ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 21-30 > Part 28 > 鏡 2016/04/19 68 名前:BEAR(前スレ974) 投稿日:03/02/18 20:48 やっとできた・・・「鏡」 なあ、鏡って怖くないか?だってよ、見ると必ず自分が映ってて、目が合ってるんだぜ? まるで、鏡の向こうに、もう一人の自分がいるみたいじゃん! ……鏡…か。友達の話を聞くまで、普段意識した事がなかった。 普段髪をとかす時や歯を磨く時、顔を洗う時…様々な事で『自分』を見ているが、 今までそういう事を意識した事は、一度も無かった。 ふぅ…今日も仕事だ。いつも通り朝5時に起きて顔を洗う。バシャッ、バシャッ…… ふぅ。タオルで顔を拭いて、鏡を見る。…ん?俺…何で笑ってるんだ?自分ではそんな感じはしないが… 鏡に映っている。俺が微笑んでいる顔が。まあいいや、今日は何か良い事がありそうだ。俺は仕事に出た。 俺は、まだただの平社員だ。この会社にはまだ入社したばかりで、仕事にも上司にもまだ完璧に馴染めていない。 また今日も同じ作業の繰り返し。嫌になりながらも、これも仕事だと思い、着々と仕上げる。 すると、後ろから肩を叩かれた。まさか…もうリストラ…? おそるおそる振り返ると、社長が笑顔で立っていた。『よくやった!君の考えた企画、大 成功だったよ!平社員の企画だからと言って、バカにしていた。私はもう年だから退職する。 君は、まだまだ若い。次は、君が、この会社を支えていく番だ!君に、次期社長を任命する!』 俺は言葉が出なかった。まさか…ウソだろ?こんな事が…しかし、とりあえず嬉しい!い きなり平社員から、社長への成り上がりだ!四月からだが、今はもう二月。もうすぐ、俺は社長…!胸騒ぎが止まなかった。 『さて、仕事を続けてくれ!君にはこれからも期待してるぞ!』 『はい!ありがとうございます!』 俺は、張り切ってパソコンに向かった。その時、画面に映る俺の顔は微笑んでいた。 仕事が終わり、家に戻った。今日は何と良い日だったんだ!俺は、今日の夜は一日中、電話で色々な友達に自慢しまくっていた。 つづく 69 名前:BEAR(前スレ974) 投稿日:03/02/18 20:49 次の日。今日は昨日と違い浮かれ気分でいつも通り5時に起き、顔を洗う。バシャッ、バシャッ…ふぅ。 タオルで拭いて、鏡を見る。…え?何か悲し気な顔をしている。 しかし今、俺は上機嫌で、俺自体はやや微笑んでいる。何だこの鏡は?昨日といい、何か嫌な感じだ。 昨日は笑顔だったからまだしも、今日は映っているのが嫌な顔だったから、何か今日は嫌な事がありそうでならなかった。 しかし、俺は次期社長。気を取り直して、仕事に出るか! そして仕事に向かった。入ると、何故か社員はみんな冷たい目で俺を見ていた。 俺が次期社長だという事に焼いているのか?いや、そうではない。 何と、社長までもが俺を厳しい目で見ている。一体俺が何をしたと言うのか?社長に尋ねてみた。 『どうしたんですか?』 『どうしたじゃない!君のせいで…君のせいでこの会社は…倒産だあ!』 そんな…バカな?一体何があったというのか?社長にさらに尋ねてみた。 『君の企画した情報が、君のパソコンからハッカーか何者かに抜き取られて、まんまとパ クられてしまったんだよ!遅れてその企画を発表したら、盗作だと訴えられて大変な事に …何もかも君のせいだ!もう終わりだぁぁ…』社長は泣き崩れた。 まさか…そんな事が…倒産ということは、俺は、失職?いや、俺だけじゃない。 この会社の、みんなが…そんな、バカなああ!俺も泣き崩れた。 帰りの足取りはもちろん重かった。 ガラスの向こうの喫茶店では、エリートサラリーマンらしき男と若い女性が仲良く話している。 俺は憂鬱になった。その時、ガラスに映っている俺の顔は、悲しげだった。 70 名前:BEAR(前スレ974) 投稿日:03/02/18 20:50 家に帰って、不思議に思った。あの鏡に映った表情が、その日の出来事を物語っているんじゃないか…。 そう思いながらも、明日は良い表情が映ると良いと思い、眠った。 俺は起きて、すぐさま鏡のある洗面所へ行った。そして、顔を洗って鏡を見た。 すると、何とそこには、何かが書いた紙が俺の顔に貼られてある姿が映っていた。 その紙には、何と『負け犬』と。 俺はさすがにキレた。 『何でだよ!俺が何したって言うんだよ、このクソ鏡が!』 そう言って、俺はその鏡を思い切り、 『ガシャアン!』 と割った。すると、ヒビ割れながらも、その鏡には新たな俺の姿が映された。 その姿は、首を吊って、口から血を流しながら笑ってこっちを見ている、 白黒の俺だった。 END B! LINEへ送る - Part 28, 洒落怖