デパートの怪異
936本当にあった怖い名無し2020/01/04(土) 22:05:40.90ID:GpXAKrgI0
初めて書きこみます。
何かおかしかったらすみません。
小さい頃の話なんですけど、
どこか大きなデパートの、ひとけのない階段の踊り場に居たんです。
親も居たと思うんですけど、広い踊り場でベンチもあったし、多分休憩してたんですね。
暇な私は階段を昇ったり降りたり、座ったりしていました。
古いデパートのせいか壁紙の捲れてるところを見つけました。
指でベロベロして遊んでいたんですけど、そのうちにちょっと引っ張ってみたんです。するとぺろぺろーっと10cm四方に剥がれてしまって、あっ怒られるって思ったんですけど。
937本当にあった怖い名無し2020/01/04(土) 22:11:27.31ID:GpXAKrgI0
そしたら急に背後、上の階の方からですね、大きな怒鳴り声が降ってきました。
振り向くと知らないおばさん、茶髪でパーマかけた、ちょっと派手な格好の方が仁王立ちで私を睨みつけていました。
私と目が合うとまた大声で、多分壁紙についてだと思うんですけど、全然聞き取れない。
怖くて怖くて、固まっていたんですけどおばさんが急に手を伸ばしてきたので、慌てて立ち上がって踊り場の方へ逃げようとしました。
でも居ないんです、親が。踊り場に。
ベンチなんか誰もいない。
階段におばさんの声が響きわたって、もつれる足で駆け下りて、下の階に逃げたんですけど。
938本当にあった怖い名無し2020/01/04(土) 22:14:44.00ID:GpXAKrgI0
誰もいない。
お客さんもレジの人も、どこにも、誰もいない。
店内bgmすらなくて、パニックのまま洋服売り場を逃げ回る私を、おばさんが怒鳴り散らしながら追いかけてきます。
939本当にあった怖い名無し2020/01/04(土) 22:23:38.25ID:GpXAKrgI0
エレベーターの扉が開いていて、閉まりそうだったので滑り込みました。
おばさんは多分気づいていないだろう、閉まる扉の向こう、おばさんの声が遠くなっていきます。
何故か、エレベーターは屋上へ向かっていました。
私は何階にいたのかな。屋上に着けばきっと誰かいると何故か思っていて。
でも、途中で止まりました。
扉が開いて、そこにはおばさんが立っていました。
ものすごく怒った顔で乗り込んできて、身を屈めて私の顔に顔を近づけてきました。
扉が閉まり、動き出すエレベーター。視界いっぱいにおばさんの顔。
「西村の炉端で」「かじきの」「用水路段数が地下の」「くぁwせdrftgyふじこlp」
唾を飛ばしながら鼓膜が破れそうなほどの声で、支離滅裂な内容を叫び続けるおばさん。
その焦点の合わない瞳に至近距離で見つめられ、私は息もできず硬直していました。
長いこと乗っていたように思います。
940本当にあった怖い名無し2020/01/04(土) 22:27:47.05ID:GpXAKrgI0
チン、と鳴って、エレベーターが止まりました。
おばさんの後ろで扉が開いて、眩しい夕日が差し込みました。
私はおばさんを振り切って、エレベーターから飛び出しました。後ろからはまだ声がします。
屋上の遊園地には普通に人がいっぱいいました。
親もいました。どこ行ってたのって、何故か怒られました。
振り向くと、エレベーターの扉は閉まっていました。