洒落怖超まとめ

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息を吹きかけるもの

   

1976年から1978年。京都北区に後輩の前田(仮名)が下宿していました。
2階建ての木造下宿アパートは玄関を入ると両側に4畳半の部屋が6部屋ずつ
並び、2階も同様の作りで、部屋ごとに植物の名前がつけられていました。
蘭(らん)とか楓(かえで)とか桔梗(ききょう)とかです。
夕方、日も沈みかけた頃に帰ってきた前田は玄関を開けると、薄暗い
ローカを、漠然とした黒い気体のような物が各部屋にサーッと散らばって
入っていく様子を見てしまいました。何だろう?と思ったそうです。
目の錯覚かなと思ったと言ってました。当時、ほとんどの学生はバイトを
していました。前田が帰ってきたときには下宿には誰もいない状態でした。
前田の部屋は1階の一番左奥でした。気のせいだろうと思い自分の部屋へ
向かいました。

下宿の部屋の日差しは全体的に悪く、特に一番奥にある前田の部屋は
昼でも明かりを灯さないと真っ暗な状態でした。引き戸の部屋の戸を
開け、中に入り、手探りで蛍光灯のヒモを探し、それをつかんで
明かりをつけようとしたまさにその時です。
外から帰宅して、部屋の暗さに目の慣れていない状態の前田の
すぐ目の前から、何かが「ハァーッ!」と息を吹きかけてきたのです。
前田は慄いたと言っていました。驚いて、すぐに明かりをつけたの
ですが、何も部屋にはいません。
一体、今、自分の顔に息を吹きかけたのは何者だったのだろうと
言っていました。

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