空家
- 23 名前:恐い想い出 投稿日:2001/01/31(水) 01:34
- 幽霊話じゃないんだけどね・・・
子供の頃に住んでいた家は、現在住んでいるところから、自転車でわずか
五分程度。近所に幼馴染みも一杯いたし、自分とはもう関係ない家だという
認識があまり働いてなかった。 - うちが引っ越した家はしばらくは空き家になって
いたけど、暫くしたら若い夫婦が入居して、お門違いにも、自分の家を取られた心境になってました。 - それから暫くして、その若い夫婦も転居してしまい、私の元家は、またしても空き家に。
- この時、うっかり出来心を起こしてしまい
ました。私は自分の元家に忍び込んだんです。 - 昔寝室に使っていた部屋の柱には、
私がまだ片言も話せない頃に描いた落書きがある筈で、どうしてもそれを見たかったんです。
- 引っ越したのは小2、忍び込んだのは高2の時です。
私はどこか鍵が開いていないか探りを入れ、居間の小窓の鍵が甘くなっている事に
気が付きました。よじ登って鍵をこじ開け、私は居間に侵入しました。
居間の隣の部屋が寝室です。 - 私はドキドキしながら柱を見ましたが、しかし私が昔に描いた絵は消されていました。
- よく考えたら絵はクレヨン画だったんです。
消そうと思えば容易に消せる訳で、引っ越しの時にうちの両親が消したのかも
知れないし、若夫婦が消したのかもしれませんでした。 - 24 名前:恐い想い出+2 投稿日:2001/01/31(水) 01:38
- そうしてそこに至り、私が初めて思い出した事があります。私は知っていたんです。
若夫婦がこの家から転居した理由を。 - いいえ、転居したのは若夫婦の内の旦那さんの方だけです。
- 奥さんは、この家の居間で、ある日眠ったまま、二度と起きる事はなかったんです。
- 死因が判らず、当時話題になっていた事を、私は知っていたのに。
薄暗がりの空き家は、それでも私にとっては、幼少時代を過ごした懐かしい家でした。
ですが、私がずっと心に記憶していた落書きはすでになく、すぐ隣の居間で奥さんが眠ったまま死んでしまった事を思い出し、急にぞぉっとしたんです。
- なんで私はこんな所にいるんだろうかと、真剣に背後が気になりだしました。
居間→寝室と忍び込みましたが、その更に奥には、内側の鍵をひねるだけですぐに
外に出られる子供部屋がありました。 - 私は慌ててそちらへ行き、さっさと逃げだそうとしたんです。
- 内鍵をひねろうとして、しかしそこでハタと気が付きました。
こんな場所の鍵が開いていたら、浮浪者が入り込み兼ねない。 - そうしたら周辺に迷惑がかかる、と。
- 私は泣く泣く子供部屋→寝室→居間へと引き返しました。
泣きそうでした。今思い出してもゾッとします。 - 私は亡くなった奥さんがまだ生きていた頃、庭で洗濯物を干している姿を見た覚えがあります。
- 髪型と、その全体的な雰囲気はうっすらと覚えているのに、顔は全く思い出せません。
だから、イメージの中の彼女は、ノッペラボーです. - 自分の家でもない家の中で、隣の部屋でこの奥さんが亡くなったのだと思い出した時、私のイメージでは、
今と寝室を区切る扉を半分開け、突然の侵入者たる私を覗き込んでいる、
ノッペラボーの奥さんの姿なんです。
イヤな記憶(←イメージ)です・・・・・・ - 25 名前:恐い想い出+3 投稿日:2001/01/31(水) 01:40
- 背後が寒かったです。子供部屋の鍵が開いていようとも、居間の鍵を開けてしまったの
なら同じ事・・・なのかも知れませんが、それが私に出来る精一杯でした。
居間の小窓はもともと鍵が甘かったし、よじ登らなくては入れないような場所でした
ので、もしも何かあったとしても、私だけの責任とは言えないなどと、
訳の分からない理屈を胸に、かなり自己中心的な逃げ方をしました。以上です。