洒落怖超まとめ

厳選じゃない、完全網羅のまとめサイトを目指しています

箱回し

   

906本当にあった怖い名無し2020/01/02(木) 14:01:52.71ID:eT8AHAiE0

うちの親父が先年亡くなりましてね。よわい93です。
とすれば、わたしの歳も推して知るべしで、今年63になります。
無職です。60で退職して、その後は親父の介護を女房と2人でずっと。
だからこう言っちゃあ何だが、親父が死んでね、何か解放されたような気分になりまして。
女房も同じでしょう。ま、それでね、わたしもこの後どれだけ生きられるか
わかりませんが、親父ほど長生きしなくてもいいような気がしますよ。
子供らに迷惑をかけたくないし、女房より後に逝くのも嫌だしね。
親父は、長い間趣味として骨董集めをやっていたんです。
いえ、高いものはありません。どれも近くの神社前の骨董市とかで買ってきたもので、
だから売っても二束三文だとは思ってました。
本職の古物商を呼んでためしに値をつけてもらったら、やはり予想どおり。

でね、その古物商に「お気に召さないでしょ。これら、骨董市から買ってきたのなら、
市に戻せばいいのじゃないですかね。あの骨董市は知り合いが店出してるから、
その一画を借りる形で。鑑札は問題ないです。こういうものは買う人次第の
ところがありますから、私がつけた値よりは高く売れるかもしれません」
こんなアドバイスを受けたんです。それでね、時間だけはたっぷりあるもんですから、
お願いして、毎月市の日に、ゴザを敷いて売りに出てたんです。
値段は本職の方のアドバイスも受けましたが、相場よりだいぶ安いんだと思います。
けっこう売れましたから。そうして、だんだんに親父の骨董は
少なくなっていきまして。それで、3ヶ月前のことです。その日曜も骨董市に出ていて、
日が暮れてきたんで帰ろうと、品物を片付けていました。
そしたら、わたしより10ほど歳上に見える品のいいジイさんが来まして、


907本当にあった怖い名無し2020/01/02(木) 14:02:55.07ID:eT8AHAiE0

「この石ちょっと見せてくれるかね」って言ったんです。「ああ、どうぞ」
それは骨董とはまた違うもので、天然石ですから、美術品てことでしょう。
ちょっと見ばえのいい木製の台座もついてました。なんていう種類かはわかりませんが、
20cm四方ほどで、白く透きとおるロウソクみたいな質感のものでした。
老人は手にとってしばらく眺めてから、「ふうん、これねえ上下逆さまだよ」
「どういうことです?」 「この台座を向いてるほうが本当は上だな」
「ああ、でも、そうすると安定しないんじゃないですか」
老人の言うとおりに、石を逆さに置いてみましたが、やはりグラグラしたし、
しかも趣もあんまりよくなかったんです。「やっぱり前のほうがいいでしょう」
「観賞用としてはそうかもしれんが、顔があるのはこっちだな」
「え? 顔?」このときはもちろん、本物の顔のことだとは思わなかったんです。

本来鑑賞すべき向きとか、そういう意味だと理解したんですが、老人は続けて、
「これね、こっち側を、そうだなあ、和服の端布がいいかな、絹の。
 それで磨いてごらんよ」こう続けました。
「磨く? はあ、石を磨いてる趣味の方もおりますね」
「うんまあ、光らせるというわけではないが、磨いてれば何か出てきそうだ。
 端布は近くの和裁屋で売ってるだろうから、ぜひやってみてごらん」
「何が出てくるんですか?」 「まあ磨いてのお楽しみだろう」
こう言って、老人から石を磨く方法を習いました。
世間一般に行われている石磨きとは違って、グラインダーなどの機械はおろか、
磨き粉のようなのも一切っ使っちゃならないそうで、ただひたすら絹の端布でこする。
その間、無念無想になるのがこの趣味の醍醐味だと言ってました。


