洒落怖超まとめ

厳選じゃない、完全網羅のまとめサイトを目指しています

聖獣の絵

   

714本当にあった怖い名無し2020/11/06(金) 17:23:06.08ID:oNZAgxrw0

私は、九州在住の某宗派の現役の僧侶です。
毎日のお勤めと、例えば、
「報恩講」などの法要など様々な法要も行います。
その日時・内容をお知らせさせて頂く為、
不定期ながら、お知らせみたいな書面を作ります。
そのお知らせに、私特有のマークというか印を入れることが
門徒の皆さんとの会議で決まり、
そのデザイン等を決めなくては、ならなくなりました。

需要があれば書こうかとも思ってますが・・・


718本当にあった怖い名無し2020/11/06(金) 21:05:06.72ID:oNZAgxrw0


流石に、企画書などは書けても、
デザインは、やったことがないので、
その道のプロの方に、お願いすることになりました。
それが、Hさんです。
私が僧侶の世界に入る前の仕事で、名前は聞いたことがあり、
作品も拝見したことはあったのですが、面識はありませんでした。
こちらの門徒さんに、Hさんが開いている
絵画教室へ通っている方がいらっしゃり、
その方の口添えもあってのことでした。
ご紹介を頂き、顔合わせをし、世間話をしていく内に、
Hさんのご自宅兼お仕事場に、お邪魔することになりました。


719本当にあった怖い名無し2020/11/06(金) 21:36:40.04ID:oNZAgxrw0

住宅街の一歩入った高台に、ご自宅兼お仕事場はありました。
お仕事場でお打ち合わせをさせてもらってる時、
少し気になるというか、興味を惹く絵画があり、
壁になんとなく飾ってありました。
木枠のフレームに額装してあり、
グレーの背景をバックに
座った姿勢で、上を向く不思議な動物?生き物。
高貴な雰囲気が、絵から伝わって来る、
天を向くその表情は、優しさに溢れている、
座っている姿勢ながら、尻尾なのか毛なのか
猛々しい今にも動き出しそうに溢れている。
Hさんのオリジナルの絵なのか、
どなたか別の人が描いたものなのか、
その絵画が妙に気になって来て、
印の打ち合わせの途中ながら、質問してしまいました。


721本当にあった怖い名無し2020/11/06(金) 22:11:44.70ID:oNZAgxrw0

「あの、あの絵、不思議な感じがする絵ですね。
 何とも言われない、迫る魅力というか、包み込む優しさと言うか」
「え?」
私が感想を言い切ってしまう前に、
Hさんが喰い気味に、まるで感想を遮る様に、言いました。
「ご住職、はじめてです。これに感想言ってくれた人は」
何だか、Hさんのツボに入ることを言ってしまったと思ったのと同時に
また、この手の話に触れてしまったか・・・と思ったりしました。


722本当にあった怖い名無し2020/11/06(金) 22:48:13.85ID:oNZAgxrw0

Hさんは、続けます。
「今更ながら、これ、ご住職には、何に見えます?」
「何って空想の生き物、に見えますけど・・・違いますか、」
「なるほど・・・空想の生き物ねえ・・・」
「あ、あと、聖獣の様にも思えます、今ならUMAというか、
 あの、坊主のクセになんだと思われると、思いますが、
 私は個人的に、UFO、もUMAも信じているところがありまして、
 何となく優しく包んでくれて、それが、こう、迫ってくるというか」
「成る程、聖獣ねえ・・・そうなのかも知れません」
「この手の不思議な生き物描いてても、表現が違って来るのですか、
 何というか、その時の気持ちとか・・・」
「その時の気持ちというか、実物を思い出すんですよ」
「・・・ええ?」
「あれ、ご住職、UMA信じてるんですよね?」
「ええ、はい」
「これ、想像図じゃなくて、僕が見たままです」
ええええええええええええええええええええ?
この生き物を、実物を見た・・・
でた、やっぱり、また、この手の話だと思いました。


