ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 21-30 > Part 22 > 不細工 2016/04/08 695 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/12/01 13:14 (1/2) 彼女はとても綺麗な人で、それを自分でも良くわかっていた。 あまりに綺麗だったから、少し自信過剰ぎみで、鏡を見つめると、二時間でも三時間でも、自分の顔を見つめているような人だった。 その日の夜も彼女は、部屋の大きな鏡の前で行ったり来たりしていた。 今日、職場の同僚の女性の葬式があったそうだが、早く自分の美しい顔を見つめたくて、葬式をすっぽかしてしまった。 死んだ同僚の女性は、何年も付き合った男にふられて自殺したらしい。彼女は憐れに思う傍ら、その女性をあざ笑っていた。 死んだ女性の付き合っていた男を誘惑して、別れるようにしむけたのは彼女なのだ。 『馬鹿な女ね。男一人繋ぎ止めておく魅力も無いなんて。不細工だからいけないのよ。私のように美しくなければ』 彼女は赤い唇をつりあげて、鏡を見つめた。 『あら』 彼女は思わず声をあげた。一瞬だったが、鏡の中の自分が目をそらしたように見えたのだ。 『おかしいわね』 そんなはずは無いと、鏡をじつと見つめる。鏡の中の自分は相変わらず美しい顔で、じつとこちらを見ている。 彼女は首をかしげながら、口紅でも引こうと化粧台の方へ手をのばした。 696 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/12/01 13:23 (2/2) 『不細工』 突然、低い女の声が、部屋の中に響いた。彼女はぎくりとして顔をあげる。 『不細工』 『不細工』 重なるようにして、女の声がこだまする。彼女は混乱して、自分の美しい顔を見て落ち着こうと、鏡の方を向いた。 そこには、顔をひどく歪ませて、彼女を睨む死んだ筈の女性の姿が写っていた。 彼女は金切り声をあげると、鏡に向かって持っていた口紅を思い切り投げつけた。 鏡は粉々に割れて、鋭く尖った破片が、彼女の美しい顔めがけて飛んできた。 まるで、鏡の破片が意思を持っているかのように。 避ける間も無く、彼女の顔に、無数の破片が突き刺さった。 彼女の美しい顔は醜く崩れ、もう一生もとの顔に戻る事は無かった。 心がひどく不細工だった彼女は、美しい顔を無くし、本当にただの不細工になってしまった。 B! LINEへ送る - Part 22, 洒落怖