ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 31-40 > Part 36 > つかまれる 2016/04/27 792 名前:俺が中学生の頃に塾の先生から聞いた話 投稿日:03/05/08 05:01 先生は話をする前に 「話し終わったら、私の腕に注目!」 と意味不明なことを言った。 (話に出てくる『私』とは先生の事です) 私が中学生の頃に友達の田舎に泊まりに行った。 確か和歌山だったかな?(もしかしたら大阪かも?とりあえず近畿の南の方) そこは遊ぶところに困らなくて、近くには海があり、山があり とにかく自然で一杯だった。 約一週間泊まったんだけど、その時間が一瞬で過ぎたと錯覚するぐらい楽しかった。 いつもは夕方ぐらいには帰ってたけど、最後の一日は少しでも思い出を残そうと 夜まで海で遊んでいた。 遊んでた場所から宿泊してた家までは自転車で約20分ぐらいだから、 時間の事は余り気にしなかった。 しかし夜の11時を過ぎ、さすがにそろそろ帰ろうという事になった。 私たちはそれぞれの自転車に乗り、友達が前で私が後ろから ついて行くという感じで自転車を漕ぎ出した。 自転車を漕ぎ出してすぐに、前を行っている友達が急に止まり私に 友達「何か言った?」、 私「何も言ってないけど?」 友達は首を傾けながらも 友達「なら、別にイイわ」 とりあえず再び前を向き、私たちは自転車を漕ぎ出した。 793 名前:俺が中学生の頃に塾の先生から聞いた話 投稿日:03/05/08 05:01 しかし1分も経たないうちに、また友達は自転車を止め切り出した。 友達「お前、やっぱりなんか言ったやろ?!」 私「何も言ってないわ!そもそも何が聞こえてん?」 友達「何か早口で『〇〇(名前?) は何処』、と繰り返して言った後 放送終了後のテレビの『ザー』って感じの音が聞こえた」 私「『〇〇は何処』はともかく、『ザー』なんて声は出されへん」 友達「それも…そうやなw」 私たちは少し笑いながらも、さすがに二度も不思議な事が起きると怖くなり、 横に並んで自転車を漕ぐ事にした。 しばらく二人並んで自転車を漕いでいて、友達が「ふっ」と後ろを向いた。 私は何となく友達の顔を見てみたら、友達の顔が露骨なほどに 青くなっていく事に気付いた。 794 名前:俺が中学生の頃に塾の先生から聞いた話 投稿日:03/05/08 05:02 私たちが使っていたその道は50m間隔でしか街灯がなく、 お世辞にも明るい道とは言えなかった。 明かりと言えば、街灯と月明かりぐらい。 その限られた光でも友達の顔が青くなるのが分かった。 友達は叫び声を上げながら自転車を速く漕いだ。 私は状況が分からなかったが、友達の異様な行動に恐怖を感じ、 訳も分からず自転車を速く漕いだ。 友達は私に振り向きざま 友達「もっと速く漕げ!速く!つかまれるぞっ!!」 叫んだ言葉の意味は分からない、ただ漠然と恐怖を感じた。 私は懸命に自転車を漕いだ。 私たちは5分ほど全速力で自転車を漕いだ。 友達が後ろを向き、速度を落とし始めて自転車を止めた。 私もつられて自転車を止めた。 友達の顔色はさっきの青い顔から戻っていた。 私は先ほど、聞く間もなかった事を聞いてみようと思った。 私「いったい何があってん?」 友達「お前がどんどん離れて行くと思って後ろを向いたら、 お前の1mぐらい後ろに白っぽい服を着たおばあさんが見えた。 俺と目が合った途端に白っぽい服がみるみる茶色くなって、 お前の頭をつかもうと手を振り回してた。 お前、後10cmぐらいで頭つかまれてたぞ」 私たちは泣きそうになりながらも、急いで帰ることにした。 795 名前:俺が中学生の頃に塾の先生から聞いた話 投稿日:03/05/08 05:03 再び自転車を漕ぎだし2,3分ほど経った時、私は自分の自転車が 友達の自転車と徐々に離れている事に気付いた。 私はスピードを落としたつもりはない、友達がスピードを上げた訳でもない。 まして、実は友達の自転車に変則ギアがあるというオチがある訳でもない。 横に並んでいたはずの友達と徐々に離れていく。 