729本当にあった怖い名無し2020/11/07(土) 07:42:22.72ID:HMOsVMa20

すいません。夜と朝のお勤めで、時間が空きました。
つづけます。

「最初は、僕が小さい頃、小学校1年くらいかな、妹が3歳とか、
 あっ妹がいるんです。2つ年下なんですが・・・」
「はい・・・」
「その頃に、見たんです。ご住職、良いですかこの話して、」
「ええ、はい、」
「僕は、K県の田舎の町出身で、山じゃなくて海がすぐ近くにあって、
 N県なんかは、海渡った方が近いんです。で、」
「はい」
私は、Hさんの説明で、何となく場所を想像しました。
「ある夏、妹を連れて海に行ったんです。
 連れて行ったというか、家からすぐの海に出た、という感じですが、
 昼過ぎ位かな・・・ちょうど、誰もいなくて僕達二人きりだったんです。
 それで、まあ、遊んでたんです。
 で、気がつくと、妹がいない。
 焦りましたよ、独りぼっちで海辺にいるんですから、
 家に勝手に帰ったんじゃないかとか、
 そうは、思わなかったですね、
 どうしようか、と動けないでいると、
 海の、視野に入っている海と浜の端が曲がってというか、
 割れて、そいつが現れたんです。


730本当にあった怖い名無し2020/11/07(土) 07:58:05.66ID:HMOsVMa20

 まっ昼間ですよ、驚きましたね、驚いたまま動けないでいると、
 僕に近づいて来た、そして完全に僕の前に来た。
 いや、大きかったですね、多分、大人の身長くらいに感じてました。
 そして、尻尾から、妹が出てきた。
 驚いているのに、いなくなった妹が出てきて、
 ますます訳が、分からなくなっていると、
 そいつが、何となく
 安心しろ、大丈夫
 って言ってる気がして、あわてて妹の手を引いたんです。
 そしたら、空を見上げた風になって、
 そのまま、ゆっくり、消えて行ったんです。」
私は、最早、一方的に聞いていました。
「それから、妹を連れてダッシュで家に戻って
 母親に妹を預けて、忘れないように絵に描いたんです。」
「それが、この絵ですか・・・」
「いえ、この絵は、次に、今の所、最後に会った時のものです。」
「ええ?」
何で何回も会えるの?


731本当にあった怖い名無し2020/11/07(土) 08:12:28.23ID:HMOsVMa20

本当の体験談は、普通に聞いてられないなあ、
思ってもない方向で、進んで行っちゃうよ・・・
と思っていると、
「ええって、思いますよね、
 また会えるなんて
 僕も思ってなかったですから・・・。
 でも、折りにつけ描いてました。
 この出来事を、夢とか、あったよなってことには
 したくなかったんです。
 だから、忘れないように描いてました。
 そのせいで、小学校、中学校くらいは、
 詳しくもないのに、怪獣博士って言われたり、
 そうそう、次に会ったのは、
 だいぶ大きくなってからなんです。
 聞いて下さいね」
「はい」


732本当にあった怖い名無し2020/11/07(土) 08:28:02.89ID:HMOsVMa20

「僕が、もうこの仕事を初めてて、
 何か、不安のカタマリと言うか、漠然とした不安というか、
 そういうのに、滅茶苦茶、圧されて、
 今思えば、精神的にもだいぶん、まいっちゃてる時だったんです。
 仕事が、怖くなってて、
 デザインするもの、描いたりするものが、
 全部間違ってる様な、そういう時期だったんです。
 で、ある日、仕事の資料で「ウルトラQ」って
 子供向けドラマの、ある話を観たんです。
 それは、モノクロで昔の漁港が映っていて、
 実家の風景に観えたんです。
 どういう感情か、涙が出て、自分で抑えられなくて、
 漁港を走る子供が、自分の様な気がして、
 何か分からないけど、じっとしてられなくなって、
 時間は夜でしたし、自動車持ってないし、
 バイクで実家に向かいました。


735本当にあった怖い名無し2020/11/07(土) 08:41:36.18ID:HMOsVMa20

夜の高速道路って初めてで、対向車の風圧とか受けながら、
 自動車のタイヤの跡って、自動車じゃ気が付かないですけど、
 バイクだとモロで、うっかりすると、弾かれそうになるんですね、
 でも、とにかく、実家の風景を見たい、
 実家の風景に自分を当てはめたい、
 そう思って、バイクで向かいました。
 そんな感じで、着いたのは、
 まだ夜は完全に明けてなくて、
 少し、周りの風景が見える様な時間でした。
 そのまま実家に近付くと、バイクの音で近所も含めて
 起こしちゃうかもと思って、海沿いを少し走ろうと思いました。
 その途中、懐かしい風景が見えて、
 その中を走る自分が、優しい空気に包まれている様な感じになりました。


