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じじ山

   

41左薬指2020/08/14(金) 16:40:39.17ID:n4mTlJak0

今年で21,大学で3回生として医療を学ばせて頂いております、私が少々語らせていただきます。
あまりこういった形で物を書く機会が無いために、かなり読みづらい部分が多々あるとは思いますが、どうかご容赦を。

先ず最初にこのお話の結末をここに記しておきます。
実際にニュースに取り上げられた内容でもあるので、ご存知の方もいらっしゃるかも知れません。

5年前、小学生の彼は自ら首を括って死んだ。
11年前、同級生の彼は引っ越して真相はもう誰にもわからない。

これは、多摩エリア、多摩丘陵の一部のとある寺社でのお話。

私の住む地域には、由緒ある大きなお不動様があります。
なんでも、真言宗智山派?の別格本山だとか。
まぁ、そこがすごいお寺というのはつい先程ググッて初めて知ったのですが…現地に住んでいると、案外そんなものなのかも知れませんね。笑

では、本題に入ります。

問題は、そこの裏山…というのでしょうか。お不動様の敷地内にあるちょっとした山です。
今はもうそんな呼び方はされていないのですが、地元の私の世代までは、多摩丘陵のうち不動様付近を切りとって、「じじ山」と呼んでいました。


42左薬指2020/08/14(金) 16:41:16.03ID:n4mTlJak0

当時小学生4年生だった私達は、よくじじ山で集まって、虫をとり、落ち葉の坂を滑り降り、つくしを採って人間ダーツもどきをしていたものです。
付近に住宅地が多く、そのぶん大人の目も多くありましたが、虫の多い鬱蒼とした山にわざわざ足を踏み入れる大人はそうそう居ません。

じじ山は、大人の目を逃れこっそり悪巧みをするための格好の隠れ家でした。

正直あの付近一帯に、害を及ぼす霊的な何かが常に居るとは私は思っていません。
どちらかといえば、成人してからも未だに夜道を一人で歩けないような筋金入りのびびりである私でさえ、落ち着いて歩けるような神聖な?場所です。

さて、D介、K介、Y也、私、R斗の5人は、いつも通りじじ山で遊びまわっていました。
しかし、最近はいつも似たような遊びばかり。私としては面白くありません。

私「ねね、なんか新しい面白いことしようよ」

お遍路写しのお地蔵さんの頭をペチペチと叩きながら、私は皆に言いました。

R斗「いいね!…でも最近すぐ暗くなるし、そうなる前に切り上げられるのがいいな」
Y也「お前ビビりすぎだろ!笑暗くなったら一緒に帰ってやるからさー」
K介「それならリアルおままごとでもやろうぜ!」
私「おーいいね!」
Y也「えーなんでだよ、そんなクソつまんないモンよりもっとイイことしようぜ」
私「あらYちゃま!そんな汚らしい言葉なんて使っちゃいけないザマース!」

…などという、なんだかんだいつものパターンになる予定でした。
しかし、D介の一言がそれを破りました。


43左薬指2020/08/14(金) 17:50:42.85ID:n4mTlJak0

D介「暗くなる前に終われる、じゃなくて暗くなってからが本番の遊びをしないか?」

彼の言いたいことはすぐに分かりました。肝試しをしようと言っているのです。
私たちの中で、何か新しいことを思いつくのは決まって彼でしたし、そういう時は皆決まって彼の言に従うのでした。

D介「今日の11時ごろ、お寺の入り口に集合な。絶対家の人やおまわりさんに見つかるなよ」

彼のいう通り、私はその日の夜11時にこっそり家を抜け出しました。私の部屋は3階にあり、普通に出ようとすれば確実に気づかれてしまいます。
仕方なく、私はバルコニーから地上まで降りる雨樋を滑り降りることで家を抜け出しました。
家を抜け出して仕舞えばあとは簡単です。山までは徒歩20分弱と少々離れた位置にありましたが、なんとかお不動様の入り口にたどり着くことができました。
…しかし、皆の姿が見つかりません

「…おい、こっちだ!あんまりそこにいるとパトカーに見つかる!」

どうやら、姿が見えていなかっただけで私以外は皆集まっていたようでした。

私「あれ、K介は?」
D介「いったん家に帰ってからすぐメールがきた。明日ディズニーランドに行くから夜更かしはしないってさ」
Y也「いーないーな、俺も行ってみたーい。一度も行ったことないんだよね」
R斗「僕は行ったことあるよ!ふふん!」

肝試しにしては少しぐだぐだな始まりでしたが、これが私たちのいつも通りです。

まずはじじ山のいつもの場所ではなく、見つからないようにお寺の敷地内「高幡山」へ移動し、身をかがめてこっそりと集まります。


44左薬指2020/08/14(金) 17:52:37.51ID:n4mTlJak0

そこで、D介が肝試しの説明をはじめました。

「ここって88つおじぞうさんがあるのは知ってるだろ?」

確かに、この山はお遍路写しと言って88のお地蔵様が設置されています。
これをすべて参拝するとイイことがある、というのが売り文句だったと記憶しています。

「実はな、昼の間に俺が全部の地蔵に一つづつ番号の書いたビー玉を設置してたんだよ。この出口から入って、それを全部この袋に回収して、入り口まで戻って来たら成功。ビー玉全部揃ってないと帰って来ちゃダメだぞ。何個かは隠しているから、くれぐれも途中でほっぽったりしたらダメだからな」

