見に覚えのないメール
26本当にあった怖い名無し sage 2007/08/08(水) 15:42:46 ID:Obszm+Oc0
もう5年ぐらい前のことだが、ケータイに身に覚えのないメールがきた。内容は大体こんな感じ。
「Aさんへ。○○ホールの後の打ち上げに参加した●●ファンのBです。
あの時の約束を果たしたことをお伝えします。人より1年遅れですが、無事高校を卒業しました。
春からは専門学校に行きます。Aさんもがんばってください」
俺はAさんじゃないし、身に覚えがない。ケータイ番号を新しくして(キャリアを変えた)半年ぐらいした時だったので、前の持ち主に宛てたメールなのだろう。
(メールはほとんど使っていなかったし、迷惑メールもなかったので、アドレスを
ケイタイ番号@キャリア
のままにしてあった。なので、番号さえ知っていれば、誰でもメールを送ってこられる)
俺は持ち主が代わっていることを返信した。
すると
「すみません。わざわざありがとうございます」という返事。
これでメールのやりとりは終わった。
メールの内容を読み返してみると、どうやら●●というのはバンドの名前らしい。 どんなバンドなのか気になって、検索してみたのよ。
インターネットっていうのは本当に便利なもので、「インディーズバンドデータベース」みたいなページが見つかった。
27本当にあった怖い名無し sage 2007/08/08(水) 15:44:41 ID:Obszm+Oc0
さっそく●●を検索してみた。
●●はインディーズではぼちぼち有名なバンドのようだった。 当時流行っていたシャズナみたいなバンドで、メンバーは全員女装。
はっきり言っちゃうとシャズナのパクリバンドのようだった。
メンバーの中にAさんの名前があった。今もがんばって活動しているようだ。
さらに調べてみると、●●はインディーズバンドにありがちな、メンバーが出たり入ったりしているバンドのようだった。
そのホームページには、●●に少しでも所属していた人が、どんなバンド経歴を持っているのか書いてある。
メンバーA
AAAAA→BBBBB→CCCCC→●●
とか
メンバーZ
CCCCCC→●●→ZZZZZZ→XXXXXX
こんな感じ。
サッカー選手でいうなら
ジュビロ磐田→FC東京→べカルタ仙台
みたいなものね。
28本当にあった怖い名無し sage 2007/08/08(水) 15:45:29 ID:Obszm+Oc0
するとほとんどのメンバーが
AAAAA→BBBBB→CCCCC→●●→死亡
DDDDD→EEEEE→●●→死亡
となっている。
「主要メンバーが●●から一気に抜けて、次のバンドを組んだのか…。それにしても『死亡』ってバンド名はちょっとじゃね。
この名前のままじゃ絶対にメジャーデビューできないだろ」と思った。
バンドって変な名前(失礼)付けるじゃない? だから『死亡』もバンド名だと思ったのよ。
違った。メンバーのほとんどが死んでいた。
よく調べてみたら、プロモーションビデオの撮影で、メンバー全員が橋から川に飛び込むシーンがあったらしい。
その時、思っていたよりも川が浅くて、底にぶつかり死んでしまったそうだ。
ひとりは無事だったが、彼も事故から1年後に自殺してしまっていた。
Aさんは亡くなった初期メンバーの意思を受け継いで活動を続けている人だった。
調べたことを後悔した。いい気分ではなかった。
29本当にあった怖い名無し sage 2007/08/08(水) 15:46:27 ID:Obszm+Oc0
それからさらに2年後。
「よう、どうしてる?」
それしか書いてないメールが届いた。
すぐにピンときた。これを出したのはAさんの元バンド仲間で、一度はバンドを組んだものの、
音楽性の相違とかそんな理由で喧嘩別れしてしまった人なんだろうと。
時が過ぎて、ふと懐かしくなってみたりしたんだろうと。
でも、なれなれしいメールは出せなくて、ぶっきらぼうなメールを送ってよこしたんだろうと。
と同時に、その差出人が●●の初期メンバーのひとり、死んだ人だとわかった。理由はない。うまく説明できない。
ただ、猛烈ないきおいで「死んだメンバーの誰か」だと理解した。本当になんで分かったのかは分からない。
本能がそうだと告げている、そんな感じだった。
怖くて怖くて手がふるえた。震える手でケータイのバッテリーを抜こうと思ったが抜けない。 電源を切っただけじゃダメな気がした。
何度も何度もバッテリーを抜こうと試みたが、手が震えてダメだった。
仕方がないので、折った。折りたたみタイプのケイタイを、ヒンジの部分から折った。大声で
「こんちくしょー!!!」って叫んでた。汗だくだった。
「もうこの番号は使いたくない…」と思ったのですぐに解約して、違うキャリアにしましたよ。
ケイタイの番号って、一定期間寝かせた後、また使い出すって言うじゃないですか。
あの番号がいずれまた誰かの所に行くかと思うと、ちょっと怖い。