洒落怖超まとめ

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開かずの間~余談~

   

昨年(2003)の6月頃、仕事で○神温泉の近くへ行った。
沼田ICから国道120号○割の滝を越え右折した所に、当時「鎧橋」という古い橋が架かってい
た。私と先輩は、旧橋から新橋に架け替える為の現地調査に訪れた。
朝6時に東京を発ったので、夕刻には仕事を終えていた。その間、やたらと世話を焼いてくれ
た年の頃40代後半の近所のオバサンがいた。
「この辺りは山菜がたくさん取れるでしょうね」と先輩が言えば、弁当時に山菜の天ぷらを
山ほど振舞ってくれたり、休憩時には冷えた麦茶をご馳走してくれた。

なんでも「鎧橋」という名称は、源氏だか平家だかの落ち武者が川の大岩に鎧を取って一休
みしたという伝説からついたとか。なるほど川を見下ろすとコンテナ大の大岩があった。
若い頃は保険の営業をしていたという、おしゃべりなオバサンは私が帰り仕度をしている時
に一言、
「人柱が立たなきゃいいけどね」と。
「えっ、どういう意味ですか?」と訊ねると、
「いや、犠牲者というかね、死人が出なきゃいいってこと」と普通に答えた。
旧橋の工事のときに作業員が一人死んだと言う。
(いやなこと言うババァだな)と思ったが、オバサンが去り際に小声で、
「今日は無かったね」と呟いたとき、心底ゾッとした。

今は新しい「鎧橋」が架かっていると思います。死人が出たかどうかは知りません。

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