ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 31-40 > Part 34 > 井戸の中 2016/04/25 542 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/04/22 18:40 私がまだ小学生の頃。正月に広島にある祖父の家に行きました。 そこで私は熱を出して寝込んでしまったのです。 和室の真ん中に布団を敷いてもらって、うつらうつら。目が覚めると、夕方でした。 隣の部屋に通じる襖に、冬の淡い日差しが薄赤く映えています。 と、その襖がするすると開きはじめ、二十センチ程の隙間に女の子の顔が現れました。 髪を坊主にした女の子。私をじっと見下ろしています。 襖の向こうは真っ暗で、そこに浮かび上がる白い顔は能面のようでした。 「まひるが呼んでるよ。」 その子が口を開きました。 まひるというのは僕より二つ年下の従兄弟で、確か東京に住んでいました。 (まひるちゃん来ているんだ……) 発熱で朦朧とした頭でそんなことを考え、女の子に聞き返しました。 「どこで?」 「井戸の中。」 (井戸?) 確かに祖父の家には井戸がありました。でも、そんなところで… 「そんなところで何してるの?」 「知らない。もうだめかもね。」 その子が表情一つ替えずにそんなことを言いました。 その後眠りに落ちたのでしょうか、私の記憶はここで途切れています。 一月ほど経ったある日、母親からまひるちゃんが死んだと聞かされました。 冬休み中に用水路に落ちて水死したそうです。 B! LINEへ送る - Part 34, 洒落怖 井戸