下の奥から足音が聞こえてきた。まさか!
先生はついさっき来たばっかりなのに! コツ コツ コツ コツ コツ コツ コツ・・・
この部屋の前で止まった。震えが止まらない。
何やら話し声が聞こえる。しかし先生の声ではない。俺の知っている
人の声ではない。低く不気味な声・・・
 起きている全員部屋の真ん中に集まり、ガタガタと震えた。
叫びたくなるのを必死で堪えた。俺は死を覚悟して歯を食いしばった。

858本当にあった怖い名無し 2012/08/06(月) 10:42:05.38 ID:NYkAyMV/0

 5分か10分経っただろうか。やがてその足音と声はどこかへ
去って行った。
 みんな安心したのか、倒れるように寝た。俺は眠れなかったので
しばらく起きていた。
 次の朝、話題はこの夜ことでもちきりだった。だがただ一つ
疑問だったのは俺ら以外、誰もそれを見ていないことだった。
 中学に入ってからこのことを友人Bに話したら
「なんで起こしてくれなかったんだよ!俺も見たかったよ!」
 と言っていた。
「一応、起こそうとしたけど抵抗するからさ・・・」
「え・・・?覚えてない・・・」
終わり

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