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紫色の雲

   

800本当にあった怖い名無し sage 2008/05/21(水) 23:53:14 ID:HUlqDwFfO

投下


私は早朝の空が好きだ。
午前四時の紫色の空が何故かすごく好きなのだ。 この部屋の窓から見える早朝の紫色の空と、ギャアギャアという鳥の鳴声が、私をドキドキともワクワクとも、なんともいえない妙な感覚にさせるのだ。

「幼い頃の記憶は、後々まで無意識の内に影響している」

それがデジャブやらトラウマやらの原因の一つなのだと様々なオカルトサイトで読んだ。 確かに、初めて紫色の空を見たのは幼稚園の頃、この部屋でだった。

元々は亡くなった祖母の部屋だった。 若い頃モダンガールだった祖母に似合うおしゃれで白粉の香りがし、大きな窓があった祖母の部屋。 ベットが二つ並んでて、一つに幼稚園の頃の私が、もう一つには祖母が寝ていた。

目が覚めた。窓を見ると紫色の空。壁の時計を見ると午前四時。こんなに早く起きたのは生れて初めてだった。 突然、窓の外で声がした。
「ギャアギャアギャアギャア!!」

801本当にあった怖い名無し sage 2008/05/22(木) 00:00:03 ID:HUlqDwFfO

(つづき) 

鳥だった。突然の鳴声に驚いた私は「……ヒッ!」と声を出した。背後から声がした。

「起きたの?」

優しい声だった。振り返ると祖母が横になりながら優しい顔でこちらを見ていた。
少し微笑んだ祖母の顔はとても綺麗だった。昔、村一番の美女だといわれただけある。 幼い私がいままで見た女性の中で一番美しく思えた。私の心臓は、恋に落ちたときのような鼓動をうっていた。

そうか、これが原因か……

夢から覚めた私は開口一番そう言った。「幼い頃の記憶は、後々まで無意識の内に影響している」

幼い頃、恐ろしい経験をするとそれがトラウマになると言うが、それの逆もあるのではないか。 私が紫色の空が好きなのは、一緒に美しいものを見たからだ。


おばあちゃん……私は今でもあなたと見た早朝の紫色の空が大好 

夢を見た。
窓から紫色の空が見える。壁の時計を見ると午前四時。鳥が鳴いた。背後から声がした。

「起きたの?」

振り返ると祖母が横になりながら優しく微笑んでいた。服を着ていなかった。 祖母の向こうに裸で寝ている男性の背中が見える。肩の大きなホクロ、豊かな髪、そして私と似た福耳……

お父さん?

なぁんだ。なにがトラウマの逆だよ。紫色の空を見たときに感じた胸騒ぎって、ただ単に……

「幼い頃の記憶は、後々まで無意識の内に影響している」

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