負荷は感じないが、何か引っかかったのかと思い後ろを見たが何もない。 同じペースで自転車を漕いでいた、だけど少しずつ距離が離れていった。 少しずつ混乱していく、友達に何を伝えればいいの分からない。 「ガシッ!!」 何か金属音のような音が後ろから聞こえた。 後ろを向いた、しかしそこにはただ暗闇が広がるだけ。 よく考えると、正確には音は真後ろではなく、後ろの下の方から聞こえた。 直感的に恐怖を感じながらも下の方に目を向けた瞬間、それは居た。 796 名前:俺が中学生の頃に塾の先生から聞いた話 投稿日:03/05/08 05:05 私たちが乗っていた自転車は、ママチャリと呼ばれる種類の自転車だ。 それはスタンドに手を掛けて引きずられていた。 さっき友達が見たものに間違いない、白っぽい服を着たおばあさんだった。 それと目が合った瞬間、着ている服が茶色く変化していく。 目線を外すことが出来ない、自転車を漕いでることすら忘れてしまった。 それはスタンドに掛けていた手を上にあげ、荷台の方に手を掛けた。 そして荷台に掛けた手を更に進めサドルをつかむ。 それがサドルに手を掛けた時、やっと私は叫び声とともに体が動いた。 サドルに掛けた手を振り払おうと左手を動かした瞬間、 それは私の腕をつかんでいた。 それの手を見た時、人差し指の爪だけが他の指の爪よりも 1cmほど長かった事に気付いた。 しかし、そんなものを見ている時ではない。 私はつかまれた手を振り払った。 私の左手に激痛が走り、その拍子に自転車から転げ落ちてしまった。 耳元で声がする。 「〇〇か!〇〇は何処?」 そして「ザー」という音が聞こえた。 いや、正確には「ザー」ではなく、もっと大きな音。 何かがたくさん落ちてくるような、爆発音にも近い音だった。 私はすぐに体勢を整え、全力で走って逃げた。 家までは150mほど、自転車を拾っている余裕はなかった。 その一部始終を見ていた友達も、叫びながら全力で自転車を漕いだ。 797 名前:俺が中学生の頃に塾の先生から聞いた話 投稿日:03/05/08 05:05 二人が家に着いた時、二人とも服が泥だらけだった。 私はコケタが、友達の方に土が付くのはおかしかった。 泣きながら友達の祖父母にその一部始終を伝えると、 二人とも何か神妙な顔になっていた。 その地域は、戦時中に都会から疎開してきた人が多かったらしい。 田舎と言っても、いつ戦渦に巻き込まれるかは分からない。 万が一のために幾つか防空壕を作っていたらしい。 しかし、戦争が始まり早急に作った防空壕のため強度が全くなく、 よく落盤していたそうだ。 「もしかしたら、何かの拍子に防空壕に入って亡くなった人なのかもしれないね」 友達の祖母はそう言った。 798 名前:俺が中学生の頃に塾の先生から聞いた話 投稿日:03/05/08 05:07 先生はこの話を塾に通っていた俺らに聞かせてくれた。 先生は話し終わると、自分の服の袖をめくり俺らに腕を見せた。 「腕を振り払った時に痛みが走ったと言ったけど、これがその時ついた傷」 そう言った先生の腕には、爪で引っかいたみたいな傷が一本走っていた。(10cmぐらい) 「あと私、この話をしたら絶対に鳥肌が立つんやわ」 話を聞いた俺らに鳥肌が立つのはわかるけど、 話をした本人に鳥肌が立つのはおかしくない? でも、先生の腕には確かに鳥肌が立ってた。 ほんでさ、話をしてくれた日に塾を休んでいた奴が居たんだけど、 翌週そいつが「俺も聞きたい」って催促して、もう一度同じ話をしてもらってん。 やっぱり先生の腕には、鳥肌が立ってた。 二度も続くと、さすがに本物と思ってマジでびびったわ。 799 名前:俺が中学生の頃に塾の先生から聞いた話 投稿日:03/05/08 05:08 あと先生が自転車からコケタ時に走ったと言ってたけど、 友達の方は自転車を全力で漕いでたのにも関わらず、 先生は友達を追い抜いて先に家に着いたらしい。 「あの時、タイム計ったら世界新でたね」 びびってた俺らに、けらけら笑いながらオチを付け加えてくれた。 少し心が安らいだよ。 以上、朝っぱらから長々とスマソ。 B! LINEへ送る - Part 36, 洒落怖