洒落怖超まとめ

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魔女

      2021/07/06

920380 ◆rj2q8UtfJU sage New! 2011/09/27(火) 13:47:58.63 ID:QA6zoQ5b0

ころころID変わるのでトリつけます。

俺は本職で占いをしている人とは交流がなかった。
(それなりに大きな街だったので、占いの館系や辻占い師は結構いた)
占いはあくまでバーの売りの一つというスタンスだったから、
占い師の組合?互助会?のようなものに誘われたけど、加盟しなかった。
というか、そんな組織があることさえ知らなかった(全国的にあるのかな?)。

加盟しないと伝えると、俺の占い料金設定が不当に安過ぎると文句を言われたが、
占いに来たお客さんには飲食してもらっているので、
お客さんの出費としてはそちらに加盟しているところで占いするのと
大して変わらないかむしろ高いんじゃないの?(客単4千円。占いすると5千円超える)
と言ったら”呪われてしまえ!”といいながら引き下がった。


922830 ◆rj2q8UtfJU sage New! 2011/09/27(火) 13:50:44.78 ID:QA6zoQ5b0

その後しばらくして、占いにくるお客さんがパタリと途絶えた。
理由の察しはついていたし予測もしていたので、
バーテンの兄ちゃんと"組織力って怖いねw"ぐらいに話してた。
ただ、この頃から誰かに見られている感覚がふっと襲ってくるようになったものの、
特にヤバそうな感じはしなかったので、気にしないようにした。
この感覚は一月ぐらい続いた。
確か11月だったと思う。
開店の準備をしていると強烈な悪寒が走った。
うまく言えないけど、善悪とは無関係な強い力が近づいてくる感覚と言えばいいのかな?
バーテンの兄ちゃんも感じたらしく、心配そうに無言で俺を見てくる。
例によって?勝手にやぐらを組んで盆踊りしていた小人たちがあたふたといなくなった。
泣き虫まで泣くのを止めてダッシュで店から出ていった。
ああ、これはヤバいな。逃げ出したいな・・・と思っていると、
開店の18時きっかり、店に一人の女性が現れた。

924830 ◆rj2q8UtfJU sage New! 2011/09/27(火) 13:53:28.46 ID:QA6zoQ5b0

真っ黒なコートというかローブ?にシックな黒のスーツ、ノータイ。
肩ぐらいまでのストレートの黒髪、切れ長の目、病気かと疑いたくなるぐらい白い肌。
もう、これでもか!というぐらいテンプレな女性だったけど、
彼女こそがこの強い力だと直感した。
というか、霊感の有無に関わりなく本能で理解するレベルで"怖かった"。
目の前に野生のグリズリーがいるような恐怖と言えばいいのかな? 俺と兄ちゃんが「いらっしゃいませ」を言い出せないぐらい圧迫されていると、
彼女は俺の目の前の席に座った。
彼女はオーダーせずに自分は占いをやってるMだと名乗った。
本名ではないとも言った。
俺は遅れていらっしゃいませを言い、
(彼女が名乗ったので)自分も名乗ろうとしたら、
M「知ってる。○×△□さんでしょ?」
彼女はなぜか俺の本名を知っていた。
いろいろあって店では本名使っていなかったのに。
(俺の本名はオーナーとごく数人しか知らない)

926830 ◆rj2q8UtfJU sage New! 2011/09/27(火) 13:56:33.48 ID:QA6zoQ5b0

M「あなたの名前、△□は▲■にすべきだった。だから中途半端。
  今から変えても遅いけどね。親御さん責める訳じゃないけど・・・」
この人に逆らったらダメだと思った。

M「なんでYに喧嘩売ってるの?」
俺にはYなんて名前に心当たりがなかった。
真剣に頭をひねっていると、

M「やっぱり。占い師の集まりの頭よ」
俺は"はぁ・・・"と間抜けな返事をしたと同時に、
強制的に加盟させに来たのかと警戒した。
Mは苦笑しながら私も加盟していないと言った。
うん、この人を使役できる人がいたら見てみたい。
M「あなた、加盟しなかったからYたちに呪いかけられてるって判ってる?」
俺はまた"はぁ・・・"と間抜けな返事をした。
本当に心当たりがなかったし、特段困った事もなかったからだ。
俺は正直にそう告げると、
M「でしょうね。見てたから知ってる」
ああ、あの誰かに見られる感覚はこの人だったのかと根拠なく理解した。

928830 ◆rj2q8UtfJU sage New! 2011/09/27(火) 13:59:33.49 ID:QA6zoQ5b0

M曰く、もともとMはYとその取り巻き、やり方が気に入らなかったらしい。
で、俺がYの誘いを断ったと知って(どうやって知ったかは教えてくれなかった)
どんなやつで、どれぐらい持ちこたえるか気まぐれで観察していたらしい。
M「Yに報復する?」
Mはしたそうに見えたが、俺は特に実害ないしなにより面倒なので放置しますと答えた。
Mは急に楽しそうに笑い出した。
M「判った。今日からあなたと私は友達。いいよね? あとは任せて」
よく判らないけど、代理報復するんだろうなと思った。
何でもいいからYに手を出す理由がほしかったのだろうなとも思った。
Mは去り際になぜ俺に呪いが効かなかったかを教えてくれた。
M「あなたが彼らを排除せず、放置し続けたから」
このバーに出る連中を放置した事で、結果的に俺が守られていたらしい。
バー自体がバリアーで守られている状態らしい。理屈は判らない。
というか、排除する技量がないだけなんだけどね。

翌日、Mから店に電話があり、
「始末した」
とだけ告げられた。質問が許されるとは思っていないので、何も聞かなかった。
新聞見ても川で死体があがったとか変死体が出たとか書いてなかったので、
穏便な方法だったと信じたい。

931830 ◆rj2q8UtfJU sage New! 2011/09/27(火) 14:01:43.94 ID:QA6zoQ5b0

その後、なぜか俺はMに気に入られたらしく、
仕事上がりの食事や怪しげなお店へ同伴させられたり、
Mがつれてきた知らない女性に中田氏しろと命じられたりする事になった。

後に彼女が"魔女"と呼ばれ、占い師はもとより、893からも恐れられていると知った。
あと、新興宗教の教祖でもあると知ったが、それはまた別のお話しで。
テンプレみたいだけど俺が体験した本当のお話し。
おしまい。

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