洒落怖超まとめ

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吹き溜まり

   

9371/3 sage 2008/07/19(土) 18:13:12 ID:fsEv3ym40

時節柄、久しぶりに洒落恐を見たので、なんとなく投稿してみます。

最近は全くそういう経験はしてないんだけど、上京したての頃に友人と2人で住んでいたアパートがやばかった。…らしい。
住み始めてまもなく仲良くなった女の子グループの中に、見えたり除霊だのができると噂のSがいた。
しかし、このSがとにかく俺たちのことを口汚く罵るように遠ざけようとする。
曰く、「こいつらの後ろにいるモノがヤバい。近づくな」と。
しかし、オカルトを信じていなかった俺たちと、Sの制止を聞き入れなかったグループの数人は、
Sに隠れ、二ヶ月ほどの間に毎日うちに遊びに来るぐらいに仲良くなっていた。

ほどなくして、ブチ切れたSがうちに乗り込んでくるわけだが、その日まで一切怪しげな事は何もなかった。
突然の訪問者を招くために玄関を開ける。
その時、部屋の中の空気がまさしく一変した。
ついさっきまで居た部屋とは信じられないほどに生臭く、うすら寒く、何かどんよりとしたモノで埋め尽くされたような空間に吐き気を覚えた。
何が起きたのか理解できなかったが、この時初めてオカルトらしきモノを体験したことだけは分かった。
そして、玄関を開けた俺は残念ながらその現場を見ていなかったので後日談になるのだが、
壁、天井、窓、部屋の扉と、部屋を覆い尽くすかのように手形がびっしりと浮き上がったのだそうだ。
白昼に響き渡る悲鳴。
部屋にいた全員が突然の出来事に圧倒され、必死の思いで部屋から這い出た。
Sは一人部屋の中に入り、冷たい口調で「終わったら連絡するから、どっかで時間潰してなさい」それだけ言うと、扉を静かに閉め、鍵を掛けた。

9382/3 sage 2008/07/19(土) 18:13:47 ID:fsEv3ym40

部屋の中でその後何が繰り広げられたのかは分からない。
誰が言うともなく駅前のマックに足を運び、無言のまま5時間ほどが過ぎた頃、俺の携帯が鳴り響いた。
番号を見るとうちの固定電話からだった。
恐る恐る電話に出ると、さっきの冷たい口調とは打って変わった、出会ってからこれまで一度も聞いたことのない優しい口調のSだった。
「もう終わったから帰ってきて良いよ」
女の子達は当然のようにうちに戻るのを拒否したが、Sから電話を替わるように言われ話をさせると、
そのまま帰らせるのも良くないからとかで、彼女たちはマックで待機することになった。
足取り重く同居人と2人で戻ると、部屋の中は信じられないほど空気が澄み切っているように感じた。
手形が浮き上がった現場を見た同居人は、手形が一切無いことにもっと驚いていたようだった。
俺は俺で、玄関で迎えたときとは別人のようにゲッソリとしたSにも驚いていた。

部屋は何事もなかったかのように、静まりかえり、逃げ出すときにひっくり返したテーブルなどは、
Sが片付けてくれたらしく、こざっぱりと綺麗にもなっていた。
呆然としている俺たちに、Sが色々と話しかけてきたが、全く耳には入らなかった。
その様子を見て取ったSは、俺たちの背中に手を当てなにやら呪文のようなモノを呟くと、
「これであんた達は大丈夫。わたしはM(マックに残った女の子)達の所に行くから帰るね」とあっさり言い放つ。
いやいやいや!待ってよ!と、どっちが男なのか分からない怯え口調で呼び止めようとするも、
「わたしが大丈夫って言ったら大丈夫なんだよ!」と男らしく突き放され、いや、蹴飛ばされ、今度詳しく話すからとSは帰っていった。
部屋の空気が変わったように感じるせいか、段々と怖さも薄れ、その夜は(手形の浮いた部屋で)ぐっすりと眠った。

9393/3 sage 2008/07/19(土) 18:14:21 ID:fsEv3ym40

翌朝の目覚めはとても心地よく、昨日の騒動が嘘のようだった。
Sの連絡先を知らなかったのでMに電話をすると、マックで合流をした後に同じようにお祓い?を受け、
M達も無事に帰宅したことを知り、ひとまず胸をなで下ろした。
この頃はまだ携帯電話の所持率が低く、聞き出したSの連絡先は自宅の電話番号だった。
早速電話をすると、Sの母親が出た。
「ああ、○○さんね?あの子から伝言を頼まれてるの」と話だした。
話を聞くと、昨夜の騒動の後に一度帰宅したが、帰宅するなりぶっ倒れ、病院に運び込まれたんだそうだ。
伝言は「話があるから来い」とのことで、それじゃSさんが退院したら…と言おうとすると、
「もう回復してるだろうから大丈夫よ。○○病院の○○号室。よろしくね」と、明るい声で、しかし一方的に切られてしまった。
しかたなく病院に向かい、Sの病室を訪ねると、点滴を受けながらも週刊少年誌を読み、ケラケラと笑うSの姿があった。

色んな事を話した。
ぶっ倒れるのはよくあることだけど、父親はオカルト的なことは全く信じていないとかで、救急車を呼んだのは父親だったこと。
母親だけでなく、祖母も、曾祖母も、そのまた前から同じ力があり、一日寝れば回復するんだけどねーなんてこと。
M達と隠れて会ってることは、M達の○○(よく聞き取れなかった。背後霊的なモノ?)が変化してたから知ってたこと。
その変化がSとして鬱陶しく限界だったから、ブチ切れて乗り込んだこと。
そして肝心のうちのアパートのこと。
アパートが建っている周辺がパワースポットみたいなモノで、まさに俺の部屋の立地がその中心だったらしく、
区画整理やらなんやらで、流れがおかしくなり、濁った力が吹き出すようになった。
その濁った力に引き寄せられて、色んな"モノ"が集まり、さらにはその内の何体かが俺たちに憑きまとい、知らずに色んな悪影響を振りまいていたらしい。
これも後日談になるが、M達はその色んな"モノ"に影響を受け、色欲が抑えられない状態になっていたらしい。
この点は、思い起こせば、かなり思い当たる節はあるw
俺たちを閉め出した後で、方法は分からないが力の流れを直し、そのうえで色んなモノを追い払ったんだそうだ。

940締め sage 2008/07/19(土) 18:15:13 ID:fsEv3ym40

結局のところ、俺は何も見ていないので話半分って感じなんだけど、一瞬で変わったあの空間の気持ち悪さは今でも忘れられない。
その後、Sとは3年ほど親しく過ごし、その間も色々変な騒動はあったが、結局俺にはそういった力が全くないのか、いつも何かを感じるだけで終わった。
今ではすっかり会わなくなったが、どこかに旅行に行こうかと計画したりする時には、たまに怖い連絡が来る。

「○○に行くのは勝手だけど、××には何があっても絶対に近づくな」みたいな連絡が。
あんた、なんで知ってるの…orz

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