ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 11-20 > Part 18 > 空飛ぶ円盤 2016/04/04 593 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:38 小学生のころ、近くの原っぱが次々に造成地へ変わっていった。 どんどんアスファルトの道路ができた。当時のマンホールには 小さな穴が開いていた。導火線の長い爆竹に火を付けて、その 穴の中に落とすのが仲間内で流行ったことがあった。爆竹を入 れてからマンホールに耳を当てて、音を聞くのだ。ある日、悪 友だったみっちゃんが「ごっついええ音するところがあるねん で」とまだ造成の終わっていない原っぱに私を連れていってく れた。 つづく 594 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:41 背の高い雑草をかき分けて歩いていくと、急に地面が コンクリートになっているところに行き着いた。少し 違う形をしたマンホールが3m間隔くらいに5つ並ん でいた。「ほれ、入れてみ。ここはマンホールに耳を 当てんでもええで」と言って、爆竹に火をつけてくれた。 「どん」とかなり体に響く音がして、マンホールが少し 動いた。「どないや、すごいやろ」とみっちゃんは誇ら しげにしていた。しばらく二人で爆竹を入れて遊んでいた。 そのうち、みっちゃんの顔がぱっと明るくなった。 つづく 595 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:44 「お前、よしくんとのりちゃん、呼んでこい。わいは さとる連れてくる」と言って、みっちゃんは自分の家 へ走っていった。内心では「これ、絶対にあかんこと になる」と思いながらも、気の弱い私は二人を呼びに 行ってしまった。よしくんものりちゃんもさとるも大 喜びだった。そして、全身が笑顔になっていたみっち ゃんは「みんなで一緒にいれるで~」と言って、どこ から持ってきたのか、マッチを私たち4人に配った。 つづく 596 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:47 「ちゃんとせえよ」。みっちゃんは私を睨んだ後 「せーので一緒に入れるねんで」と本当にうれし くてたまらない様子でみんなに言った。私たち5人 がそれぞれマンホールの側に立って「せーの」と 声を合わせて、火の点いた爆竹を穴に入れた。 「どん」という音が重なって聞こえたが、音量は 一人で入れていたときと大して変わらなかった。し かし、私が爆竹を入れたマンホールから真っ黒な 煙が出てきたのだ。 つづく 598 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:51 「お前、たまにはええことするなあ」と喜ぶみっちゃん。 他の3人も口々に私を賞賛してくれた。しかし、煙がどん どん激しくなっていったので、「これ、ちょっとあかんで。 離れたところから見よう」と原っぱを出た。そのとき「どっ か~ん」とかなり大きな音がして、原っぱから煙がもくもく と立ち上った。「空飛ぶ円盤や!」とのりちゃんの指差す方 を見るとUFOが3つ飛んでいた。私はもうその時点で目がウ ルウル状態になっていた。 つづく 600 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:55 4人がいっせいに逃げていく中、小心者の私はその場に 凍りついてしまい、泣きだしてしまった。「円盤のおっ ちゃんに捕まって、怒られて、拷問されるんや…」。 みっちゃんが戻ってきた。「あほう、あれはマンホール が飛んどるだけや。早よ、帰ろ」と私の手をつかんで一 緒に走ってくれた。「なんや?」、「どないした?」、 「工事現場で爆発や」、「あんなところにマンホール落 ちとるで」、「そら、あかん。救急車、呼んだって」と 付近に住んでいる人たちが、わらわらと表に出てきた。 つづく 601 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 15:57 幸いなことに周りは原っぱの部分がかなり残っていたので、 私たちは見つからずに離れたところまで行くことができた。 「ごっつい音やったな」、「マンホール、よーさん飛んだなあ」 「まっくろけの煙、まだ出とるで」と四人が目を輝かせて、いま 起こった出来事を話し合っていた。私だけがわんわん泣いていた。 そのうち、消防車、救急車、パトカーがどんどん来て、辺り一帯は 騒然とした空気に包まれた。 つづく 603 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/04 16:01 「おまえ、家に帰っても絶対にこのこと言うたらあかんで」 とみっちゃんに何度も何度も言われてから家に帰った。結局、 周りの住宅に被害がなかったことや負傷者が出なかったことから、 原因不明の事故ということで終わったそうだ。そして、その原っぱも さっさと造成されて、ビルが建ったとのこと。もう随分昔のことなのに 、鮮明に記憶が残っている。大音響、そして、真っ黒な煙が立ち上る中、 マンホールのふたが飛び、みっちゃんに手を引かれて一所懸命に走ったこと…。 以上、私の幼いころの死ぬほど洒落にならない話でした。 B! LINEへ送る - Part 18, 洒落怖