908本当にあった怖い名無し2020/01/02(木) 14:04:11.81ID:eT8AHAiE0

「高く売れるようになりますかねえ」わたしがそう聞くと、老人は懐から名刺を出し、
手渡してよこしました。それには「古美術商」の肩書がありまして。
「まあね、何か出たら、もし手に負えないことがあったら、連絡して」
「え、手に負えないことって?」 「まあまあ」
こんなやりとりをして老人は帰って行きましたよ。「ふーん、石を磨く・・・ね」
老後の、時間はあるが金はないわたしにはうってつけの趣味だと思いまして、
老人から教えてもらった和裁屋で、絹の端布を買って帰ったんです。
翌日の午後からですね。その石を磨き始めました。
下になっていた面を上に向け、ひたすら端布でこする。
力を入れてもどうにかなるわけでもないので、ゆっくりと優しく。
女房が「何をやってるのか」と聞いてきたので、

老人から言われたとおり答えたら、「高く売れるといいねえ」と笑いまして。
で、その午後中磨き続けましたが、目に見える変化はありませんでした。
ただ、やってる間はすごく落ち着いた気分でしたね。
それが、1日1時間半ほど毎日磨いてましたら、少しずつ変化が現れはじめました。
まず光沢が出てきて、白さの透明感が増したような気がしたんです。
それと老人が言っていたように、中に何かがあるように思えてきました。
でね、10日ほど磨いてますと、形が浮き出てきたんです。
これは立体感があるものじゃありません。わたしは平らにこすってるだけですから。
何と言えばいいですかね。横向きから45度ほど前に向いた女の顔・・・
それを水の中を通して見ているような。日本髪で昔の人のような感じがしました。
もちろん本当の人の顔の大きさはありません。実際の半分よりやや小さいくらいでしたか。


909本当にあった怖い名無し2020/01/02(木) 14:05:34.85ID:eT8AHAiE0

でね、それが見えてきてから、面白くなって午後のずっとを磨きにかけてたんです。
女房に見せましたら、「顔かねえ? そう言われればそんなような気もするけど、
 これは動物の顔じゃないかしら」 「そんなはずはない。これが額でここが鼻で・・・」
とうとう、朝起きたらすぐに石を手にとって磨き始めるという、
何かの中毒者みたいなことになってしまったんです。
ええ、女の顔はだんだんはっきりしてきまして。
歳は30代前半くらいですかねえ、なんとなく憂い顔に見えるところがよかったんです。
和裁屋にはその後2度行って、端布を買い足してきました。
飯もあまり食わなくなって、少し痩せましたから女房も心配し始めてね。
「あんたが夢中になってることをとやかく言うのもあれだけど、
 私には虎とかああいう動物に見えるよ。もう売っちまったほうがいいんじゃないかい」

でもね、その頃には売るという考えはすっかりなくなっていたんですが・・・
ある日です。縁側でそのときも石を磨いてたんですが、
陽気がいいので少し手をとめて うとうとしていました。そしたら外にシロがきまして。
ええ、このシロというのは白猫です。家で飼ってるわけではなく野良なんですが、
人に慣れてまして、ときおり姿を現したときに餌をやったりしてたんです。
縁側にひょいと跳び上がり、わたしの手の中にある石に近づいて、
顔の出ている部分をぺろりと舐めたんですよ。その途端、
「ヒンギャー」という声を上げて垂直にジャンプし、下に転げ落ちて
一目散に逃げていったんです。わたしはそれで一瞬でうたた寝から覚めまして、
見ると床板が血だらけになっていたんです。シロの血ですよ。
その中にまだピクピクと動く肉塊・・・

