ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 31-40 > Part 33 > 留守番電話 2016/04/23 617 名前:1/3 投稿日:03/04/15 20:35 私の身に起きた不思議な話しを聞いて下さい。 大学の先輩の事なのですが、 付合っていた彼女が交通事故にあった。 即死だったそうです。 後日、傷心している先輩を励ますつもりもあり、 先輩のアパートに遊びに行ったのです。 今だガックリと肩を落す先輩はポツリと、 「俺がバイトじゃなかったら…留守にしていなきゃ」と、 留守番電話の再生ボタンを押した。 『もしもし、今からそっちに行くね』 電話から再生されたのは生前の彼女の明るい声。 「これが、彼女の最後の声なんだ…俺の部屋に来る途中に… 俺さえ電話に出ていれば、迎えにいけば、もしかしたら…」 「たとえ先輩が部屋にいても、何も変わらなかったかもしれないじゃないですか。 やっぱ彼女は…」私は口をつぐんだ。 何を言っても、今の先輩には慰めの言葉が見つからなかったから。 618 名前:2/3 投稿日:03/04/15 20:36 一月後、想いを振払う様に先輩はアパートからの引越しを決めました。 私は、先輩の引越しの手伝いにいったのです。 手際の悪い私達は、アパートの荷造りが一段落する頃には、 日も傾きかけていました。 「悪いな、お前に荷造りまでさせてしまって」 「いいんですよ、もうすぐ片付きますね」 と、その時、部屋の片隅に置かれていた留守番電話から、 『もしもし、今からそっちに行くね』 …かっ、彼女の声、まさか… ギョとした私ですが、 今だ彼女を忘れられない先輩はボイスメモリを消さずに、 何かの拍子に再生されただけだ、と自分を納得させたのです。 しかし、何もこんな時にタイミングが悪いと思い先輩に目をやると。 「悪い…」 「エッ」 「悪いな、今日はありがと、もういいよ、帰ってくれないか…」 「帰ってって、トラックも借りてきてるし、今日中に出なくちゃまずいじゃないですか」 「いや、俺は、もうちょっと、ここに残るから、あとは大丈夫だから」 ただならぬ先輩の気配に、ただ従うしかなく、 私は部屋を出ました。 619 名前:3/3 投稿日:03/04/15 20:36 その日以来先輩が行方不明になったのです。 アパートの部屋はあの時の荷造り途中のままで。 私は、あの時帰ってしまった自分を後悔しました。 時が経ったとはいえ、傷心しきった先輩は自殺したかもしれないじゃないか… 先輩の御両親も警察に捜索願いを出し、 私は、警察に出向き、あの日の事を事細かく説明をしました。 記憶をたどりながら。 と、一つの何気ない行動の記憶が蘇り、私は全身が鳥肌立つったのです。あの時、引越しの荷造りをする時、私は早々に留守番電話の回線だけ残し電源コードはコンセントから抜いた… 電話が掛かりこそすれ、留守番電話が再生されるはずがないじゃないか… 『もしもし、今からそっちに行くね』 あの時の彼女の声は、留守番電話の再生音なんかじゃなかった。 なぜ気が付かなかった。 そして、先輩は知っていたんだ、あの時、彼女からのメッセージである事を… 私は警察には、そんな事は言えませんでした。 私を帰した後、じっと彼女を待っていた先輩。 彼女は来たのか…彼女は先輩を連れていったのか…どこへ これが、私の経験した不思議な話しです。 この事を思い出すにつれ、恐さより寂しさを想います。 先輩と彼女は幸せに一緒にいるのでしょう…どこかで… B! LINEへ送る - Part 33, 洒落怖 電話