洒落怖超まとめ

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鈴の音と女

   

2041/2 sage 2011/09/09(金) 16:22:00.34 ID:TPd0jerv0

8年ほど前、フリーのプログラマーをやっていたころの話。
俺は仕事の都合で上京し、中野のマンションに住んでいた。

その日は仕事が忙しく、深夜1時になってもPCの前でキーボードを叩いていた。
すると突然、

チリン、

と鈴の音が聞こえた。外からだった。廊下に誰かいるらしい。
今度はドアを叩く音がする。俺の部屋ではない、隣の部屋だ。
隣には仕事仲間のAさんが住んでいる。
今、Aさんも俺と同じプロジェクトに参加しているから、起きて仕事をしているはずだ。
こんな時間に客か?と思って耳を欹てていると、
ドアが開く音がして、Aさんの声と、女の声が聞こえてきた。客は女だったようだ。
会話の内容は聞き取れなかったが、Aさんは何かうろたえているようだった。
その間も、チリン、チリンと鈴の音が聞こえていた。鈴は女がバッグか何かにつけているものなのだろう。
やがて会話が途絶え、ドアが閉じる音がした。
帰ったのかな?と思っていると、いきなり携帯が鳴った。Aさんからだ。

2052/2 sage 2011/09/09(金) 16:23:06.72 ID:TPd0jerv0

「やべえ…今、すげー変な女が来た」

電話の向こうのAさんは完全にテンパっていた。
Aさんによると、ドアを開けると髪の長い陰気な女が立っていて、
「○○さんはいますか」と聞いてきたのだという。
Aさんは○○という名には覚えがない。それを女に伝えると、
女は納得いかない様子で「○○はここに住んでいるはずですが」と言った。
○○というのは、この部屋の前住人なのか?
だとしても、こんな時間に訪ねてくるなんてまともじゃない。
急にAさんは怖くなって、「とにかく、そんな人はいません」と一方的にドアを閉めたという。

「あれ絶対ストーカーだろ…なんで俺の部屋に来るんだよ。俺は関係ねーだろ。ふざけんなっつーの」
「まあまあ、その女はもう帰ったんだからいいじゃないスか」

愚痴るAさんをなだめ、俺は仕事を再開した。
そして4時を過ぎ、眠い目をこすっていたら、

チリン、

と鈴の音が聞こえた。
眠気は一瞬で吹っ飛んだ。直後、Aさんが半泣きで電話をしてきたのは言うまでもない。

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