見たくない夢
757 １/３ sage 05/02/17 17:21:41 ID:RL/y9GU80
夢を見た。
何かの用事だったと思う。
俺と友人達は、大きな建物の入り口に居た。そして困っていた。
係の人が出てこないのだ。
そもそも建物に人のいる気配がない。
二階の搬入口はシャッターが半開きになっていた。
非常灯だけの内部が見えているが、勝手に入っていいかどうか迷う。
とりあえず犬を連れた友人が裏口に回ってみることになった。
表に人がいないのは裏手で何かやっているからかもしれない。
俺達は係の人がいつ来てもいいように、搬入口前で待つ事にした。
遅い。
ずいぶん経ったのに、裏に向かった友人がなかなか戻って来ない。
係の人が来る様子もまったく無い。いったいどうしたというのか。
もう何度目になるか、誰か来ないかとシャッターの奥を覗き込んで――
なにかいる。
それは先ほど裏に行った友人だった。
友人が、奥の曲がり角の辺りに立っていた。
758 ２/３ sage 05/02/17 17:22:51 ID:RL/y9GU80
全身が血塗れだった。
皮膚が破れて、ところどころ赤い筋肉が露出していた。
両の眼球は完全に白目を剥いていた。
一緒だった筈の犬が居ない。
犬をつないでいた紐の先はちぎれていた。
友人の口許からは血がぼたぼたと滴り落ちている。まさか、
短い悲鳴が聞こえた。
他の連中も友人に気付いたのだ。
友人はそれを聞きつけ、身の毛もよだつ唸り声を上げながらこちらへと走ってきた。
わっ、と全員が一斉に散った。
俺も走った。一目散に走って逃げた。
壁横の、片足分の幅しかない狭い足場を全力で走った。
後ろから何かが凄い勢いで飛んできて前方の壁に突き刺さった。
斧だ。
後方から走ってくる友人の叫び声が聞こえた。
「武器をブキを、その武器をオレにヨコせェエエえェ!!」
ヤバイと思った。あの斧を奪われたら殺される。
殺される。斧で。斧で殺される。叩き殺される。斧で。
先に奪わなくては。あれはコチラにとっても武器になる！
必死の思いで斧のある場所まで到達し、それを引き抜き、
今まさにこっちへ向かって大きく跳躍してきた友人へと
全力で投擲した。
胸の中央に斧の刃をめり込ませた友人は、うめき声ひとつたてずに落ちていった。
759 ３/３ sage 05/02/17 17:24:20 ID:RL/y9GU80
直後、
「なにやってンだーーッ!!」
という怒声が聞こえた。
俺とは逆側に逃げていた他の友人達だった。
何を？、と
足場の下方に、白衣を着た男性がいた。
絶命した友人の胸から斧を引き抜いている所だった。
その男はこちらの姿を確認すると大きく振りかぶって
斧を、投げた。
理解した。今さらになって理解した。
友人は化け物になどなってはいなかったのだ。
コイツにズタズタに切り刻まれてここまで必死で逃げてきたのだ。
それを俺は 助けを求めて逃げてきた友人を 俺は 恐怖のあまり 俺は
斧を叩き込まれた衝撃で 目が覚めた。