ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 31-40 > Part 34 > 足 2016/04/25 21 名前:モーゼル 投稿日:03/04/19 04:32 大学生時代、学校の近くのアパートに一人暮らししてる友 人(仮にSする)は、俗に言う「霊感の強い奴」だった。 元々俺は幽霊話・怪談話は好きだったが、あまり「霊を見 る」事は無かったと思う。 所がSと付き合い始めてから、そいつの影響か、よく「霊 体験」をする様になった。 俺はその頃Sと本当に仲が良く、家に帰らずにSの家に何日 も泊りっぱなしという事も珍しくなかった。 あれは確か、7月の半ば位だったか。俺の所属するクラス の殆どの皆が課題を期限内に完成させる事が出来なかった ので、他の科の奴等は夏休みに入っているにも関わらず、 登校して作品制作に精を出していた。(美大だった為) 28 名前:モーゼル(続き) 投稿日:03/04/19 04:38 その日も帰りが遅くなった事もあり、家に帰るのがかった るくなってしまったので、Sの部屋に泊めてもらう事にし た。 工房内にエアコン等ある訳も無いので体中汗臭く、またFR Pを使っている為に作業服を脱いでも体のあちこちにガラ ス繊維が付いているので、チクチクして仕方がない。 俺はシャワーを浴びさせてもらう事にした。 先にシャワーを浴び終えたSは、「ちょっと用があるから 出掛けてくる。シャワー浴びてて良いよ。」と言って出て 行ってしまった。 ようやくこの不快感から脱出できる・・! 人の家にも関わらず、着ていた服を適当に脱ぎ捨て風呂場 に入った。 こういう時のシャワー程気持ちの良い物は無い。 昇天するかの様な気持ちの良さを満喫しながら、髪を洗い 始めた。 30 名前:モーゼル(続き) 投稿日:03/04/19 04:42 その風呂場には小さい椅子が置いてあって、それに座り、 下を向く感じで髪を洗っていたのだが、なんとなく違和感 を感じた。 ・・・人の気配? 視界には自分の膝、そして爪先・・・と入って来るのだが 、その先にもう一つ(いや、1セットと言うべきか)ある 。 俺が入った時は、(当たり前だが)先客は中にいなかった 。 小さい。男の足では無い。女か? しかも薄~い土色というか、生気の無い色をしている。作 り物の様だ。 ・・・で、爪先はこちらを向いている。 一瞬パニくりそうになったが、Sが言っていた事を思い出 した。 「向こうに、こっちが(向こうの存在に)気付いてる事を 悟られては駄目だ。」 その場が風呂場とは思えない程全身を寒気が包み、泣きそ うになるのを堪え、目を閉じ、必死で気付かないフリをし て髪を洗い続けた。 33 名前:モーゼル(終) 投稿日:03/04/19 04:47 不意に、その「足」の方から声が聞こえてきた。 こもっていると言うか、丁度隣の部屋のテレビの音が聞こ える様な感じで。 何を言っているかは聞き取れない。会話の様に聞こえたと 思う。 時間の感覚は既に無い。その「物体」は永遠と俺の前で会 話らしき物を続け、俺は髪を洗い続けている。 その時だ。ふと「会話」が止んだかと思うと、その「物体 」は『バタン!!』と物凄い勢いで風呂場の扉を開け、『ドン!ドン!ドン!』とアパート中に響き渡る程の大きな足音を立てて走り、『ガラララ、バン!!』とまたも物凄い勢いでベランダのドアを開けて出ていった。 俺はもうその場にいる事が出来ず、シャンプーも流さずに ズボンだけ履いて外へ逃げ出て、Sが帰ってくるまでアパ ートの門で震えながら座り込んでいた。 B! LINEへ送る - Part 34, 洒落怖