洒落怖超まとめ

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人格障害

   

689本当にあった怖い名無し New! 2011/07/01(金) 10:07:17.94 ID:+aPrggCq0

数年前の話。五月に引越しして、一人暮らし始めた都内のアパートで、
ちょっと体調がおかしくなった。いつも12時前後に寝るようにしていたが、
1時から2時の間、寝苦しくて目が覚めるようになった。
胸が圧迫され呼吸ができなくなるんだが、それが三日に一度くらいの割合から、
毎晩のように起きた。
会社の同僚に相談すると、睡眠時無呼吸症じゃないかと言われ、調べてみると
そうかもしれないと思った。勤務中時々睡魔に襲われる以外、これといった支障
もなく生活できていたのだが、やはり毎晩続くと気になった。



691本当にあった怖い名無し New! 2011/07/01(金) 10:08:45.15 ID:+aPrggCq0

ある夜、いつものよう息苦しくて目が覚めた。普段はまたすぐに
寝入ってしまうのだが、その夜は喉の渇きを覚えて布団を出た。
冷蔵庫の麦茶でも飲むかと思った瞬間、ドアベルのブザーが鳴った。
夜中の一時過ぎ、突然のことでかなり動揺した。
アポなしで平日の真夜中訪ねて来る人間に、一人だけ心当たりがあった。
半年前に別れたモトカノだった。こちらは別れたつもりでいるが、向こうは
突然いなくなったと思っているに違いない。連絡先も教えず逃げ出した理由は、
人格障害持ちの彼女に、生活を滅茶苦茶にされそうだったからだが、
突然のブザーに体が固まった。



693本当にあった怖い名無し New! 2011/07/01(金) 10:10:18.92 ID:+aPrggCq0

職場も変え、携帯も変え、住所も変えたのに、三ヶ月で居所がばれた。
リスカして泣き喚き、部屋の壁を血で汚す姿を思い出し、息もできず
立ちすくんだ。すると、ドアの向こうで怒っているかのように、再び
ブザーが鳴らされた。「別れるくらいなら、死んでやる」というモトカノ
から逃げるには、黙って姿を消すしかなかった。
モトカノに死んで欲しくないという建前はあったが、本音は二度と関わり
たくないからだったが、再び現れたモトカノへの言い訳で頭が混乱した。
次のブザーで反応しなければ、多分こちらの名前を叫びながら、ドアを激しく
叩き出すろう。そうなれば、今度こそ警察に通報するしかない。
お互い嫌な思いをするが、相手は人格障害者。話が通じるはずもなく、
そっとテーブルの携帯に手を伸ばした。



694本当にあった怖い名無し New! 2011/07/01(金) 10:11:36.02 ID:+aPrggCq0

「諦めて帰ってくれ」携帯を握り締め、そう祈ること三十分。
ドアの向こうから反応はなく、やっと身動きができた。
モトカノとの共通の知人は二人だけ。そのどちらにも連絡先は教えていない。
しかし興信所を使えば、こちらの住所を調べることができるのかもしれない。
朝まで一睡もできず、いつものように電車で出勤する途中、ふとモトカノが
どうしているのか気になった。結局真夜中の訪問者の正体を確かめたわけではない。
自分の知っているモトカノなら、絶対に騒動を起こすはず。他人の気持ちが理解でき
ない心の病の持ち主。おとなしく帰ったのもひっかかった。



695本当にあった怖い名無し New! 2011/07/01(金) 10:13:21.18 ID:+aPrggCq0

そんなわけで、昼間、モトカノと出会うきっかけを作った友人に電話した。
モトカノが勤めていたある病院に知り合いの看護婦がいたはずだった。
一年くらい会ってはいなかったが、モトカノのことを相談したことがあった。
あのコは見た目が良いけど地雷だよ。絶対踏むな、踏んだら終わりだぞ、と
言われていたが、体の関係ができてから連絡を絶っていた。
あのタイプは社会生活ができないんだよ、でも見た目とかちょっとした才能で、
社会に居場所を許される。おまえ、あのコとのエッチにはまったろ、友人に
核心をつかれ、逃亡したことを告げると、調べてくれるとのことだった。



697本当にあった怖い名無し New! 2011/07/01(金) 10:15:31.62 ID:+aPrggCq0

そして、ドアに御札とか貼っとけ、と冗談口調で言われた。その夜、御札の代わりに
神社の交通安全のお守りをドアに貼り、いつもより多めの缶ビールを飲んで床の就いた。
三日ほど酒の力で眠ることができたが、このままではアルコール依存症になりかねない
などと思いつつ、酔いが回ってきた頃、あの友人から電話があった。
ちょっと冷静に聞いて欲しいんだが・・・・、あのコ、二ヶ月前に死んだそうだ。
真夜中、自転車で道路を横断して、酔っ払いの車に轢かれたとか。
友人の言葉を聞きながら、唖然としていると、突然誰かが激しくドアをノックした。
驚いて振り返ると、ドアのお守りが床に落ち、ドアノブがガチャガチャ音を立てた。
パニックになりながらも、何なんだよ、うるせーなと喚きながら、ドアへと突進した。
勢いでドアを開けると、そこには

703本当にあった怖い名無し New! 2011/07/01(金) 10:40:15.14 ID:+aPrggCq0

そこには二人の男が立っていた。
「○○署のものですが、ちょっといいですか」
訳が分からず中年男の話を聞いていると、
モトカノの日記だかに、こちらの名前が書いてあり、
それを読んだ親が、ひき逃げ犯の容疑者として
通報したらしかった。

これ以上は書けないが、本当に洒落にならない話だった。

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