洒落怖超まとめ

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電車

   

654 名前:電車1 投稿日:03/02/16 17:47
ガタン! 「ッ!?」
俺は激しい衝撃を体に感じた…目の前には電車の床があった。
「そうか…眠っていたんだな」
そう呟いて俺は体勢を立て直した。
それにしてもこの電車は静かだ…。誰一人として喋らない。
それどころか、瞬きもしないし、ほんのちょっとだって動きやしない。
目は空を一点に見つめていて、口はあんぐりあけている。
…気味が悪いな。そう思った時だった。
「っ……あれぇーー?」
変な事に気付いた。乗客のおでこと、口と、胸に、お札の様なものがはってある。
おでこは赤、口は青、胸は黄色だ。
しかもそれは乗客全員はられていて、はられて無いのは俺だけだった。


657 名前:電車2 投稿日:03/02/16 18:31
「なんだよ…これ…」
俺は鈍感だが、そんな俺でもさすがに恐ろしくなった。
これじゃあ、まるでマンガに出て来る様な「死人の乗ってる電車」じゃあないか。
何とかして脱出せねばならぬと考え始めた時、 プシューッ!
車両のドアが開いた。そして車掌が立っていた。
「……!!」ゾォッとした。恐ろしい雰囲気が伝わって来る。
車掌はこの車両を見回し、そして俺の方を向いた。
「……まだはられてなかったのですね…」
低い声で呟いた。そして、車掌の制服のポケットから、例の三色のお札を出した。
(なんだあれ…!やばい、絶対やばい。アレをはられたら、死ぬにちがいない!)
そう思った俺は、電車から脱出するために走り出した。
車掌はそんな俺を、恐ろしい顔でにらんだ。


659 名前:電車3 投稿日:03/02/16 18:42
(っこ…こっちを見るな!)
心の中で叫び、後ろの方にある隣の車両に繋がる扉を、強引に開けた。
やはり隣の車両も、同じ様に皆お札を貼られ、無表情だった。
後ろからゆっくりと車掌が追い掛けて来る。
俺はまた走り出した。
「っは…はぁ…っく…!この電車は何両あるんだっ!!」
そう叫んだ俺の目の前に、またもや扉が。
後ろをちら、と振返った。追い掛けて来る車掌は、バイオハザードのゾンビ
みたいにわらわらと増えている。
「く…そっ!」扉を開けた。
ゴオォォォォ…………!
突然突風が吹いた。車両はさっきので終わりだったのだ!
電車は俺から見て後ろに進んでいる。ここから飛び下りて引かれる心配はない。

660 名前:電車4 投稿日:03/02/16 18:49
しかし物凄い早さだ。引かれなくても、骨折とかをするかもしれない。
「どっ…どうしよう……」後ろを向いた。
恐ろしい顔で追い掛けて来る車掌達がいた。俺は、意を決した。
「あんなヤツらに殺されるくらいなら、骨折がなんだ!」
バッ!「うわああああ!」ガタンガタンガタン………
電車は通り過ぎて行った。車掌は追い掛けてこない。
俺は…助かった!
しかしやはり、腕の骨が折れているようだ。激痛が走る。おまけに足から血が…。
俺はよろよろと立ち上がり、あの電車から逃れるかの様に歩き出した。
血が出る足をひきずり、腕をおさえ、よたよたと歩く。
「はぁ…はぁ…痛いな………俺…どうなるのかな……」
頭がぼんやりしてきた…死ぬのかな…。
そう思った時…!


662 名前:電車5 投稿日:03/02/16 19:01
「出口……?」
まぶしい光が目の前に現れた。俺は思わず目を覆う。
きっとこれで助かるんだ…。俺は、希望と安堵に満ちた顔で光に近付く。
「これで……きっと………」パアァァ……。

「そう思うのは早いぞ」「!?」車掌かッ!?俺は光のまぶしさに瞑った目を開けた。
眼中に入って来たのは、見るにもおぞましい光景だった。
串刺しにされた人…燃やされる人…ぐちゃぐちゃになった人…拷問を受ける人………。
「な、なんだ……ここは!?」
どこからともなく、低い地に轟く様な声が聞こえた。
「ここは地獄だ。男。お前は天国へ行く電車に乗っていたのに、神にあがらい
電車からおりた。よって罰として地獄に落ちたのだ!」
それを聞いて愕然とした。そして思い出した。
俺は事故にあって死んだ…。あの時の激しい衝撃は、事故の衝撃だったんだ!
「なに…?そんな…あれ……うそだ……うそだ……うわああああああああ!!」
俺の声は、地獄のかまどの業火にかき消されたのだった。

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