私は、彼の言い方でピンと来ました。
D介は、間違いなくビー玉を88個も持って来てなどいません。そんなにたくさん持ち歩いたら重いですし、そもそもビー玉を88個も持っていることなんてあり得ませんから。
そうなると、きっと彼はいじられ役のY也をターゲットにしているのでしょうか。
でも毎回Y也が亜tーゲットになるのもな…と思ったところで、R斗が口を開きました。


45左薬指2020/08/14(金) 17:53:01.46ID:n4mTlJak0

「ねえ、やっぱり僕怖いや。帰っていい?」

瞬間、D介の目がきらりと光りました。獲物を定めた目です。

D介「よし、じゃあ早めに帰れるように、R斗がトップバッターで行こう!みんなもそれでいだろ?」

皆それにうんうんと激しく頷きます。
特にターゲットを免れたY也はヘドバンのような動きでした。

R斗「さっさと集めて入り口まで戻ったらすぐ帰るからね僕!」
私「いいから早く行ってきなよ笑」

こんなやりとりを挟んで、彼は山へと入っていきました。

私「で、あいつどうするの、ほっといて帰る?」
D介「いや流石にそれは後でヤバそうだろ。1時間とかもうちょいしたらみんなで迎えに行くぞ…おいY也、気持ち悪いよそれやめろよ」

私は彼に半ば背を見せるような立ち位置だったので見えませんでしたが、Y也はまだヘドバンを続けていたようでした。

Y也「い い だ ろ 別に!な んか こ れ 楽 し く な っ て 来 た ん だよ!」

ヘドバンしながら喋っているせいで、なんだか変な喋り方になっています。
薄暗い中でのこの動きに、私はなんだか薄寒いものを感じていました。

D介「…まあとりあえず、Y也は入り口でRが出てこないか見張っといて」
Y也「あ い よ!」

Y也が消え、取り残された私とD介は薄暗闇の中で二人ぽつねんと立ち尽くしているのでした。


46左薬指2020/08/14(金) 18:02:26.08ID:n4mTlJak0

しばらくすると、D介が口を開きました。

「なあ、私。今何分たった?」
「まだ10ぷんだよ」
「なあ、1時間って、こんなに長かった?」

私は驚きました。
いつでも自信たっぷりで、怖いものなど父親だけ!というような彼が、怯えているのです。
夜のこの山に訪れるのは初めてでしたが、何か黒いものに押し潰されるような恐怖を感じていました。
きっと、彼もそうだったのでしょう。

D介「…何分たった?」
私「大体40分」
D「よし、早めに切り上げて帰ろう笑 流石の俺も夜の山は怖えや笑」

私たちは1時間をまたずして、Y也と合流してからR斗を迎えに行くことにしたのでした。

私「Yちゃん、R斗は?」
Y「い や ま だ で て き て な い よ」
私「そっか、じゃあ今から迎えに行こう」

渡した阿智は、3人で彼を迎えに行くのでした。


48左薬指2020/08/14(金) 18:18:49.25ID:n4mTlJak0

D介「…これがあった」

山にはいって5分ほどで、D介が見つけたのはズボンとパンツでした。

私「…Rの?」
Y也「あ は は! あ い つ フ ル チ ン じゃん!」

しかし、ズボンと下着はあっても、R斗本人はどこにも居ません。
20ぷんほど探して、私たちは「これはRではない別の人のもので、Rは私たちにバレないようにこっそり帰った」という結論に至りました。
いや、そうであって欲しいと願ったのです。
月曜日会ったらお仕置きだな、などと話しながら、私たちは一応、じじ山のいつもの場所に向かいます。
いつもの集合場所に行くには、一度山を降りてから住宅街を抜けて忍び込む必要があります。一応、山の道を外れて森の中を通り抜ければ直接いけるのですが、私たちに夜の森にこれ以上潜る度胸はありませんでした。

「…居た」

ぽつり、と大介が呟きます。

そこに居たのは、下に何も履いていない状態で涎と尿を垂れ流しにしながら、大の字に寝そべるR斗でした。

「あ は は は は は は」
Y也が笑います
「うわアアアアアアア!」
D介が恐怖で叫びます

「あ は は は は は は は !」「うわああああ!」「あ は は は は は は は」

笑い声と叫び声の中、Rの虚な目と目が合いました。
次の瞬間、私は走り出しました。
皆を置いて、一人だけ、逃げたのです


49左薬指2020/08/14(金) 18:22:40.82ID:n4mTlJak0

後のことは、D介に聞いても詳しく教えてくれません。
DがRを連れて帰り、Yは自力で帰宅したそうです。

Yに聞くと「いやあ、なんであれが面白かったのか、俺もわからん」
とのことです。

そして同じ場所で、5年前に、小学生の変死事件がありました。
これと関連があるかはわかりません。

私がオカルトに興味を持ちはじめたきっかけの事件でした。
50左薬指2020/08/14(金) 18:32:05.64ID:Svo6EInQ0 書きわすれていましたが、R斗は以来学校に来ず、連絡もつかず、その後1週間足らずでどこかに引っ越していきました。

事件に関しては「高幡不動 変死」と調べていただければ見られると思います。

何か質問等あれば受付致します
転載元:http://mao.5ch.net/test/read.cgi/occult/1597272376/

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