ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 11-20 > Part 13 > 中古車のオプション 2016/03/29 138 名前:その1 投稿日:02/03/28 19:55 投稿しま~す。 長いです、スマソ。 これは、本当にあった話です。 長年乗っていた車が車検を迎えたのを期に、私は新しい車を買いました。 中古車センターで見つけたその車は、黒のスポーツカー。 値段の割に綺麗で走行距離も少なく、とても気に入って購入したのでした。 ところがその車を家に持ってきた翌日、 運転席に乗り込んで、妙なことに気付きました。 助手席に、何本かの長い髪の毛が落ちているのです。 一本手に取ってみると、少しばさついた真っ黒な毛。 しかし、中古車センターで試乗した人のものかもしれない、と その時はたいして気に留めませんでした。 139 名前:その2 投稿日:02/03/28 19:55 そのまま車のエンジンをかけ、職場に向かった帰り道のこと。 私の自宅まで曲がりくねった山林を20分ほど走った所にあり この道は深夜にならずとも人通りがありません。 毎日通る慣れた道ではあるのですが、この時は どうしたことか、身震いを感じました。 「風邪引いたのかな……」 そう思った、その瞬間でした。 「はっ……?」 私は、左側の視界に”何か”が写ったことに気づき、一瞬凍り付きました。 「見てはいけない、見てはいけない……」 とっさに自分に言い聞かせ、私はハンドルを握り締めスピードを上げました。 しかしその時、パッと前方に白い影が走り、私は反射的に急ブレーキを踏みました。 キィィィィー。 凄まじいブレーキ音と共に車が停止し、前のめりになった時、 「ぎゃーーーーー!」 私は自分の声にならない声を聞きました。 助手席ドアの外側に、真っ黒な長い髪を振り乱した若い女性が張り付いて こちらを睨んでいたのです。 その髪と、今朝助手席で見つけた毛が自分の中で交錯してします。 「早く車を発進させなければ」 私は言いようのない恐怖と同時に、身の危険を感じ、 慌てて車を発進させました。 「入れて~中に入れて~」 ドアに張り付いた女性が、窓ガラスを叩き始めました。 その声は、か細くもどこか力強く、私は無我夢中でアクセルを踏みました。 140 名前:その3 投稿日:02/03/28 19:56 家に着いて、ハッと我に帰った時には、もうあの女性はどこにもいませんでした。 きっと幻覚を見たのだ、私は疲れているんだ、そう自分に言い聞かせ、 その日はすぐに床につくことにしました。 しかし、部屋の灯りを消して、眠りに入りかけた時です。 ペタン……ペタン…… 廊下から、妙な音が聞こえてきたのです。 「連れて来てしまったんだ……!!」 鳥肌が全身に立ち、冷や汗がどっと流れました。 ペタン……ペタン…… その音は、生身の人間の足音とは違い、水分を含んだような音です。 「頼む、消えてくれ……」 私は一心にそう祈りました。 が、その音は段々私の方へ近づいて来ます。 ペタン……ペタン…… 「やめてくれ~!!!」 恐怖のあまり、そう叫ぶと、私の頭の中に声がしました。 「入れて~中に入れて~」 私はもう半乱狂になり、とにかく知っているお経を全て唱えました……。 気付いた時には、朝になっていました。 やはり、疲れているため昨日の自分はおかしかったのだろうか。 しかし、廊下に出た途端、また昨日の恐怖が鮮やかに蘇りました。 なんと、玄関から私が寝ていた部屋の前まで、水跡のようなものが 人間の足跡のようについていたのです。 141 名前:その4 投稿日:02/03/28 19:56 『あの車には何かある!このままでは、身が危ない』 そう直感した私は、すぐに中古車センターに電話を入れ、 車をまた買い取ってもらうよう手配しました。 車は友人に頼んで、センターまで持って行ってもらいました。 その後、水跡のついた廊下は気持ちが悪いので、 板を全て剥がし、近くのお寺へ持って行きました。 私の話を全て聞いた寺の坊さんは、真っ青な顔をして 「その車にこそ霊がついている、その車を持って来なさい」と言いました。 しかし、車はもうすでにセンターへ返したことを告げると、 坊さんは静かに首を振りました。 そしてつぶやきました。 「その車についた霊は人を殺し兼ねない、いや既にもう何人かは……」 その後、私の身には何も起きていません。 しかし、あの車は今頃どうなっただろうか、と考えることがあります。 既に廃車にされていれば良いのですが……。 終わり。 B! LINEへ送る - Part 13, 洒落怖 車・バイク