だんだん霧が深くなってきて、あ、こりゃ廃道だったらヤバいな、と
二人とも無口になってきたところで、少し道が舗装されて広いところにたんですね
見ると まばらに民家とか見えてきて、ああ、小さな村だなと気づきました
・・さすがに深夜だからか、どの家も明かりも外灯もついておらず「廃村じゃねえの?」と先輩がつぶやいたときです
車をとめた道の先から、だれか走ってくる!
先輩も俺も息をのんで20メートルくらい先をみつめました
どんどんちかづいてくる、それは男で、上半身裸で、両手を振り回して、なにかを叫んでいる・・ 血だらけで!
「・・・た・すけ・・た・・すけて・・ たす・・けて・・」
男の手が車のボンネットに触れるかというところで先輩が叫びました
「出せ!!」「出せ!!」
その叫び声の真剣さに反射的にバックのままエンジンを吹かし男を残し俺達は逃げて逃げました
やっと車は見覚えのある道に出られ、俺は落ち着きを取り戻し
「いやぁ・・びびったすね・・でもあのおっさん助けよんでたみたいだけど・・
先輩パニくってるから、俺も逃げちゃったけど・・・大丈夫かな?」
おまえ、あのおっさんが車に触れる瞬間、何て言ったか聞いたか、と
先輩はまだ青い顔でつぶやきました
「あのおっさん・・こういったんだ」
た す け て や ら な い