ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 31-40 > Part 34 > 当たり屋 2016/04/25 318 名前:1/2 投稿日:03/04/20 23:04 叔父に聞いた話。 今はどうか知らないが、昔は当り屋という商売があった。 自分で車にぶつかっておいて運転手に因縁をつけ、慰謝料や口止め両を ふんだくるという、ヤクザな生業だ。 叔父が小学生のころ、自転車ごと車にはねられたことがあった。 幸いたいした怪我もなかったのだが、運転手が車から降りてくると 突然見知らぬオッサンが横から現れて 「おい、俺のガキになんてことしてくれたんや」 と運転手に迫った。 叔父が怖さと痛さで泣いていると、オッサンは金銭を要求しだした。 もめた末、オッサンが運転手をどつくと運転手は 悲鳴をあげて車に乗り込んであっという間に逃げてしまった。 319 名前:1/2 投稿日:03/04/20 23:05 オッサンは「済まんかったな坊主」といって慰めてくれた。 叔父はなんとなくこの人は当り屋だと分かったという。 それを聞いてみると、 「俺はな、むかし無茶しすぎていま体ボロボロや。 首は何度もやったし、肋骨も一本ないんやで」 そう言って胸を触らせてくれた。 その時異様な胸の冷たさに叔父はぞっとしたという。 「それにな、心臓もないんや」 無理やり触らされると、そこも冷たくて確かに鼓動はなかった。 「じゃあ、俺あの運転手追いかけるわ」 そういうとオッサンは叔父を残して去っていった。 あれはこの世のものではなかった、と口癖のように言う。 B! LINEへ送る - Part 34, 洒落怖