洒落怖超まとめ

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なかまをよんだ!

   

740本当にあった怖い名無し sage 2010/11/10(水) 03:10:12 ID:J1mq4toE0

初めて洒落怖の過去ログ読んだけど、いくつか僕の立場に近い話があって、少しだけ嬉しい。
もしかしたら、似たような経験持ってる人は今もいるのかな。
いたら情報がほしいです。
僕は何も知らなさ過ぎる。

これはそこまで怖くないし、長文になってしまうけど、お時間があればお付き合いください。

741本当にあった怖い名無し sage 2010/11/10(水) 03:12:40 ID:J1mq4toE0

突然だが、僕は生まれ落ちた瞬間からかなりの鋭い感性の持ち主だったらしい。
病院にやってきた祖父がそれに気づき、すぐさま、地元で有名なお寺のお坊さんを呼んで見てもらったとか。
詳しくは省くが、本来じっくり修行をして開ける栓が、既に開いていたらしい。
そこで僕は、加護があるようにと、かの高僧から一文字もらい名付けられた。


742本当にあった怖い名無し sage 2010/11/10(水) 03:14:06 ID:J1mq4toE0

そして、僕が三歳になった時に不思議なことが起こった。
家族が外食に出掛けようとしたところ、僕は一人爆睡。
いくら起こしてもぐーすか眠る僕を、仕方なく家で寝かしたまま、家族は出かけた。

暫くして家族が帰宅すると、僕がどこにもいなかったらしい。
家はどこも施錠されているし、外に出た気配はない。 家族は大慌てで探したが、意外なところから見つかった。

外にある犬小屋の中に、犬と共に寝ていたのだと言う。

743本当にあった怖い名無し sage 2010/11/10(水) 03:16:50 ID:J1mq4toE0

それから度々不思議なことが起こるようになった。

暗闇の中で延々と何者かと喋っていたり、
旅行先で急にいなくなったと思ったら、寺院の石碑に話し掛けていたり、
愛犬の死期を悟る発言をしたり、と不気味な行動が目立った。

そこで祖父は、僕を名付けたお坊さんの寺へ連れて行った。
お坊さん曰く、子供特有の感受性と相まって、生まれた時よりもさらに強力な力を持っているらしい。 幸い、まだ悪いモノとの接触はなかったようだが、この先どうなるかわからない。 そして、僕はその力を抑える処置を施された。


745本当にあった怖い名無し sage 2010/11/10(水) 03:18:07 ID:J1mq4toE0

ちなみに、この頃の記憶は一切ない。
それどころか、それ以前の記憶、例えば愛犬がいたことすら覚えていない。
なので、ここまでの話は全て両親と祖母、お坊さんから聞いたものだ。
この頃以降の記憶はおぼろげだが、ある。

746本当にあった怖い名無し sage 2010/11/10(水) 03:19:20 ID:J1mq4toE0

それからというもの、奇行はピタリと止み、不思議な経験も特に記憶にない。
もしかすると、普通の子よりも鈍感な子供だったんじゃないだろうか。
しかし、あることをきっかけに、力は解放されることになった。

748本当にあった怖い名無し sage 2010/11/10(水) 03:20:39 ID:J1mq4toE0

小学校に上がると、お坊さんの誘いと、祖父の強い奨めで寺の敷地内で行われている剣道道場に入門した。
門下生も多く、全国的に知れた名門だったため、練習はキツかったが、次第にのめり込んでいった。
今思えば、それは僕を守るためであり、僕の今後を見据えてのことであったのだが、当時は無論そんなことなど考えていなかった。

時は経ち、僕が中学生になる頃に祖父が亡くなった。
特におじいちゃんっ子だった僕だか、涙一つ流すことはなかった。
感性を封じられているせいだろうか、ちっとも悲しくなかったのだ。


750本当にあった怖い名無し sage 2010/11/10(水) 03:22:16 ID:J1mq4toE0

葬式を終えて、静まり返った深夜に目を覚ました。
呼んでいる。
おじいちゃんだ。
進むべき場所は足がわかっているようだった。
台所。
スポットライトのように流し部分が明るくなっていて、蛇口からは糸のように水が流れているのが遠目からでもわかった。
一歩足を進めるごとに流れる水は勢いを増し、正面に立つ頃には、滝のようだった。

752本当にあった怖い名無し sage 2010/11/10(水) 03:23:39 ID:J1mq4toE0

不思議と怖くはなかった。
近くにあったコップにその水を注ぎ、一気に飲み干す。
そうしなければいけない気がしたからだ。
すると、後ろでバタン、とドアが閉まる音がした。
振り返ると、ドラえもんのどこでもドアみたいな扉があった。
もちろん、今までそんな物はない。
先程の音は誰かが扉の中に入っていったものらしかった。

それが祖父だということ、また、それが自分の力であることを悟って、少しだけ泣いた。

754本当にあった怖い名無し sage 2010/11/10(水) 03:25:30 ID:J1mq4toE0

次の日、お坊さんを訪ね、一部始終を話すと、やはりなあ、と漏らし、祖父も強い力を持っていたこと、恐らくそれが僕に引き継がれたこと、封印は昨日の件で解かれたことを話してくれた。
なんとなく、全て知っていたような気がした。

「もうその力を抑えることはできん。だが、そもそも抑えることこそ、不自然なもの。これからは抗うことなく受け入れてみなさい。」

何をどうしたら良いか聞いてみると、わからん、と笑われた。

「だがな、どうやらお前には救う力があるらしい。全てを救えとはいわん。敵わんこともあるだろう。 だから、身近なものだけで良い、助けられるものに手を貸してやれ。」


764本当にあった怖い名無し sage 2010/11/10(水) 03:36:59 ID:J1mq4toE0

帰り際に仏道に入る気はないか?と言われたが、丁重に断った。
そりゃそうだ、と坊さんはまた笑った。

そんなこんなで、僕は度々この扉
(今では立派な門になっている)と、
大なり小なりの不思議な体験をする。

しかし、おじいちゃんにとっても、お坊さんにとってもこれは誤算だっただろう。

僕はとんでもない臆病者だったのだ。

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