928本当にあった怖い名無し2020/01/04(土) 14:10:19.64ID:3ZpCWZj80

風習の類いなんでスレチだったら誘導願う
漏れの実家周辺(数軒)で今もある箱回しとか蓋回しって呼ばれてる縁起を担ぐ系な風習なんだけど、今年はちょっと異例だったので書く
この箱回しってのは、早くて4歳頃から名字の変わってない人だけできることになってる(回すのはルービックキューブをスライドさせるイメージに近い)
良いことがあれば続くよう右回し、悪いことがあれば去るように左回し、年内ならどのタイミングでもオッケーだけど年末の帰省のときに済ます人がほとんど
一応約束事として一回しか回しちゃいけないって言われてるけど、一周すると凹凸が合わさったみたいに動かなくなるから結局一回しか回せない
ここからが本題なんだけど、去年はその箱回しで叔父さんのは何故か右に二回回った
叔父さんは叔母から箱回しの事は聞かされてたけど、するのは初めてで本当に一回しか回らないのか興味本意で試したらしい、そしたら回ったと
漏れ含め何だよ回るんじゃんって囃し立てたかったけど、みんな鳥肌が凄いわ猫は唸るわ場にそぐわない異臭が漂い始めるわでそれどころじゃない、霊感とか誰一人持ってないけど不味い事が起きてるのはわかって
回しきったら奉納?お清め?してもらってる神社に漏れの父親とその兄二人に付き添われ叔父さんが箱を持っていった
神社までの道中、叔父さんは箱の重さに耐えきれず父親ズに引きずられるように歩いたとか異臭が強くなりすぎて吐くわ散々だったそう
神社に着くなり何をしたんじゃ!みたいなお決まりの流れは無く、淡々と処理され、回してない人は奉納に来てないお宅の箱をお借りしてくださいと言われて帰ってきた
漏れはまだ回してなかったから、隣家に事情を説明して回させてもらったけどやっぱり一回しか回らなかった
どういうきっかけで二回回せたのか知らないし、叔父さんに今後何も起きないとはわからない、ちなみに箱の中身は空です

930本当にあった怖い名無し2020/01/04(土) 14:18:32.55ID:MHBeaWTY0

>>932>>928
箱が全然イメージ出来ない
一回しか回せないって言うけど翌年は?


931本当にあった怖い名無し2020/01/04(土) 14:27:53.12ID:QBFthKRY0

あのヘル・レイザーの箱だろ


932本当にあった怖い名無し2020/01/04(土) 15:22:46.62ID:3ZpCWZj80

>>930
直径は日清カップヌードルの蓋ぐらい、どの家の箱も正方形じゃなくて丸い、けど蓋にある柄は違う(家はススキと馬)
感覚は丸箱の蓋を開けずに回すとかと同じ、だから年寄りとかは箱回しじゃなくて蓋回しって言う人もいる
一回って言っちゃうけど、イメージとしては一周が正しい、時計が一周して12時に針が止まることを一回とするみたいな、良いことがあれば時計回り、悪いことがあれば半時計回りって感じ
回しきらずに渡しちゃわないの?何で一周ってわかるの?ってのは柄のおかげ・動かなくるからとしか言えない、数十年当たり前にやってきた事だから説明となるとイメージしにくくてすまん
ルールは年内にどっち回しでも1人一回、回した人がまた回そうとしても本当に動かない(叔父さんの二回回しは初めてで異例)
翌年から使えるのは納めてお清め?してもらっててるからって聞いてる、翌年から箱が回せるようになってるから本当なんだと思う
大晦日までに納める決まりだけど、早く奉納するのはオッケーだから5月頃に持っていった家もある
一応長くなるから省いたけど、箱回しの詳細はこんな感じ

934本当にあった怖い名無し2020/01/04(土) 15:36:22.51ID:3ZpCWZj80

叔母は父親の姉で叔父さんは叔母の旦那で婿入りした人、家系図の説明なんて初めてだから書き方が違ってたらすまん
縁起担ぎだってのもあって箱回しの風習を気に入ってた叔母は、名字が変わると箱回しに参加できなくなるからって叔父さんに婿入りしてもらったそう
だけど漏れは名字の違う他の家の箱回しに参加させてもらえたから、名字うんぬんのルールは無いのかもしれない

945本当にあった怖い名無し2020/01/05(日) 09:38:17.02ID:FJTZgBag0

>>949>>932
一周して止まるけど、次の人はさらに一周できるってこと?
要は、別人なら何周でもできるって認識でおけ?


