ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 21-30 > Part 25 > この世の人じゃない 2016/04/16 795 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/02/06 20:57 すいません、ちょっと失礼します。 このスレのことは、大学の友人の洋子(仮名)から教えてもらいました。 っていうか、オカルト板を見るのは、今これがはじめてです。 そしてたぶん、というか、絶対、これで最後でもあります。 ほんとうはこのスレだけには関わりたくなかったんですけど、 このカキコだけしておかなくちゃと思ったんです。 ここを見てる人たちのために。。。 信じてもらえないかもしれませんけど、黙っているのは やっぱりよくないんじゃないかと思いましたから。そもそもわたしが2ちゃんねるを見るようになったのも洋子の影響です。 彼女に、「面白いから見てみなよ」と何度もすすめられるまでは、 2ちゃんねるはひどい荒らしと下品なカキコばかりの掲示板と 思っていました。いろんな事件もありましたし。。。 でも、実際に見てみると、わたしのよく行く少女漫画板なんかは、 とっても楽しくて、「なんだ、こんなことなら偏見をもたずに、 もっと早く見ればよかった」と思いました。 でも、この前の金曜日、夕方おそく、洋子から電話がかかってきて、 いきなり、「2ちゃんねるはもうやめたほうがいいよ」と言うんです。 あんなに面白がって勧めていたのは自分なのに。 なぜかと不思議に思って聞くと、逆に聞き返されました。 「あなたはいつもどの板のどのスレ見てる?」って。わたしが、 「少女漫画板のスレいくつかと、邦楽板、純愛板とか」と答えると なぜか小さくため息をついて、「本当にそれだけ? なら、よかった。もしもってことがあるし、責任感じてたから」と。 責任とか何とか、それはどういうことかと聞くと、 「とにかく2ちゃんねるはもうやめたほうがいい」と言うばかり。 それから、ごちゃごちゃ話をして、「電話じゃなんだから」と 洋子がこのアパートに来ることになったんです。 796 名前:795 投稿日:03/02/06 20:59 わたしは実家の祖母が倒れたというのでしばらく帰省していて、 洋子と顔を会わせるのは十日ぶりくらいでした。 ドアの前に立っている彼女は、なんか、すごく雰囲気が違います。 普段はうるさいくらい明るい子なのに、妙に深刻な顔つきなんです。 目のしたにうっすらクマができて、ひどい風邪でもひいたあとって感じ。 とにかく、わたしは彼女を部屋にあげ、コーヒーを出して、二人でこたつに 足を突っ込みながら向かい合って座りました。 洋子は黙ってコーヒーを半分くらい飲むと、「ネットって怖いよ」と ぽつりとつぶやき、顔をこわばらせたまま話し始めたんです。洋子の高校時代からの友達で恵美(仮名)という子がいたんですが、 これが「見える人」なんだそうです。 洋子から話は聞いていたけれど、わたしは普段あまりつきあいないし、 そんなの信じてなかったし、どうせちょっとブサイクだからって 人の気をひくために、そんなこと言ってるだけじゃないかと思ってました。 実際に、洋子が恵美といて不思議な体験をしたことはなかったみたいだし。 一回だけ洋子と他の友達とわたしのアパートに来たこともあるんですが、 人の部屋に入るなり、きょろきょろあちこち見て、「うん、大丈夫」とか 小声でつぶやいてて、変な子だと思ったのをおぼえてます。 797 名前:795 投稿日:03/02/06 21:01 とにかくその恵美が、一週間ほど前に洋子の部屋に来て泊まったとき、 一緒に2ちゃんねる見てカキコしてたそうなんです。 独身男性板とかでネナベやって煽ったりして、げらげら笑ってたら、 夜中の二時近くになって、もう寝ようかとしてたとき、 恵美が洋子のブックマークのひとつを見て、「何これ?」ってクリックしたんです。 洋子は一瞬、ヤバイと思ったみたいです。 それはオカルト板のスレだったんで、恵美がまた「霊感少女」ぶって、 ウザくなるから。案の定、恵美の様子が変わって、マジに眉をひそめて、 「なに~~~これ。こんなの見ちゃ駄目だよ~~。いつも言ってるでしょ、 こういう話は、面白半分で読んだりするだけでも良くないんだよ。 このスレ、ブックマークから削除しなよ」 798 名前:795 投稿日:03/02/06 21:02 洋子はオカルト好きだけど、しょせん真剣には信じてないんで、 そういう恵美の態度が鼻につくんです。それに、その時は勝手にブックマーク 削除されそうになって、ちょっとむかついて、 「こんなの、どうせみんなネタだし、雰囲気つくって遊んでるだけだからいいじゃん」 って、言ったんです。 そしたら、恵美がモニターのスレッドをじっと見て、スクロールさせながら、 「ううん、違うよ、これほんとヤバイ・・・」って言うんです。 ネタとか作った話ばかりに見えるけど、本物もあるって。 ほんとに霊体験した人がカキコしてんのかって、洋子が聞くと、 「うん・・・・それもある。それはまだいいんだけど・・・」 って、恵美が独特の暗い声出して、 「この世の人がカキコしたんじゃないのもある。それがヤバイんだよ・・・」「うそ、じゃあ、どれがネタでどれがその『あの世の人からのカキコ』か 恵美にはわかるの?」って洋子は聞いたんです。 