洒落怖超まとめ

厳選じゃない、完全網羅のまとめサイトを目指しています

お招き

   

451本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:11:05.92ID:doB1QjZ/0

1966年 9月23日(金)

会社が終わったあと斎藤が、「いい酒を貰ったからみんなで飲まないか。」と言った。社長が賛成し、全員で斎藤の家に行くことになった。
社長と斎藤の車に分かれて乗り向かった。
斎藤の家は山の中に一軒だけ建っていた。皆、斎藤の家にくるのは初めてらしかった。
斎藤は私たちを地下の部屋に案内し、「酒があるのは嘘だ。生きるのが辛くなった。1人で死ぬのは寂しい。」と言うと、懐から取り出した包丁で首を掻き切り自害した。
慌てて外に出ようとしたが、重い鉄の扉は細工がしてあるようで開かなかった。
社長が皆を鎮めた。脱出口を探したが見つからなかった。私たちがいる部屋と木の扉で繋がった小さな部屋もあったが、そちらも同様であった。全員で大声を上げたが、効果があったようには思えない。
斎藤の死体を隣の部屋に運び、寝ることにした。叫び疲れ皆疲弊していた。


452本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:11:49.66ID:doB1QjZ/0

1966年 9月24日(土)

皆で話し合い、助けを待つことにした。不審に思った家族が警察に知らせてくれるはずである。
万が一救助が来なかった時のために、全員この手帳の最後に遺書を書いた。
牧田が紙袋に入れて持っていたクッキーを皆に分けてくれた。奥さんが作ってくれたものらしかった。社長以外は各々飲み物を持っていた。私の水筒は大きいので社長にお茶を分けた。
排泄は隣の部屋に直接した。
硬い床は寝心地が悪い。部屋には小さな蛍光灯があるが、スイッチが壊れていてつきっぱなしだ。地下なので昼夜の感覚が無い。時計だけが頼りだ。


453本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:12:26.53ID:doB1QjZ/0

1966年 9月25日(日)

助けはまだ来ない。社長と斎藤の車は車庫に入れたので外からは見えない。餓死での心中を狙うなら見つからない場所を使うだろう。私たちが死ぬ前に、誰かがここを見つけることなどできるのだろうか。
定期的に声を張り上げたり、扉の破壊を試みたが、効果は得られなかった。
背の高い山川が机に乗り、天井の換気口から出られないか調べたが、しっかりと固定されていた。
牧田のクッキーが無くなった。
本田さんがチョコレートを持っているから、明日皆で食べようと言ってくれた。


454本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:13:12.51ID:doB1QjZ/0

1966年 9月26日(月)

本田さんの怒鳴る声で目が覚めた。杉本が本田さんのチョコレートを皆が寝ている間に全部食べたらしい。本田さんの怒鳴り声を初めて聞いた。杉本は悪びれないどころか本田さんの顔を殴った。皆食料が無くなったことに落胆していた。社長が杉本を厳しく叱ったことで、元々相性の悪い二人の仲が決定的に崩壊した。その間私と牧田はじっと黙っていた。本田さんは杉本を睨みつけていた。山川は今日はずっと壁の方を向いて横になっていた。


455本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:14:22.01ID:doB1QjZ/0

1966年 9月27日(火)

今日も助けはこなかった。
隣の部屋の匂いが凄まじい。木の扉を誰かが開けるたびに嫌気がさす。杉本がいらついた様子で斎藤の死体に小便をかけた。
遂に節約して飲んでいた水やお茶が無くなった。
腹が減って寝付けない。


456本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:15:31.63ID:doB1QjZ/0

1966年 9月28日(水)

今日も助けは来なかった。
杉本と社長はあれ以来よく口論をしている。
私と牧田と山川で水を探した結果、部屋の隅の壁にひび割れがあり、水がにじみ出ていた。皆を呼んだが、私たち三人と社長だけがその水を舐めた。


457本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:16:16.73ID:doB1QjZ/0

1966年 9月29日(木)

杉本が社長を殺した。
いつもの口論の最中、杉本が斎藤の包丁を取り出し、社長の腹部を刺した。杉本は「ずっとむかついていた。死ね。死ね。」と笑いながら馬乗りになり何度も刺した。怖かった。社長には恩がある。悲しさと恐怖で、閉じ込められてから初めて泣いたが、体の水分を失いたくなくて、必死に涙を止めた。杉


458本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:16:49.52ID:doB1QjZ/0

1966年 9月30日(金)

今日で一週間。助けは来ない。
山川が杉本を殺した。
山川は杉本の首を背後から、じぶんのカッターナイフで切った。そのまま包丁を奪い杉本の胸を刺した。
山川は終始無言で無表情だった。
本田さんが「死んで当然だ。」とつぶやいた。
牧田は下を向いていた。
私は杉本の胸ポケットから手帳をとりかえした。証拠隠滅だと、書き途中のところを奪われていた。
となりの部屋の死体が三つになった。社長の遺体を他の二人と一緒にしたくなかったが、しかたがなかった。


