2230時
230 1 ◆yagi3nMXmk sage 2005/10/26(水) 03:53:33 ID:bJUMiTta0
10年前の自分が体験した話。
ある夏の終わり、自分の隣の家のおばさんが亡くなりました。隣家は瓦屋だったのですが、おばさんは屋根から転落して亡くなってしまったそうです。
その日は通夜が行われておりました。当時、自分は浪人生活をしていて、まぁそれなりに夜勉強をしていたわけです。2230時ごろ、タバコが切れたのでちょっと買いに行って来ようと外へでました。自分の田舎は東京近郊といってもかなりの田舎でして日が沈むとまず明かりはありません。しかも家の裏手はお寺の墓場なので人通りは皆無。
232 1 ◆yagi3nMXmk sage 2005/10/26(水) 03:54:44 ID:bJUMiTta0
外へ出ると隣の家の提灯の明かりだけがぼぅっと光っていましたが、御通夜など経験してみるとわかると思いますが、それなりに人がいて案外怖くは思わないものです。
実際、そのときも恐怖心などは抱きませんでした。少しは怖かったですが。
さっさと買ってこようと自転車に跨り、その家の裏口を通ったとき、だれかが出てきました。周りに明かりが完全にないためシルエットしか見えませんでしたが、当然、私はお通夜の手伝いの人だと思い、「こんばんわ、夜分遅くまでご苦労さ・・・」
言い終わるか否か、その影はまるで流れるかのようにすぅっとお寺のほうへ消えていってしまったのです。距離にすると40㍍ほどでしたが、走ったというふうでもなく、歩いたというふうでもないんです。本当に音もなく、すぅっと。しかも、人が歩くスピードよりはかなり速く、走るよりは遅い。
「え・・・?」と思うよりも早く、家に引き返しました。それからはいやな感じがしていたのでその晩は早々に寝てしまいました。
233 1 ◆yagi3nMXmk sage 2005/10/26(水) 03:56:00 ID:bJUMiTta0
翌朝、目覚めてもなにかいやな感じが残ってました。いやな感じというよりも、不思議な感覚と言った方がいいかもしれません。漠然とした『事故』のイメージが頭から離れないんです。そういう夢をみたわけでもないのに。その時は「事故にあえば受験勉強しなくてもいいわな」ぐらいにしか考えず、さっさと支度をして予備校へでかけました。その日は1日中予備校でしたが、全ての授業が終わっても事故のイメージは消えませんでした。
東京まで通っていたので地元の駅に着くころにはだいぶ遅くなっていました。原付を走らせ、幹線道路を渡ると・・・光に包まれました。
考える隙間もなかったです。信号を無視した車にひき逃げされました。その時間が2230時・・・