しばらくすると、気配は消え、
恐る恐る目を開けると、何てことのない午後の日差しの入る、
いつもどおりの部屋でした。
なんだったのかな?と思いながらも、仕事から彼氏が帰ってくるのを待ちました。
夜になり、帰宅した彼にその話をしようかと思ったのですが、
怖がりな性格なので、迷って、結局言わず仕舞いでした。
熱のせいもあったのかな、と思ったのもあったのです。
後日、私たちは結婚が決まり、その寮を引き払うことになりました。
そのとき、ふと思い出して、金縛りにあったときに、男の人が歩き回る
気配がして、怖かったよ~、と何気なく言ってしまいました。
彼の顔が突然引きつったので、なんて怖がりなんだろ~、
もうこの部屋出るんだからいいじゃん、と思ったんですが、
彼の説明を聞いて、怖くなりました。
その部屋は、代々、会社の独身男性が入っていたのですが、
彼が入社する数年前に、その部屋で、ひとり亡くなった男性がいたそうです。
寮といっても、マンションの一室だったのと、独身者がその当時は
その男性一人きりだったため、発見されるまでに2日ほどかかったそうです。
時々、何かの気配を感じる経験はしていましたが、
あの時ほどはっきりと感じたことはなかったし、
人が死んだという事実がはっきりしたため、
私にとっては今までで一番怖かった体験です。
おわり