洒落怖超まとめ

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幽霊なんてもんじゃない

   

912 本当にあった怖い名無し sage 04/08/29 02:11 ID:yjbOq1Dq

ずいぶん前の話になりますが、以前勤めていた千葉県内の会社
に入社した年のある日のこと。
その日は新人同期での飲み会があり、最寄りの駅に着いたのは、
夜11時をまわった頃だったと思います。
駅から会社の独身寮までは歩いて15分ほどかかり、私は同じ
寮に住む同期のTと喋りながらのんびりと歩いていました。
独身寮はI市とM市の境目にあり、途中に人家は少なく、梨畑
が一面に広がるのみでした。駅からは一本道なのですが、夜に
なると少ない街灯を頼りに歩かねばならず、何とも不気味に
感じられました。
というのも、この付近は古戦場跡が多いらしく、いたるところに
祠や石碑が建てられ、それほど霊感が強くはない私にも昼間でも
何とも言えない重苦しい空気が漂っているように感じられたから
です。

913 本当にあった怖い名無し sage 04/08/29 02:13 ID:yjbOq1Dq

特に一カ所、私にとっては苦手な場所がありました。それは、
この付近で唯一信号のある交差点の手前にある鳥居でした。
一見、何の変哲もない小さな神社のようなのですが、中は石碑
が幾つか並んでいるだけのものでした。
でも私には、初めてその横を通った時から、ヤバイ雰囲気を
感じていました。うまく言い表せないのですが、何かに睨み
付けられているような感覚でしょうか?
なので、普段はなるべく見ないように足早に通り過ぎるように
していました。
しかし、この日は少々酔いが残っていたせいなのか、楽しかった
飲み会の雰囲気をそのまま引きずるようにTと喋りながら歩いて
いたせいなのか、そのことも気にならず、信号の前まで来て
いました。歩行者信号は赤で、私たちはしばらく待たなければ
なりませんでした。Tは私の左隣に立っていました。
異変を感じたのはその直後でした。

914 本当にあった怖い名無し sage 04/08/29 02:14 ID:yjbOq1Dq

私は右の背後に何かの「気配」を感じたのです。位置はそう、
ちょうど鳥居の奥の石碑のあたりのようでした。
私はいやー感じはしましたが、振り向くことはできませんでした。
何だか見てはいけないような気がしたからです。
すると「気配」は徐々に私の方に近づいて来るのがわかりました。
信号が変わったら、すぐに歩きだそうと思ったのですが、なぜか、
信号がなかなか変わりません。信号を無視して歩こうかと思ったの
ですが、この時あまり親しくはなかったTに不審に思われては
いけないかと思い、そのまま気のせいだと思うことでガマンする
ことにしました。

915 本当にあった怖い名無し sage 04/08/29 02:15 ID:yjbOq1Dq

しかし、私の思いこみとは裏腹に「気配」がじりじりと私の背後に
迫ってきます。さっきまでしゃべり続けていたTは、いつの間にか
黙り込んでいます。信号もなぜか変わってくれません。そして、
その「気配」がついに私の背中のあたりでぴたりと止まり、私の
ガマンが限界に達した時でした。
「おい・・・」
ようやくTが私に話しかけました。
「今、おまえの背中にさぁ・・・」
「ぎゃあぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
私は情けないくらいの叫び声を出して、Tを残して信号も無視して、
駆け出しました。

916 本当にあった怖い名無し 04/08/29 02:16 ID:yjbOq1Dq

気が付くとなぜかTも私と並んで全力疾走していました。
そのまま寮の玄関を駆け抜けて、食堂まで来ると、ようやく気持ち
が落ち着きました。そこでTから聞いた話は以下のようでした。
Tは昔から霊感が強く、さっき信号待ちをしていた時に鳥居から
出てきた「モノ」が、私の背中に取り憑こうとしていたので、
あわてて声を掛けたとのことでした。
私は、それは幽霊のようなものなのか?と聞いたのですが、
「違う、そんな生やさしいものじゃない。」
「じゃあ、何だったの?」
「お前は知らない方がいい。」
と、言ったきり黙ってしまいました。

その後、私もTもその会社を辞め、今は連絡がつかなくなって
しまいましたが、あの時、私の背後に迫っていたものが何だった
のか、未だに気になります。もし、あの時Tが声を掛けてくれ
なかったらどうなっていたのかと思うと、今でもゾッとします。

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