ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 31-40 > Part 36 > 上智小劇場 2016/04/27 48 名前:上智小劇場1/4 投稿日:03/05/02 05:04 東京・四谷にある上智小劇場は、上智大学の中にある小さな劇場です。 大学の中でも一番古い建物である、一号館のどんづまりにあるこの劇場は、 かつてチャペルとして用いられていたのですが、大学紛争時に、学生が演劇活動を するための場所が必要であると、先日退官されたある神父様が意を決して黒塗りに してしまったという、いわくつきの場所です。 この劇場に足を運ぶと、そんな往時のチャペルを思わせる内装が目に付きます。 客席を寸断するように並ぶ太くて四角い黒い柱には、チャペルの装飾が施してあります。 実際に芝居をやる僕たちにとっては、ちょっと邪魔っけで、でもなんか伝統を 感じさせてくれるような、不思議な空間を形作るものでした。 49 名前:上智小劇場2/4 投稿日:03/05/02 05:05 劇場には人の気が集まりやすく、いろいろな怪異も起こりがちだと言いますが、 この上智小劇場もご多分に漏れず、様々な話が伝えられていました。 幼児が客席を走り回って、黒い柱の中に消えたとか。 一人で舞台に残って稽古をしていて、気配を感じて振り返ったら、 無人のはずの客席に満員のお客さんがいたとか。 しっかり固定したはずの重い照明が、さっきまで役者が座っていた舞台の真ん中に いきなりガシャンと落ちてきたりとか。 そんな場所なので、僕たちは必ず、舞台稽古に入る初日には、舞台に向かって 右側、上手の隅の暗がりにお神酒を備え、舞台の無事と成功をお祈りしたのでした。 カトリック系の大学なのに変な話ですよね。 50 名前:上智小劇場3/4 投稿日:03/05/02 05:05 その時一緒に舞台に上がっていた女の子の中に、感じやすい人がいました。 僕と同じ新人です。彼女ももちろん、神妙な顔でお祈りに参加していました。 しかしその翌々日、舞台稽古に入って3日目、いよいよ明日は本番という日の 夜7時頃だったでしょうか、稽古中突然、舞台袖の暗がりで、大声で叫んだのです。 「嫌ァ!」 彼女はそういうと腰を抜かして、大声で泣き崩れてしまいました。 舞台監督をしていた先輩も、ただならぬ雰囲気に稽古を中断し、腰を抜かした彼女を とりあえず照明の当たる舞台中央へと運んできました。彼女はガクガク震えていました。 「あそこ、こわい…なんか、なんかいた気がする!」と半狂乱です。 先輩たちは、結構こういうことに慣れているのか、彼女の肩を抱いて慰めます。 「大丈夫だから、悪さはしないから」 しかしこの時初めて舞台を踏む僕は、彼女が泣いている姿がかわいそうで、そして 彼女を泣かせた存在にマジでむかついて、彼女が怖がった場所にずかずか入っていくと、 「どっかいけ馬鹿野郎!」と暗がりに向けて大声で叫んだのです。 先輩たちは呆れ顔でした。 51 名前:上智小劇場4/4 投稿日:03/05/02 05:06 その後は彼女も、いろいろ気配を感じつつも落ち着きを取り戻しました。 怪異があろうとなかろうと、舞台の初日は待ってはくれないので、みんなで深夜まで 毎日稽古を続けていました。あっという間に初日、そして楽日(最終日)です。 舞台が進んで、僕の出番。かれ気味の声をだましだまし出して演技をし、なんとか 終了。あとは曲が鳴って、暗転の間に暗闇を5歩歩いて舞台から退場するだけです。 みんな無事に最終日までやり遂げることができた、お客の入りも悪くなかったし、 よかったなぁと思ったその時でした。 真っ暗闇の中で、僕の右足が空を切りました。あるべきところに床がない。落ちる… と思うまもなく僕は2m近い高さのセットの裏の床へと転落。ものすごい音がしましたが 曲にまぎれてなんとかごまかされました。僕はそのままセットの裏で、激痛で動けない まま転がっていました。結果、右足首捻挫。ぱんぱんに腫れ上がって松葉杖なしでは 歩くのもままならない状態。楽しみしていた打ち上げにも参加できずに、一人寂しく 帰りました。でもこんな軽症で済んでよかったです。 僕の頭の数センチ脇には、セットの裏の五寸釘が何本も出ていたのでした。 以上、「女の前だからって粋がると大変な目にあう」という話でした。 実話だけどあんま怖くないね。長文スマソ B! LINEへ送る - Part 36, 洒落怖