ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 1-10 > Part 8 > 霊媒師 2016/03/22 708 名前:狂爺 投稿日:01/10/27 08:56 これは、母から聞いた話です。 親戚に体格の良い、叔父さん(私から見て、母からは義理の兄)がいた。 特にスポーツをやっていた訳ではないが、 子供の頃から農作業を手伝っていた所為か腕っ節は強かった。 その叔父さんが、結婚したばかりの頃 夜中の12時頃になると、訳の判らない事を口走ったり、 自分で自分の首をしめたり、いきなり高いところへ駆け上り跳び下りようとしたり、 と奇行が目立つようになっていた。 しかも不思議なことに30分ほど経つとピタリとおさまり その間にやっていた事は、全然覚えていなかった。 そのようなことが、1~2週間続き、周りで取り押さえる方が 疲れ始め、また此のまま、ほおって置くと本当に自殺するのではないかと いろいろな所へ遭ったっていると、或る親戚の一人が 良いお祓いやさんがいると、とあるおばちゃんを連れてきた。 709 名前:狂爺 投稿日:01/10/27 08:57 おばちゃんは特にこれと云って変わった感じは受けなかったが、 叔父さんを見るなり、 「あんた、呪われているよ。心当たりはないですか?」と聞いてきた。 叔父さんには、心当たりが一つだけあった。 最近結婚した奥さんが、以前やくざの女で(正しくは相手は本当のやくざではないし、 情婦と言うほどの付き合いでもなかったらしいが)相手のやくざから 強引に別れさせ(無論、今の奥さんに頼まれて)、それが切っ掛けのような形で 結婚したのだ。 呪いをかけられる相手として浮かんだのは、その男しかないと思ったので そのおばさんにそう答えた。 すると、おばさんは「そんな男に大きな力はないと思うから、きっとお金で雇っているのね。」 「まあ、任せときなさい。今晩一晩お払いしときますから、 一週間ほどしてからまたきますから、本当に払えていたらその間なにもないはずですから。 お金は、その時に準備して置いてくださいね。」 そういって、1~2時間ほど不思議なお祈りをして帰っていった。 710 名前:狂爺 投稿日:01/10/27 08:57 ところが、その夜からピタリと奇行は無くなり、家族みんなグッスリ眠れるようになった。 やがて、一週間が経ちそのおばちゃんにお金を払い(母の話だと普通の人の月給程度) お礼をした。 母は、好奇心が強いので、そのおばちゃんと世間話をしながらいろいろ聞いてみたが 一番気になっていたことを聞いた。 「もう、相手の人は、呪いをかけ直すと言う事はないんですか?」 「ええ、一週間も経っていれば大丈夫です。 わたしのは、呪いを払ったんじゃなく、返したんですから。 相手は、私と同じような商売の人、恨みはないし、 まあ、私もこんな商売していれば、畳の上では死ねないと思ってますから。」 そう云っておばちゃんはにっこり笑った。 母は、人の笑顔がこんなに怖かったのは初めてだったと言っていた。 B! LINEへ送る - Part 8, 洒落怖 同一作者