キャンプ
66 キャンプ 1/8 sage 2006/06/10(土) 15:45:25 ID:izmpgpBg0
小学生くらいのときに何かで読んだ話。
昨日寝てるときに思い出したので。
うる覚えなので脳内補填が大分入っています。
【キャンプ】
ぼくは今年、小学3年生になった。
するとお父さんが、
「三年生か。お兄ちゃんになった。よし!今度二人だけでキャンプに行こう!」
と言ってくれた。
お父さんの話では、山にハイキングに行き、魚を釣って食べたり、
ご飯も自分で炊いたり、そして夜は自分たちで張ったテントで一泊するらしい。
すごく楽しそう!ぼくはとても嬉しかった。
67 キャンプ 2/8 sage 2006/06/10(土) 15:46:11 ID:izmpgpBg0
キャンプは今週の土日に行くことになった。
お父さんはキャンプ当日までに、ハイキングに必要な靴や服を買ってくれたり、
テントの張り方や魚の釣り方、ご飯の炊き方を教えてくれたりした。
「いいか。山の夜はとても静かだ。星もとてもきれいなんだぞ。」
「お父さんは何でも知ってるんだね!すごいや!!」
そんなお父さんが僕はとても頼もしく、とても好きだった。
そして金曜の夜。明日は出発が朝早くだったから早く寝た。
68 キャンプ 3/8 sage 2006/06/10(土) 15:46:51 ID:izmpgpBg0
こわい夢を見た。
ぼくはどうやら山の中にいるらしい。
目前の茂みの中に、傷だらけで、血だらけのお父さんがいた。
「助けてくれぇ・・・。助けてくれぇ・・・。」
そう何度も、つぶやいていた。
ぼくは怯えながらも急いで駆けより、泣きながら抱きついた。
すると抱きつくと同時に、お父さんの身体がぐしゃりとつぶれた。
お父さんをつぶしてしまった感触が、とてもリアルだった。
そんな夢だった。
69 キャンプ 4/8 sage 2006/06/10(土) 15:48:28 ID:izmpgpBg0
目がさめると、とてもいい青空だった。
「ほら!今日は暑くなるぞ!!」
とても明るいお父さんの声にすぐに安心し、夢のことは気にすらならなかった。
ハイキング、初めての魚釣りに飯盒でのご飯炊き、夕飯のあとはお父さんといろんな話をした。
どれもとても新鮮で、ぼくはとてもはしゃいだ。
寝支度をして、テントに入り、寝袋に包まる。
お父さんの言っていた通り、山の夜はとても静かだ。
71 本当にあった怖い名無し sage 2006/06/10(土) 15:48:49 ID:yKf5QicN0
俺の部屋のプラモデル入れてるケースも
いっつもガラスの窓がカランカランいってうるさい
で、窓あけとくと不定期的に窓が閉まってる
きんもー☆
72 キャンプ 5/8 sage 2006/06/10(土) 15:49:09 ID:izmpgpBg0
ふと声が聞こえるような気がした。
「助けてくれぇ・・・。助けてくれ・・・。」
かすかな声だ。テントの外から。
「助けてくれぇ・・・。助けてくれ・・・。」
さっきよりはっきり聞こえた。急に昨日の夢を思い出し、
怖くなり隣に寝ているはずのお父さんを確認した。
大きな背中。
お父さんはちゃんとそこにいた。
お父さんもその声に気がついたようだった。
「何だろう。もう夜中なのに。・・・ちょっと見てくるよ。」
73 キャンプ 6/8 sage 2006/06/10(土) 15:49:44 ID:izmpgpBg0
ぼくは正直1人にして欲しくなかった。
「やだよ!ここにいてよ!!」
「だいじょうぶ。もし怪我人でもいたら大変だろ?
テントの周りをぐるっとみてくるだけだから。」
お父さんはそう言うと外にでた。
お父さんの足音がテントの外から聞こえてくる。
周りを見渡しながら歩いているのだろう、歩調はとてもゆっくりだ。
テントを半周ほどしたあたりで、お父さんの足音が消えた。
急に山の夜の静寂が戻った。
74 キャンプ 7/8 sage 2006/06/10(土) 15:50:38 ID:izmpgpBg0
三四分は経っただろうか。お父さんの足音はまだ聞こえてこない。
不安になって声をかけようとすると、歩みだした。
その後すぐにお父さんはテントの中に帰ってきた。
「何もいなかったよ。風で気がこすれたんじゃないかな。さぁ安心して寝よう。」
その後何も無く朝を迎えた。
唯一、お父さんの雰囲気が朝起きると少し変わっていた。
違和感があった。昨夜テントに入るまでの父とは何かが。
朝食を食べ、テントを片付け、家へのお土産の魚を釣って帰った。
「たくさん釣れたな!きっとお母さん喜ぶぞ!」
「うん・・・。そうだね・・・。」
帰りの山道、お父さんと手をつなぎながら歩いていた。
75 キャンプ 8/8 ラストです。 sage 2006/06/10(土) 15:52:23 ID:izmpgpBg0
「助けてくれぇ・・・。助けてくれぇ・・・。」
再びあの声が聞こえてきた。どうやら山道の脇の茂みからのようだ。
また夢を思い出す。
ガサッ!!
茂みの中から、傷だらけで、血だらけの男が立ち上がった。
また夢を思い出す。
よく見るとお父さんだった。傷だらけで、血だらけのお父さんだった。
また夢を思い出す。
何がなんだかわからなくなった。でも駆け寄らずにはいられなかった。
すると、手をつないでいる父が引っ張り引き止めて言った。
「あれはニセモノだ。行ってはダメだ!!」
そう言われ、目の前の傷だらけで、血だらけのお父さんがとても恐ろしく見えてきた。
また夢を思い出す。
ぼくは心の中で思った。
『こわい!!こわい!!こわい!!』
握っていた父の温かい手がとても頼もしかった。
怖くて思わず、お父さんの腕に両手ですがった。
お父さんの腕がぐしゃりとつぶれた。