(続き)
いつものように、お風呂に浸かっていると、「ヒュー・・ヒュー・・」という
誰かの呼吸する音を聞いたというのです。周りを見わたしたのですが、誰もいません。
風の音だと解釈し、妹は深く気にせずに髪を洗い始めました。
湯船に浸かりながら、上半身だけ風呂釜の外に身を乗り出し、前かがみになって
髪を洗います。手のひらでシャンプーを泡立て、地肌に指を滑らせ、
髪を揉むようにして洗いました。そのとき、ある事に気付いたのです。
髪が、長い。
妹が洗っている髪の毛は、彼女自身の髪よりも数十センチ長かったそうです。
そして、もう一つのある事実に気が付いた時、妹は思わず風呂場から飛び出し
てしまったそうです。
後頭部に、誰かの鼻が当たっている事に。
それ以降、妹は極度の怖がりになってしまい、お風呂に入る時は必ず
ドアの外で私が待機するようになりました。
私自身は、今日に至るまで、何ら不思議な体験をしてません。
しかし、妹は確かにあの時、自分でない誰かの髪を洗ったと言います。