737本当にあった怖い名無し2020/11/07(土) 08:53:35.03ID:HMOsVMa20

さっきまで、高速を走っていた時とは、違う、
 こう、優しい・・・何か例え辛いですけど、
 僕を包み込んでくれる、様な感じとでもいうか、
 さっきまでの感覚が、小さく思える様な、
 そんな感覚になって、海沿いを走ったんです。
 で、急に喉が渇いたんで、自販機に向かいました。
 コンビニなんて、近くになくて・・・。
 で、自販機にバイクを止めると、前に広がる、
 もう見えている海に向かって歩き出しました。
 誰も周りにいない、この時は僕の為にある時間だと思えたら、
 また、涙が出ました。
 そしたら、視界の端っこが割れて
 これが、出て来たんです」


739本当にあった怖い名無し2020/11/07(土) 08:59:46.77ID:HMOsVMa20

Hさんは、ちょっと休憩と言って、私にお茶を勧めました。
こんな話は、普通聞いたら信じる人は少ないだろうな、
でも、何で初対面に近い、私に話すんだろう?
そう思っていると
「じゃ、続きです、ラストです」
とHさんが、話を再開されました。


740本当にあった怖い名無し2020/11/07(土) 09:09:18.96ID:HMOsVMa20

「あのお、視界の端っこが割れたという表現が当てはまっているのか、
 分かりませんが、そういう感じなんです。
 で、現れたんです。
 まだ明けきっていない薄暗い、K県の浜に、それが現れた、
 びっくりです、びっくりなんですが、
 僕はどこか、これに会えるのも、期待というか分かってた気がしました。
 まあ、兎に角、これが現れてくれた。
 僕は、すぐ声を掛けました。
 「久しぶり、俺のこと、覚えてる?」
 こいつは、犬みたいな動作、伏せをしました。
 こういう風に、頭を下げて、
 僕は物凄く嬉しくなって、抱きついたんです。
 そこから、急に記憶が飛ぶんです。


743本当にあった怖い名無し2020/11/07(土) 09:20:07.61ID:HMOsVMa20

 けど、
 真っ暗な中で、声がしたような覚えがあるんです。
 心配いらない
 でも
 辛いことが迫ってる
 でも
 あなたは大丈夫
 その声というか、メッセージが残っていて、
 はっと、して目が覚める、というか気が付くと、
 あいつは、このポーズをして、
 明けかけの朝の海に、消えて行ったんです。
 こう、段々薄くなるというか・・・
 それだけです。
 何なのか、正体とかなんかも分かりません。


744本当にあった怖い名無し2020/11/07(土) 09:29:05.58ID:HMOsVMa20

 それから、今まで図鑑とかネットで調べても
 同じ様な、聖獣いないし。
 でも、あの温かさというか、温もりが僕には残ってる
 だから、独立もしたし、結婚もした。
 子供も出来た、教室も開いた。
 なんか、自分がやってる事は、間違いじゃない、安心していいんだ、みたいな。」
Hさんが、話をする為に、前のめりになっていた姿勢に気づいて戻しながら、
「こういう話なんです、オチも教訓じみたところも、ありません。
 長々とすいませんね」
と言いながら、
「けど、不思議です、こんな話を、一気にご住職にするとは・・・
 充分、ヤベエ奴ですよね、すいません。
 でも、初めてなんです、こいつの絵に質問して下さる方は・・・」


746本当にあった怖い名無し2020/11/07(土) 09:41:07.99ID:HMOsVMa20

その後、
Hさんの話が、私の想像を超えていたので、主要なところを再度お聞きし、
許可を得て、その「聖獣」の絵の写真を撮らせて頂きました。
そして、自分の体験を体験談として話すということの大切さを、
分からされた、気がしました。
これがきっかけで、Hさんとは、よく話をする仲になりました。
2018年の暮夏のことでした。
今回のこの行為も許可を頂きました。
2020年の今年になって、あの妖怪の話にも似てると思いました。
まだまだ、コロナ禍は治まりませんし、
冬場の過ごし方も去年とは違うと思いますが、皆様お気を付け下さい。
合掌
転載元:http://mao.5ch.net/test/read.cgi/occult/1597272376/

 - Part 360, 洒落怖