ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 1-10 > Part 8 > 浮き出すシミ 2016/03/22 239 名前:新日本橋駅 投稿日:01/09/17 12:41 JR京葉線・新日本橋駅に部下『N』のと二人でいた時の話である。 私たちは一番後ろの車両に乗りたいと、下り線ホームの東京駅に一番近い側に立っていた。 その壁際のところに、奇妙な人の形をした染みがあるのに私は気がついていた。 「気味が悪いなあ。まるで女性が手招きしてるみたいじゃないか。」 なあ、と同意を求めて振り返ると、後ろで部下がうずくまってしまっている。 「どうした。」 「課長…助けてください。」 この部下は、ものすごい霊感の持ち主だった。そういう場所、そういうものにあうとすぐわかる。 「どうしたっていうんだ。」 「ひっぱられるんです、助けて。」 うずくまり、上体は後ろに反らしているというのに、彼の足はズズ、ズズ、とホームの方へずれて行くのである。 真っ青になった私は、とにかく彼を壁の方に引いて、ホーム中央に移動した。 彼が引きずられた距離はたかだか15、20センチだが、あのままではいずれ転落だったはずだ。 「何があったんだ。」 「課長、あの染み、見ました?。」 「ああ、人の姿みたいで気味悪いやつな。」 「…あの染み、女の人なんですよ。」 「え?。」 「あー、いるなー、と見てたら、目があっちゃったんです。 そしたら壁が一面無数の手になって伸びてきて、ぼくのことひっぱったんです。 …あれはすごく悪いものです。普通の人も近寄らない方いいですよ。」 部下は震えていた。 その後、新日本橋駅は改装されて、問題の染みも上から塗り直されたのだが、最近私はまた見てしまった。 塗り直した上に、人の姿の染みが再び浮きだしているのを…。 B! LINEへ送る - Part 8, 洒落怖