459本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:17:22.76ID:doB1QjZ/0

1966年 10月1日(土)

今日も助けは来なかった。腹が減って喉が渇いた。こんなことを言いたくないが、杉本が死んで平穏が訪れた。誰一人言葉を発さず、寝転んでいた。


460本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:18:30.24ID:doB1QjZ/0

1966年 10月2日(日)

助けは来ない。今日は私の誕生日だ。牧田が覚えていてくれて、皆が祝ってくれた。こんなところで誕生日を迎えると思わなかった。山川も「おめでとうございます」とぼそりと呟いた。彼の声を久しぶりに聞いた。ここに希望は無いが、嬉しかった。


461本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:18:58.85ID:doB1QjZ/0

1966年 10月3日(月)

助けはこない。


462本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:19:27.27ID:doB1QjZ/0

1966年 10月4日(火)

助けなし。ここからでたい。


463本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:19:49.81ID:doB1QjZ/0

1966年 10月5日(水)

助けなし。私たちはどうなるのだろうか。だれか


464本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:20:16.45ID:doB1QjZ/0

1966年 10月6日(木)

今まで記録を書いていた橋爪さんが亡くなったため、これから代わりに記録を付けます。
橋爪さんは包丁で喉を掻き切って死にました。牧田さんは泣いていました。


465本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:20:42.93ID:doB1QjZ/0

1966年 10月7日(金)

今日は皆寝転んで過ごしていました。死体部屋の皆さんは橋爪さん以外、腐食が進んでいます。山川さんはたまに起き上がって部屋を見回しています。


466本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:21:14.48ID:doB1QjZ/0

1966年 10月8日(土)

最近ずっと寝ていた本田さんは息絶えていました。死体部屋はもういっぱいです。山川さんも牧田さんもずっと壁に寄りかかって座っていました。
牧田さんが、逃げられないな、と呟きました。山川さんは何も言わず、部屋を眺めていました。


467本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:21:40.37ID:doB1QjZ/0

1966年 10月9日(日)

牧田さんはもう壁も舐めません。牧田さんは山川さんに「俺が死んでも、隣の部屋には入れないでくれ。」と言いました。山川さんは無言で頷きました。


468本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:22:06.26ID:doB1QjZ/0

1966年 10月10日(月)

朝、首から血を流した牧田さんの死体がありました。近くには包丁が落ちていました。山川さんはその包丁を拾い上げ、ぼんやりと部屋の真ん中に立っていました。牧田さんの死体はそのままでした。
469本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:22:32.75ID:doB1QjZ/0 1966年 10月11日(火)

山川さんと牧田さんの死体は部屋の真ん中に並べました。もう記録は終わりにします。


470本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:24:26.83ID:doB1QjZ/0

9月24日の日記に記したように全員の遺書を残す。

橋爪 正夫

春子へ
結婚して一年だというのに、こんなことになってすまない。新しい人を見つけて、どうか幸せに生きて欲しい。ずっと愛しています。
父、母へ
ろくに親孝行もしないまま、先立つことを許してください。私を産み、育ててくれてありがとうございました。あなたたちの息子で幸せでした。


471本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:24:57.30ID:doB1QjZ/0

竹本 雄二

安江へ
お前には苦労ばかりかけてしまった。お前と一度は夫婦であれたことを嬉しく思う。俺の金は自由に使ってくれ。俺の家族はお前たちだけだ。それからすまないが工場の後処理を頼みたい。
優子へ
辛い思いばかりさせてすまない。母さんと幸せに生きて欲しい。いい父親ではなかったが、ずっとお前を愛している。


472本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:25:17.78ID:doB1QjZ/0

杉本 信介

百まで生きたかった。斎藤のせいで俺の人生は狂っちまった。親父、お袋、今までありがとう。さようなら。


473本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:25:47.98ID:doB1QjZ/0

牧田 秀一

雪江へ
愛してる。君のおかげで幸せだった。最後にもう一度会いたかった。お腹の子にも。名前は男の子なら秀樹、女の子なら雪菜。もちろん君が決めてくれればいい。産まれる前に、どんな形でも家に帰れたら嬉しい。今まで本当にありがとう。


474本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:26:09.07ID:doB1QjZ/0

本田 康夫

両親へ
今までありがとうございました。迷惑ばかりかけて申し訳ない。俺の分まで長生きしてください。
麻美へ
結婚式に行けなくてすまなかった。幸一くんと仲良くな。子供ができたら墓前に見せにきてくれ。なるべく実家に帰ってやれよ。さようなら。


475本当にあった怖い名無し2020/06/16(火) 04:26:30.29ID:doB1QjZ/0

山川 辰美

母へ
今まで育ててくれてありがとうございました。ひとりにしてごめんな。
転載元:http://mao.5ch.net/test/read.cgi/occult/1584914883/

 - Part 359, 洒落怖