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そーいう写真の話

   

918「そーいう写真」の話1 sage New! 2008/05/23(金) 11:39:33 ID:4nZfJvHC0

修学旅行に行ったとき。
学校にせよ個人にせよ必ず写真を撮るとおもう。
「その中の何枚かがおかしな写真で・・・」そんな経験がある人も結構いるはず。
そんなお話。

俺が小学生だった頃。
舞台はド田舎の、田んぼのど真ん中にぽつねんとある小さな小学校。
生徒人数も100数十人で、毎年必ず「近々廃校に・・・」って会話を大人たちがしていた。
そんな田舎にありがちな小学校。
生徒達はいつも、給食のメニューと生き物の世話当番。
放課後の天気とか短縮授業の日程ばっかりを気にしていた。
そしてもう1つ。季節限定だが、俺たちの話題はあるもので持ちきりになる。
「あの写真のあそこにさ、ほら、手が!」
「この写真足がない!」
「顔が写ってるんだぜ!」
そんな「何枚かあるおかしな写真」の話題。
修学旅行中に撮った写真は、親がが写真を買うための見本として学校の廊下に掲示される。
大量のハズレのなかから「そーいう写真」を見つけたやつは、もれなくヒーローだった。

919「そーいう写真」の話2 sage New! 2008/05/23(金) 11:40:53 ID:4nZfJvHC0

そんなのを5年続けてきて、ついに俺たちのターンになった。
6年生になった俺たちは、「探す側」から「探される側」になったのだ。
もちろん俺たちも探すのだが。
修学旅行自体は無事終了。特に問題もなく楽しい旅行だったことは記憶にある。
(俺のデザートのシャーベットがなぜか溶けていたことが気にくわなかった。)
そして恒例の行事が始まった。
「そーいう写真」探しだ。
みんなこの日をそこそこ心待ちにしていた。
運動会以下。文化祭以下。お誕生日会以下。短縮授業以下。
揚げパン以下。ソフトめん以上。
それくらい心待ち。
生徒たちは、血眼ってほどでもないが休み時間になると一生懸命写真を眺めた。
「親孝行だね。」などと当時は意味が全くわからない台詞を何度か聞いたほどに。
そのうちにあちこちから
「この写真のあそこにさ、ほら、顔が!」
「この写真手がないぜ!」
「足が写ってるんだぜ!」
そんな俺たちが5年間続けてきた会話が聞こえ始める。
そんな低Lvなもんじゃない。もっとこう、刺激的なヤツ。
どうせ最後なんだからそんな物を期待していた。

920「そーいう写真」の話3 sage New! 2008/05/23(金) 11:41:35 ID:4nZfJvHC0

写真掲示から時間がたち、いつの間にか写真は撤去されていた。
いつのまにか文化祭が終わり、いつの間にか卒業式の練習が終わっていた。
もう、だれも「そーいう写真」を話題にしなくなっていた。
そしていつの間にか卒業し、中学生になった。
中学校もまた小さく、小学校とほとんど同じ立地条件で、人数さして変わらない。
ただ校区が違うヤツがはずれて、そのニッチに別の小学校のヤツらが入ってきただけだ。
学校の半分は見知った顔だったが、先輩達はすごく大人に見えたし、すごく大人風を吹いて回ってた。
大人になったという実感はなかった物の、「大人になった立場」について満足していたのを覚えている。
そんなある日、ふと目に入った物がある。
小学校の卒業アルバムだ。
とくにいい思い出もない学校生活だったので放置気味だったのを発見したのだ。
おかしな感覚に駆られ中を開いてみると、そこには今とあんまし変わらないあの頃の彼らがいた。
俺が写っている写真を探してみたがなかなか無く、かろうじて見つかった1枚は浴場でとられた物だった。
ガラス窓の後ろに広がる夜の海を背に、5人が窓縁に腰掛けた状態で。
みんといっしょにピースして写っている。
股間にはタオルを巻いていた。
巻いてないやつのディグダは、うまいこと隠れていた。
「ああ。俺の写真写り悪いな・・・。」
そんなことを考えながら写真を眺めているとき。ある物が目に入った。

921「そーいう写真」の話4 sage New! 2008/05/23(金) 11:43:43 ID:4nZfJvHC0

ディグダだ。隠れていないだれかのディグダが写っている。
右に座ったやつの手をかわし。
左に座ったやつの膝をかわし。
確かに、小さいが確かにディグダが写っている。
「なんだこの写真!だれのだよ!」そうおもって顔を確認する。
無い。顔が。
理解に少し時間がかかった。
・・・顔がない。
いや、手も、足も、無い。
しかも座っている場所は、窓の外。
興奮しているのがわかる。
こめかみから眼球に向けて何かあつい物が通り抜ける。
脳が熱を持つ。
ああ。
「そーいう写真」だ。
これは、胴体だけが写っている、「そーいう写真」だ。
見間違いだろうと何度も見直した。
だが、風呂の水面の陰は5人分しか、無い。
というかディグダが写っていたら写真屋はとらないはず。
見つけた達成感と。
遅かったという敗北感が俺を支配した。
不思議と全く恐怖はなかった。
それ以来、今日でも。「そーいう写真」の話になるとその写真の話をしている。

*ディグダ(この場合は男性の股間のあれを指す)


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