私が高校生の頃の話
私の家は母がパートに出ていたので11時から夕方まで、平日の昼間は
犬が一匹で留守番をしていた。
ある年、夏休みに入って、買ったばっかりの食パンやフランスパンが
かじられるという奇怪な事件が相次いだ。
電子レンジの上のかごには他にバナナ等の果物も乗っているのに、
被害にあうのはなぜかパンだけであった。
母はわたしが部活帰りや深夜に、つまみ食いしてるのだと思っていたらしい。
「なんで1枚全部食べずに置いておく必要があんねんな。
しかも、なんで袋ごとかじってつまみ食いせなならんねん。」
とばっちりをうけた私は真犯人をつきとめようと、電子レンジの上、
かごに入って乗ってるパンにテグスでドアベルをくくりつけた。
早朝、チリンと音が。駆けつけてみるとテグスは引きちぎられ
パンは床に落ちていた。
「お前なにか見たか?」
いつも台所に寝ている犬に聞いてみてもうれしそうに尻尾を振るばかり。
つづく