949本当にあった怖い名無し2020/01/05(日) 20:47:12.80ID:0qjFSTKM0

>>945
ID違うけど928
自分の番が終わる、回してない人がいれば次に渡す、だから別人なら何周もできるって認識でもおけな希ガス
わかりにくくてすまんな


951本当にあった怖い名無し2020/01/05(日) 20:52:21.69ID:0qjFSTKM0

画像も貼ろうかと思って実家に写真送ってくれるよう頼んだが、叔父さんの一件があったから止められたすまんな
似たようなものがないか検索かけて、一番しっくりきたのは丸型重箱、あれの蓋をちょっとドーム型にしたやつ

956本当にあった怖い名無し2020/01/07(火) 12:35:14.08ID:+2IV5Oei0

>>932
一人が一周させるのか
それだと凸凹合わさってロックかかるから次の人回せなくなるんじゃないの


957本当にあった怖い名無し2020/01/07(火) 12:44:55.25ID:iz3+/taT0

構造がよくわからないよね
次々と回せる時点でロックのかかる構造ではないと思われる
かといって単純に置いてあるだけの蓋なら一人一周で止まる意味がわからない


958本当にあった怖い名無し2020/01/07(火) 12:56:56.86ID:PUYGMjeo0

ググっても出てこない
地域の風習だろうから地域だけでも教えて欲しい


959本当にあった怖い名無し2020/01/07(火) 13:48:48.96ID:+2IV5Oei0

気になり過ぎて茶筒眺めてどんなギミックか考えてる
コリッとクリック感があって蓋が止まる仕組みなら簡単だけど次の人に渡さないともう回せないとなるとゆっくり動くバネとかが要りそう

蓋と容器の密閉具合と摩擦を調整すれば回転時に僅かに蓋が浮き一周でロックがかかるが次の人に渡す時の時間経過で蓋がゆっくりと下がりロックが外れるって機構も可能だけど長年掛けて回してると蓋と容器の機密が甘くなり蓋が下がる速度は速くなる
湿度や気温でも動きが変わるだろう

それに細かなギミックをカップヌードルサイズの茶器の棗のような形の木(かどうか知らんけど)の容器に仕込む職人って想像できん


961本当にあった怖い名無し2020/01/07(火) 13:59:56.61ID:XqKH1vrJ0>>964

集団催眠みたいな状態になって1回転しか回せなくなってるってことじゃないかな
事情を知らない人にやらせると何回転でも出来ちゃうとか


962本当にあった怖い名無し2020/01/07(火) 14:58:34.23ID:MFJSSF0X0

たんに呪力で一人一回しか回せないんだろ


963本当にあった怖い名無し2020/01/07(火) 16:55:47.07ID:Phhri+uU0

一人一回転までって信じきってるからいっぱい回そうとしても
無意識にセーブがかかっちゃうわけか


964本当にあった怖い名無し2020/01/07(火) 20:13:53.97ID:QnFd8j/k0

>>961
これっぽいよね
無意識にセーブしてるだけ


969本当にあった怖い名無し2020/01/08(水) 12:00:34.13ID:sHG5DrUm0

ID違うけど928
今更身バレの心配かよって思うかもしれんが
実家丸わかりだから地域はすまん、宮崎とだけ
今まで当たり前すぎてギミックとか諸々考えたこともなかったけど、無意識にセーブしている集団催眠には成る程と思った
今年は盆にでも帰省してきっかけとか聞いてみることにするわ
スレタイとはいえない話を拾ってもらってありがとう


970本当にあった怖い名無し2020/01/08(水) 12:39:52.64ID:sHG5DrUm0>>971>>973

あと茶器の棗ってのを初めて知って検索かけたが、これの蓋をもう少しドームにしたらまさにって感じ
それと蓋に柄があるんだが、それが◎の溝?の上に書かれてて、回したときに◎の内側の柄だけ回るんだが(これが回しきったかどうかの見分けになってる)ギミックに詳しい人の参考になるかな


971本当にあった怖い名無し2020/01/08(水) 13:17:36.12ID:KdVN/buc0 >>970


内側の絵だけ回るってなかなか手の込んだ工芸品だね
いじってみたい


転載元:https://mao.5ch.net/test/read.cgi/occult/1570877860/

 - Part 357, 洒落怖