ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 21-30 > Part 23 > 怪我の理由 2016/04/14 442 名前:1/4 投稿日:02/12/27 08:38 俺の三つ上の兄貴は気合の入った硬派で鳴らしていた。 市内の工業高校では柔道部の主将を務め、学校でも一目置かれる存在だった。 そんなある日、夜十時くらいに病院から電話があった。 兄貴がボコボコにされて病院に担ぎ込まれたらしい。 両親と俺は病院に駆けつけた。 兄貴は全身打撲でうんうん唸っていた。 医者は傷害事件かもしれないから、警察に連絡した方がいいと 言ったが、兄貴は朦朧としながらも拒否したそうだ。 親も翌年に大学の推薦が決まっていたので、それは止めた。 443 名前:2/4 投稿日:02/12/27 08:39 兄貴は一週間ほど入院して、自宅に戻ってきた。 なぜ怪我したのか、誰にやられたのか、兄貴は一切話そうとしなかった。 それから数年たち、俺は兄貴の住む東京へ遊びに行った。 夜、六畳一間の部屋で布団を並べて寝ながら、俺と兄貴は話をした。 思い出話から、あの夜の出来事に及んで、兄貴は初めて口を開いた。 それは信じられない話だった。 444 名前:3/4 投稿日:02/12/27 08:40 兄貴は部活をサボって、体育館の放送室で寝ていたそうだ。 すっかり寝入ってしまい、目が覚めたのは夜だったという。 当たりは真っ暗で、体育館の照明もブレーカーが切ってあった。 それでも手探りでなんとか螺旋階段を下り、ステージの方に出た。 体育館の出入り口には誘導灯があり、そこを目指して歩いていると、何かの気配を感じたらしい。 しかし周囲を見回しても、暗闇で何も見えない。 兄貴は大声で誰かいるのかと話し掛けたという。 すると、背後からバスケットボールが飛んできたそうだ。 俺ならそこで怖くなって逃げると思う。 兄貴は違った。 445 名前:4/4 投稿日:02/12/27 08:41 ボールが飛んできた方に向かって、この野郎とか喚きながら突進した。 そこから先は無我夢中であまり覚えていないそうだ。 感覚としては、相手は一人じゃなかったらしい。 四方八方から、1個のボールが兄貴に向かって投げつけられた。 逃げようとすると顔面にボールがぶつけられ、しゃがみ込むとまた飛んでくる。 ほとんどリンチだった。 どうにかドアの方まで辿り着くと、背後で笑い声がしたそうだ。 そして拍手も。 兄貴は当時のことを思い出したらしく、 話し声が震えているようだった。 俺は寝たふりをして、わざとイビキをかいた。 おわり B! LINEへ送る - Part 23, 洒落怖