そしたら、恵美が、ずーっとスレを見ていって、このレスはネタ、これもネタ、 これは実体験ぽい、これはネタ・・・ってやりだしたんです。 洋子は正直「また出たよ、自称霊感少女が」と心の中で思ったんだけれど、 恵美があまりにも真剣にモニター睨んでるんで、ちょっとそれ自体が 異様な感じで怖かったそうです。 そして、画面をスクロールしてた恵美が、いきなりあるレスを指差して、 「これは・・・これ書いた人、人間じゃないよ・・・」 799 名前:795 投稿日:03/02/06 21:03 それは、見てみるとすごく短い文章で、恐怖体験をつづったものでした。 「これが?」 洋子はちょっと拍子抜けしたみたいです。 べつに、それが自分が今まで読んだ話のなかでも、飛び抜けて怖いとか そんなふうに思わなかったので。むしろ、読み流してたというか、 読んだことも忘れてたくらいでした。 よくあるパターンで、夜中に金縛りにあい、目を開けたらそこに 髪の長い女の人が立ってた、という話です。 なんか、一気にばからしくなって、洋子はそのままパソコンをスリープさせて、 もう遅いから寝ようと、布団にもぐりこんだんです。 恵美はまだそのときは普通だったそうです。明かりを消して眠りに落ちてから、まもなく洋子は妙な物音で目覚めました。 となりの布団で、恵美が後ろを向いて寝ながら、うーんうーんって 小さくうなってるんです。 すごく苦しそうだったので、「悪い夢でも見てるのかな、もしかして 寝る前にあんな話になったのが悪かったかも」と思って、 起こしてあげようかどうしようかと、そのまましばらく見てたそうです。 800 名前:795 投稿日:03/02/06 21:04 そしたら、だんだんうなり声がやんで、かわりに寝言を言ったんです。 「どうして・・・」 ぼそりとそう言ったと思ったら、すぐにもういっぺん、 「どうしてわかったの?」 って、とても寝言とは思えない、はっきりとした口調で、言ったんです。 まだ向こうを向いているけれど、もう起きたのかなと思って、洋子が、 「何のこと?すごいうなされてたよ」 って言ったら、恵美が突然、布団からむっくりと起きあがったんです。 それ見たとたんに、洋子は背筋がゾッと冷たくなって、目を開けたまま その姿勢で身動きできなくなったそうです。 起きあがって座った恵美の後ろ姿は、ざらりと長い黒髪で 背中が半分ぐらいまで隠れてたんです。 恵美はうなじが見えるくらいの茶髪のショートカットのはずなのに。 それで、白い浴衣みたいなものを着ているんです。 確か寝る前に洋子のヒョウ柄パジャマを貸してあげたはずなのに。 洋子はもう頭がパニック状態でした。 (これは、恵美じゃない!いやだ、なんで、なんで!!) 801 名前:795 投稿日:03/02/06 21:07 恵美とすりかわったものは、ゆっくりと振り向きました。 見たくないのに、洋子は目をつぶることができないんです。 身体が硬直したままガタガタ震えています。 電灯を消して、部屋は暗いのに、なぜかそれの姿はやけに はっきり見えます。 ゆっくりと振り向いたその顔自体は、恵美の顔でした。 でも、異常に目がつり上がって肌は青ざめ、歪んだ口元は、 普段の恵美とはぜんぜん違います。 まるで誰かの顔とミックスされているみたいな、別人が 恵美になりすましているような、そんな感じなんです。 抑揚をなくした恵美の声で、「どうしてわかったの・・・」と言うと、 冷たくにやっと笑いました。 その瞬間、洋子は気が遠くなったそうです。はっと目覚めたときには、朝になっていました。 隣の布団には誰もおらず、パジャマだけが脱ぎ捨てられています。 どこにも恵美の姿はありませんでした。 恵美の服もバッグもないので、帰ったのかなと思いました。 でも、一言のことわりもなく帰るなんてヘンだし、また昨夜の恐怖が よみがえってきて、恵美の携帯にかけてみましたが、圏外でした。 昼過ぎに何度もかけたけれど、ずっと圏外。 夕方、実家に電話したらお母さんがでて、まだ帰ってない、とのこと。 ますます怖くなった洋子は、べつの友達に連絡をとって、 その夜から三日ほどは、その子のところに泊めてもらったそうです。 802 名前:795 投稿日:03/02/06 21:08 けっきょく、恵美は家出人として捜索されることになるのですが、 いまだに見つかっていないとのことです。 洋子も事情聴取を受けましたが、あの夜のことは、布団に入って寝た、 というところまでしか言えません。 朝になったらもういなかった、家出するようなことは言っていなかった、 とくに親しくしている男性もいなかったし、恵美の行きそうな場所に 心当たりもない、と彼女は繰り返したそうです。四日目に、洋子が自分の部屋に帰ると、勝手にパソコンが立ち上がって いました。あの夜から、ぜんぜん触っていなかったのに。 恵美と見ていた2ちゃんねるのスレッドが画面には出ています。 「洒落にならないくらい恐い話を集めてみない?」 洋子は何かに憑かれたように、恵美が指差したあのレスを探しました。 でも、どこにもそれらしいものはありませんでした。 話の筋は短くて、はっきり覚えているので、あれば見間違うはずないのです。 何度もスクロールしてみましたが、見あたりません。 もちろん、あぼーんされたレスもなかったのです。 わたしの話はこれだけです。 長文すみませんでした。 洋子はアパートを引っ越しました。パソコンは友達に売ってしまったそうです。 B! LINEへ送る - Part 25, 洒落怖 名作