洒落怖超まとめ

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奇妙な踏切り

   

118 本当にあった怖い名無し sage 2006/06/29(木) 17:52:24 ID:+tU5vap80

怖いのかどうなのかよく分からない話。スレ違いだったらスマン。

10年以上前。
原付免許を取り、初めてエンジン付きの乗り物に乗って興奮しまくってた頃。
当時横浜に住んでいたんだけど、俺の生まれは横須賀で、ずっと「いつか前に住んでいた家を見に行きたい」と思っていた俺は、原付の運転にも慣れた頃にそれを実行してみることにしたんです。
今から考えるとアホらしいんですが、当時は16号線を延々原付で走る行為に苦痛など感じず、むしろ「すげw俺このままどこまでもいけそうw」とか浮かれてしまい、道が続く限り無計画に走っていきました。
生まれた家がどこにあるのか、俺はよく知りませんでした。
父も、その家では母と色々あったらしく、あまり多くを話してはくれません。
なので、生まれた家を見に行くというよりも、おぼろ気に覚えていた景色を見つけに行くような、宛てのない走行となってしまいました。
土地勘の全くない状態だったので案の定道に迷い、けれども「最悪、逆走すりゃ帰れるだろw」と迷うことを楽しみながら走行を続けていました。
そうして、海沿いの道や山を切り開いたような道を延々進んで、あの踏切に着いたんです。

119 本当にあった怖い名無し sage 2006/06/29(木) 17:53:00 ID:+tU5vap80
いまでもそうなのですが、二輪に乗るときは、信号待ちなどで停止したときは擦り抜けて前に出たりしません。
(先頭に立つと「早く行かなきゃ」と考えてしまって旅が楽しくないので)
そのときも、俺は五台くらい並んだ車列の後尾にいて、そこで停止して踏切が開くのを待っていました。
列車が通りました。銀色の車体をした列車です。
当時住んでいた横浜の自宅周辺にも踏切があって、しかも引っかかると結構長い時間待たされる踏切だったので、待たされているとき暇つぶしに目を列車の進行方向に向かって流したり戻したりすることで動きを同期させて、通過する列車内を眺めるのが癖になっていました。
しかしそのときは車列の後尾であり、そんなことをしても当然距離的な問題で列車内を見ることなどできません。
できないはずなのですが、ついつい癖で列車を目で追ったり戻したりしてしまいました。
見えました。精々服の色とか髪が長い短いの判断しかできませんでしたが、列車の窓際に立っている人たちを確認できたのです。
違和感を覚えました。何故か通り過ぎる車窓に立っている人達がこちらを見ている気がしたからです。
勿論、ただ顔や身体をこちらに向けているのだなという程度しか見て取ることができなかったのですが、何故かそう感じました。
そして通り過ぎる瞬間決まって、こちらに向けていた顔や身体を右に向けるのです。
なんだろうな、と思っていましたが、とにかく列車は通り過ぎて、遮断機が上がりました。
向こう側はT字路になっていて、踏切を渡った車は右に左にと散っていきます。
左右どちらの道も見通しが悪く、道の先がどのようになっているのか確認できません。

120 本当にあった怖い名無し sage 2006/06/29(木) 17:53:48 ID:+tU5vap80

さて、俺はどうしようか。
すでに生家を訪ねるというよりも宛てのない放浪になっていたので、どっちに進んでも構いませんでした。
前の車が踏切を渡りきるのを待ってから、俺も徐行して横断を開始し、結局前の車とは逆の道にとりあえず進もうと決めました。
前の車は右に曲がっていきましたので、じゃあ俺は左だ、と踏切を越えて左へ進路を取りました。
道はありませんでした。
いまから思い返しても不思議なのですが、当時の俺は道がないということに何の疑問も抱かず、なら右に行こうと自然に考えて進路を変え走行を続けていました。
おかしいなと思ったのは帰宅してからでした。
前に並んでいた他の車の中には、確かに左に曲がってそのまま進んでいった車もあったはずなのに。

あれから、故あれば車で、バイクで、俺はあの踏切を探しに出かけましたが、いまだ見つけられずにいます。
それどころか、あのとき通った道にも行き着けないままです。
怖くはないのですが、不思議です。以上。

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