僕はあせりました。
かけよっておじさんに声をかけるべきか、どうしようか、迷っていました。
すると、
「パアァーン」
と、逆側のホームを、急行が通り過ぎました。
その音でおじさんは我に戻ったらしく、ホーム下の男の手を振り払うように、
ホームの中央に歩いていきました。
僕は、ほっとするのも束の間、ホーム下の男は、まだそこに残っていました。
「見える」僕に気がついたのか、その男は、同じ体勢のまま横移動して、
僕に向かってすごい速さで近づいて来たんです!
僕はなりふり構わず階段を駆け上がり駅を出ました。
駅の外から線路の方を見ても、そんな男は見当たりませんでした。
・・・それから、何度も同じ駅をつかってますが、こういった経験はこれだけです。