洒落怖超まとめ

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数珠

   

774 名前:617 投稿日:04/01/31 03:46
俺、昔からサーフィンにはまってて平日でも時間があれば海に行っている。
今から5年ほど前、すごい勢いで波乗りにはまった時期があって、
その頃は定職にも就かず、ひたすら毎日海にいっていた。

ある日、久しぶりに俺に波乗りを教えてくれた先輩から連絡があって
夜二人で飲みに行った。 先輩は相変わらずで、最近体験したことを
面白おかしく語ってくれた。

先輩 「そういや最近○○(ポイント名)で入ったか?」
俺  「いや、あそこ最近あんまり良くないんでいってないっすよ」
先輩 「俺、一昨日そこで入ったんだが、なんか気持ち悪りーかんじがすんだよな。
    波待ちしてて嫌な感じがしてすぐあがったんだけどさ。
    お前、もし入るんなら気をつけろよ・・・。」
俺  「・・・・・・・・・・・・・・・ ギャグっすか?」
先輩 「・・・ うん」

そこで二人で爆笑。 俺はこのときの話は、すぐに忘れてしまっていた。

775 名前:617 投稿日:04/01/31 03:47
数日後、当時付き合っていた女が仕事が休みだったので、一緒に雑貨屋に行った。
買い物に付き合わされた。 その子は、ネックレスが欲しいらしくて、
いろいろ悩みながら選んでいた。 俺は、暇だったんで店の中をぶらぶらと眺めていた。
ふとひとつのブレス?に目が留まった。
それはブレスというより、「数珠みたいなもの」で色々な文字が刻まれた木製の珠が
革紐に通してあるものだった。 値段も安かったし、日雇いのバイトで金が少しあったんで
それを買って左足首につけてみた。
「また変なの買ってるし・・・。」
・・・言われるだろうと思ってた事を言われた。

彼女は、お気に入りのものがなかったらしく、
俺達は店を出た。 その後二人で飯を食っていたら、連れから連絡があった。
明日の早朝、5時に集合。 海の誘いだった。

776 名前:617 投稿日:04/01/31 03:50
翌朝5時、連れが来た。 こいつとは随分前からよく一緒に海にいっている。
荷物は全部車の中に乗せっぱなしなんで、水だけタンクにいれて速攻出発した。

季節は7月の終わりくらいだったと思う。 5時とはいえ、まだ少しだけ薄暗い。

「今朝は、風がねーし、面はよさそうだな。」
「あとは、うねりだな。」
俺達二人はそんな話をしながら、ポイントを見て回った。

しかし、どこもダメだった。
サイズがない。 膝程度のウネリが入ってきているところがほとんどで、
俺達は正直がっかりした。 そんなとき、ふと助手席のS(その連れ)が、
「○○に行ってみっか?」

Sが言ったそのポイントこそ、数日前、先輩が言っていた場所だった。
「・・・・・ そうすっか。」
しばらく考えた後、俺もそう答えた。 先輩の話はネタだと思ったからだ。

しばらくして、俺達はそのポイントについた。
波のサイズは腰はあった。 風はまったくなく、岸から沖を見ると、霞がかっていた。
正直俺はこの時、嫌な感じがあった。だけど、コンディション的には最高。
誘惑に耐え切れず、俺もSの後を追って、すぐに沖に出た。

778 名前:617 投稿日:04/01/31 03:53
そのポイントは向かって左に堤防があり、堤防の突端からうねりが左方向(グーフィー)に崩れる。
堤防の先は、川の河口になっていて、沖への流れ(カレント)が強いため、
俺達は、気をつけながら、最高のコンディションでグーフィーの波を満喫した。

しばらくして、俺はSの姿が見えないことに気がついた。
というより、半径2~3m以上向こうがまったく見えない。 深い霧がかかっていた。

「やべぇな・・・。 いっぺんあがるか・・・。」

そう思い始めた時にはもう遅かった。 どっちが岸で、どっちが沖なのか分からない。
俺は、波待ちしながら途方にくれていた。

ふと霧がかった向こうで、手招きしているのが見えた。
Sがあんなとこにいる。
俺は、そこに向かってパドルしはじめた。 自分の漕ぐ水の音しか聞こえない。
辺りはひたすら静かだった。

780 名前:617 投稿日:04/01/31 03:56
パドルしながらふと気づいた。 手招きしているのがやけに離れていっている気がする。
いくらパドルしても追いつけない。
それに、なにか妙にその手が白い。毎日海に行く、Sの真っ黒な腕とは正反対だ。
っていうか・・・ あれなんだ?

そう思ったとき、ドンって勢いでいきなり海底に引きずり込まれた。

最初、何が起こったか分からなかった。 ただ、鼻や口に水が入って、急激に苦しくなり
それで俺が海中にいるのが分かった。
波に巻かれた時は、冷静に海面に上がる。 パニくると体力を消耗してやばいから。
俺も、びっくりしたが、普通に上がろうとした。

でも上がれない。  それどころか更に沈んでいこうとしている。 なんだこれ?
ふと海底を見た。 そこで初めて、全身が凍りつくくらいの恐怖を感じた。

最初は、海底にワカメがゆらいでいるのかと思った。
白いワカメ? あるのかそんなん?

手だった。

781 名前:617 投稿日:04/01/31 03:57

海底一面にすごい数の手が一斉に伸びて、俺の左足を底に引きずり込もうとしている。

パニックだった。 死がこれほど身近に感じたことはなかった。
意識がなくなりそうな感覚がきた。 最後に思いっきり左足をひっぱった。
バシッと何かではじかれたような感覚があった。 その瞬間俺の体が海面に向かって浮き始めた。

助かった。

上にあがると思いっきりむせて、げほげほ言いながら周りを見渡した。
霧はどこにもなく、辺りはひたすら静かだった。

波はサイズも下がり、日は少し高く上っていた。
俺は思いっきり沖にでていたみたいで、岸に戻るのが辛かった。

782 名前:617 投稿日:04/01/31 03:59

岸にもどって、崩れるように腰を下ろした。 あれは何だったんだ一体。
ふと左足を見ると、全身が再び硬直するのが分かった。

左足は、真っ白に鬱血していて、手形のような青あざが無数についていた。
そしてそこにあるはずの、数日前に買ってつけた数珠が消えていた。

俺は今でも、そのポイントに入るときには、数珠をつける。 そして・・・
台風で海が大荒れのときよりも、静かで、風が無く、薄暗い朝や夕方に入るときのほうが怖い。

PS  Sは、俺の姿が見えないから先に上がったのかと思ったらしく車にいた。
   のん気に缶コーヒーを片手に一服していて、俺を見るなり、
   「あれ? まだ入ってたんか? おつかれ~」
   などと言いおった。
   頭にきて、奴のパンツを投げ捨てた。

783 名前:617 投稿日:04/01/31 04:02
やべぇ、すげぇながくなっちまった。
本当にすいませんでした。

最近、海に行くときはできるだけ数珠つけるようにしてますが、
あがったとき、すれて真っ赤になるので悩んでます。

長文、駄文、申し訳ありませんでした。

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