ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 51-60 > Part 56 > 盗んだ金 2016/05/15 160 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/10/18 19:35 男がいた。生計を立てるため、ひったくりをしていた。 その手口は、夜中に自転車に乗りながら、ひったくりをし、 ある程度逃げた後、鞄を川に投げ込んで、時期を見て鞄を引き上げ、 濡れた金(札)は、家の壁に貼り付け乾かす、というものだった。 そんな事を何度も繰り返していた。 ある時、老人を襲った。いつものように、ひったくりをして逃げた。 後ろで自動車の急ブレーキの音が聞こえたが、なりふり構わず逃げ、鞄を川へ投げ込んだ。 翌日、男はテレビで老人が事故で死亡したニュースを見た。 同じ時間、同じ場所、間違い無いあの老人だ。 だが事故と見なされ、男が捕まる事はなかった。 これを機に、二度と強盗をしなくなった。 最後に盗んだ鞄の中には、数百万の金が入っていた。 幾度も札を壁に貼り、乾かしてはまた札を張る作業を繰り返した。 何度も、何度も… 数年後、男は働いていた。給料は安かったが、それなりの生活もできた。 結婚もできた。あの事件を思い出す事も少なくなっていた。 子供が生まれ、そしてまた数年後… 子供は4歳になっていた。事件を思い出す事は無くなっていた。 子供が奇妙な遊びをするようになった。 新聞紙を切っては、水に濡らし、壁に貼る。乾いたら剥がす。 また濡らしておいた新聞紙を貼る。そして剥がす… また貼って、剥がす。また貼って、剥がす… 男は思い当たる。自分の過去、あの事件。 もちろん妻には言っていないし、ましてや子供が知るはずもない。 だが子供は毎日、奇妙な遊びを繰り返す。 男は日増しに恐怖心が募る。 男は耐え切れなくなり、ついに子供に聞いてみた。 「どうして、そんな遊びをすんだ?」 子供は不思議そうに聞き返す。 「え?だってパパもやっていたんでしょ?」 B! LINEへ送る - Part 56, 洒落怖